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第7回配信 重要な情報は大体がNPCからのものだって事が多いよね

 今日は久々の冒険者ギルドだ。依頼をほとんど受けてなかったからな。ギルドランクがFのままなんだよな。その内ゲームを進める上でギルドランクが必要になるのが出てくるだろ。その時に慌てて上げるよりは今の内から上げておくべきだと思ったんだよ。


 んっ?じゃあ、なんで今まで上げてなかったかって?忘れてたからだよ。畜生!

 という訳で今日は冒険者ギルドだ。相変わらず人が多いよな。チラチラ見られるのもいつも通りだ。俺を見ないで依頼ボードを見ろよ。見ないなら退いてくれ。依頼ボードが見えねぇよ。まぁ、見えなくてもメニューで確認するから不都合はないからいいけどさ。直接見たいんだよ。上の方見えないだろとかの発言はいらないからな。



 依頼 ウサギ肉納品

 内容 東の草原にいる一角ウサギの肉の納品

 報酬 25ソル✖️一角ウサギの肉数

 備考 当日に狩った一角ウサギの肉に限ります



 報酬安くなってないか?最初は1個50ソルだったと思うんだが。何があった?………うん。考えてもわからん。姐御に聞いてみよう。姐御はどこだ?

 受付にはいないみたいだな。姐御がいないか聞いてみるか。


「すいません。姐御はいますか?」

「はい?姐御?」

 比較的暇そうな受付嬢に聞いてみたが何言ってんだこいつって目で見られたぞ。幼女に対してその目はいけないな。しかし中身はおっさんだ。む、それなら何も問題ないのか?……うん、問題ないな…

「申し訳ありませんが、姉御とは誰でしょうか?」

 あれ、姐御をご存じない?おかしいな。姐御は受付の偉い人みたいな感じがしたんだが違ったかのか?はっ!もしかしてこの人が新人でまだ分からないとかそういうやつか。それなら仕方がないな。


「あのぉ、人探しの依頼なら向こうのカウンターで行ってもらっていいですか?」

 一人で頷いていたら何か勘違いされてしまった。人探しじゃないから。いや、姐御を探しているんだから人探しになるのか?でもギルドの職員探すのに依頼出さなきゃいけないのか。っていうか俺って依頼出せるの?そういうシステムあったのか。


「あぁ、何をやってるんだい?」

「あぁ、エリオットさん。この子が人を探してるみたいなんですけど、よく分からなくって」

「ふぅん。どの子だい?」

 おっ、誰かと思ったらおっさん2号じゃないか。2号なら姐御の事知ってるな。これは丁度良い。

「おっさん。姐御が何処にいるか知ってるか?」

「おっさんってねぇ。僕はこれでもまだ若いんだよ」

「側から見たら十分おっさんだと思うけどな。お姉さんはどう思う?」

 受付嬢に聞いたら曖昧な笑顔を返されてしまった。しかし目は余計な事聞いてくるじゃねぇって言ってるな。この人結構腹黒かもな。


「ほら、そんな事聞くとこの人も困ってしまうだろ。僕は若いそれでいいんだよ」

 うまく纏められた?しかし俺の中であんたはおっさん2号なのは変わらんがな。

「えぇっと、姐御だって?姐御ってもしかしてリオさんの事かい?」

 その通り。頷いて返事をする。

「君も恐ろしいことを言うね」

 何が恐ろしいんだ?腹黒姉ちゃんも顔色が青くなってくるけどどうした?


「まぁ、いいか。僕が言った訳じゃないからね。リオさんだけど今忙しいんだよね。何だったら代わりに僕が対応しようか?」

 姐御は忙しいのか。それは残念だ。要件といっても一角ウサギの値段が下がってる理由を聞くだけだから誰でもいいと言えばいいんだがね。しかしおっさん2号はなぁ。最初のがあるからどうも信用できないというか。

「どうしたんだい?そんなに集まって、何かあったのかい?」

 おっさん2号に言おうか悩んでいたら受付の奥から声がかかった。


「おぉ、姐御!」

 俺が姐御に声をかけたらおっさん2号の表情が歪んで腹黒姉ちゃんの顔色が白くなったがどうしたお前ら?

「なんだい、澪じゃないか。今日はどうした?」 

「いや、聞きたいことがあったんだけど。忙しいんだったら他の人に聞くからいいんだけどさ」

「確かに忙しい事は忙しいけどね。丁度休憩しようとしてたんだ。話を聞こうか」

 流石姐御。でもいいんかね。無理はしてほしくないんだが。


「この人たちが原因で忙しいんですよ。それなのに対応するなんて」

 あっ?俺たちが原因ってどういうことだ?

「確かに忙しいのはぷれいやーが原因なのは多いね。だけどそれは澪とは関係ないだろ」

「それはそうですけど」

 不服そうだな腹黒姉ちゃんよ。俺には理由が分からんからどうしようのないぞ。

「それに私が良いって言ってんだから良いんだよ」

「そうですか…」

 腹黒姉ちゃんよ。不服なのは分かるが俺を睨むな。幼女を睨むのは減点対象だぞ。


「よし。澪、そこのテーブルで話を聞こうか」

 受付から一番近いテーブルに姐御が座る。俺もそこに座るかね。

「さて、休憩って言ってるんだからコーヒーでも飲もうかね。澪はなんか飲むかい?」

「じゃあ、緑茶で」

 ん、緑茶って言ってしまったがこの世界に緑茶ってあるのか?

「その格好で渋いのを飲むね。ちょっと待ってな」

 あるんかい!?このゲームの食糧事情ってどうなってんだ?

 腹黒姉ちゃんがこっちを睨んでいるがおっさん2号が何か言って奥に連れてった。俺が何をしたっていうんだ?


「はいよ。お待たせ」

 そういえばゲームで何か口にするの初めてだな。どうなんだろうな。

「ありがとう」

 緑茶(仮)を受けっと一口飲んでみる。

 おぉ、普通に緑茶だ。凄いぞ。全く違和感がない。

「これ緑茶だ」

「澪が緑茶がいいって言ったんだろ。何当たり前のことを言ってるんだ」

 姐御が苦笑している。くそぉ、姐御とはこの衝撃は共有できないか。


「そういえば装備が変わってるね。しっかりロジャーのところで買えたみたいだね。似合ってるじゃないか」

「その節は大変有難うございました」

 いい装備を買えて大変満足でございます。

「なんだい畏まって。別にそこまで感謝しなくてもいいんだよ」

 いや、本当に感謝しておりますよ姐御。


「で、話ってのは何だい?」

 そうだった。緑茶を飲みに来たんじゃなかった。

「ウサギ肉の報酬がエライ下がってたから何があったのかと思ってさ」

「あぁ、あれかい。あれは最近ぷれいやーが多く一角ウサギを狩っていてね。肉が市場で余り気味なんだよ。だから報酬が下がってるのさ」

 なるほど。需要と供給のバランスが崩れたのか。そんなところも反映するのな、このゲームは。しかしプレイヤーが狩り過ぎねぇ。


「もしかして忙しいのってそれが原因か?」

 俺たちがやり過ぎて仕事量が増えたとかそういうやつか?

「それならよかったんだけどねぇ」

 姐御は深いため息を吐く。

「まぁ、あんたは関係ないから言っても問題ないかね」

 俺は関係ないけどプレイヤーが関係してることって何だ?


「最近ね。ぷれいやーの中にやけに私等に関わろうとする奴等がいるんだけどね。ちょっと関わり方というかねぇ…」

 プレイヤーがNPCに関わるねぇ。あれっ?この前の配信でNPCにアーツとか装備売ってもらったとかで盛り上がってたよな。で、俺は教えられないから自分達で勝手に探せって言った気がするな。おっ?もしかして姐御が忙しいことの間接的な理由は俺にあったりするか?

「今までそれほど関わる事もなかったんだけどね。最近になって話しかけてくることが増えてきたんだよ。話す分にはいいんだけどね。人との距離との取り方が分かってない連中がいてねぇ。いきなりグイグイ来られても困るんだよねぇ」


 おぅふ。人との距離感云々は一部人間にはダメージがデカいぞ。そしてマズいな。これは間違いなく俺が原因の一端だな。背中の冷たい汗が止まらないぜ。

「それだけならそいつの人間が出来てないんだろうってことで、私等も笑って流してやろうかと思うんだけどね」

 笑って流すんすね。

 ……それだけならって事はもっと酷い事があったって事だよな。


「中にはアーツを教えろだの、武器屋を教えろだのとんでもないことを言う奴がいてね。それをそこら辺の住民に言ってくるから、住民から苦情がこっちに来ててね。その対応で忙しいんだよ」

 はい、アウト!!誰だそんなアホなことをやる奴は?そんなことしたらトラブルになるに決まってるだろ。


「澪に言っても仕方がないんだけどねぇ。なんでぷれいやーは全員冒険者ギルドに加入してるんだろうね?もっと他のところに加入した方がいい奴等が沢山いるんだけどね」

「他のところに加入って冒険者ギルド以外で加入出来るところがあるのか?」

 そんな話は東の門のおっさんからは聞かなかったな。

「ん?澪は知らないのかい」

「門番のおっさんからは冒険者ギルドに行けってしか言われなかったな」

「あんのハゲ野郎。説明端折りやがったな。今度シメるか」

 姐御コーヒーを持つ手が震えておりますよ。


「他にどっかあるのか?」

「澪はここが一番いいとは思うけどね。まぁ、説明してあげるよ」

 はい、ありがとうございます。

「ぷれいやーが入れるとしたらまずはここ冒険者ギルドだね」

 うん。俺も入ってるな。

「後は魔法使いが入る魔法使いギルド。僧侶の回復職が入る教会がやってる神殿ギルド。後は騎士になりたい奴なら街の騎士団とかかね」

 全部初耳なんですけど。


「それって俺たちプレイヤーでも加入できんの?」

「基本的に来るもの拒まずのところだからね。適性がないとかじゃなければ入れるだろうよ」

「知らなかった」

 それなら黎は神殿ギルド、虎ちゃんなら騎士団とかに行った方がいいんじゃないのか。

「今言ったギルドは一つにしか加入出来ないからね。どこかに入ったらどこかのギルドは脱退扱いになるから注意しな」

 なんと、それは大事な情報だな。


「これ以外に商業ギルド、生産ギルドなんてのもあるけどね。この二つはさっき言ったギルドに加入してても問題なく加入出来るからね」

 凄い情報を知ってしまったな。他のプレイヤーは知ってるのか?

「それって他の奴にも言っても大丈夫か?」

 これは確認しておかないとな。言ったらダメなやつとか意外と多そうだからな。

「あぁ、これは別に隠してる情報とかではないからね。どんどん教えてやんな」

 よし、あいつ等に教えてやろう。


「場所もメモを書いてやるからちょっと待ちな」

 姐御がサラサラとメモを書いて渡してくれる。うん。今回も非常に見やすい。

「ついでにプレイヤーが住民とトラブルになってるっていうのも言っとくよ」

 俺の配信が原因だからな。配信の時に言っとけばいいだろう。

「本当かい。それは助かるね。頼むよ」

「言って行動が変わるかは分からないぞ」

 一応これは言っとかないとな。変わってないじゃないかとか言われると大変だからな。


「それは承知の上だよ。澪は関係ないのに動いてくれるんだ。それだけで十分だよ。言って変わらないなら、それはそいつの問題だからね」

 すまん姐御。多分俺は関係あるんだよ。姐御の善意の眼差しが痛いぜ。

「澪の話を聞く予定だったんだけど、私の話を聞いてもらっちまったね」

 いや、大変為になる話をありがとうございました。


「他に何か聞きたいこととかはないかい?」

 他に聞きたいことねぇ。おっ、そういえば一個あったな。

「東の門以外ってどうなってるんだ?俺が行っても大丈夫か?」

 この前虎ちゃんと話してたもんな。折角だから今聞いてしまおう。

「東の門以外かい?澪、ちょっとあんたのギルドカード見せてみな」

 よく分からんが姐御にギルドカードを渡す。


「どれどれ。…………澪、今のあんたじゃ行っても門を通してくれないから止めておきな」

 通してくれないとな。

「東の門以外を通るにはある程度のレベルと各ギルドのランクが必要なんだよ」

 レベル上げが必要ですか。そして早くもギルドランクが不足する事態になるとは。

「次に行けるのは北の門だね。レベル15、ギルドランクEで通れるようになるよ」

 頑張れば北は案外早く行けるようになるな。ギルドランク上げる為にも依頼を受けるか。


「よし。依頼を受けるかな」

「そういえば澪は依頼をあんまり受けてなかったね。皮とかの素材を納品する依頼もあるけど。何か持ってないのかい?」

 素材ねぇ。そこそこ持ってるな。

「こんなのがあるけど」

 持ってる素材を姐御に見せてみる。

「へぇ、結構持ってるじゃないか。ちょっと確認させてもらうよ」

 姐御は真剣な目で素材を見ている。

「ランクが上がる分には不足してるね。澪がいいんならこっちで処理させてもらうけどいいかい?」

 それは願ったり叶ったりだな。

「よろしくお願いします」

「じゃあ、預かるけどこの狼の素材はあんたが持ってな」


 ほっ?何故狼?

「この素材なら今の澪の装備を強化出来そうだからね。ロジャーの店にでも持っていきな。費用も今回の他の素材の報酬で足りるだろうよ」

 なるほど。装備は強化出来るんだ。今の装備は見た目が気に入ってるからそれは有難い。お気に入りをずっと使えるのは良いよな。

「分かった。この後親方の店に持ってってみるよ」

「そうしな。さて、私も休憩はここまでにして仕事をしようかね」

「休憩中に悪かったね」

「気にする事はないよ。私が好きでやった事だからね」

 姐御に頭を撫でられる。いや、本当に申し訳ないと思ってるんですよ。休憩中に仕事を持ってくる奴はボコられても文句は言えないんですよ。


「じゃあ、気をつけて行くんだよ」

 完全に幼女の扱いを受けております。申し訳ありません。私、実はおっさんであります。



 姐御と別れて次は親方の店に向かう。

 あっ、依頼受けるの忘れてた。…………まぁ、いいか。次の機会に何か受けよう。何か狩ってその素材を持っていけばなんとかなるだろう。

 親方の店は相変わらずデカいな。周りの店の二回りぐらいデカいんじゃないか。儲かってるんだろうな。

 店に入ってみるが親方は………。あっ、いたいた。


「親方。また来たぞ」

「ん?おぉ、小娘か。装備はどうだ?」

 相変わらず良いドワーフっぷりだぜ親方。

「装備はすごく良かったぞ。これからも親方にはお世話になりたいぞ」

「はっはっはっ!それは最高の評価だ。それで今日はどうした?修理か」

 いや、本当に親方の装備は良かったぞ。


「姐御に狼の素材で装備を強化出来るんじゃないかって言われたから持ってきた」

「どれ、素材を見せてみろ」

 親方に狼素材を渡す。

「なるほど。これならローブを強化出来るな」

「本当に強化出来るんだな」

 姐御情報だし嘘とは思ってなかったが出来ると聞くと嬉しいものがあるな。


「装備は誰でも強化出来るわけじゃないからな」

 どういう事だ?

「装備の強化ってのはな基本的にその装備を作ったやつしか出来ないからな」

 へぇ、そういうシステムがあるのね。

「これを作ったのは親方だから問題ないな」

 真紅のローブを引っ張って見せる。


「そういう事だ。ちょっとローブを貸してみろ。強化してやる」

 親方にローブを渡す。

「そこら辺の物でも見て待ってろ」

 

 親方がローブを持って奥に行ってしまった。そこら辺の物ねぇ。パッと見でも凄そうな装備がたくさんあるんだが。

 剣とか色々種類あるな。片手剣に大剣、短剣。おっ、刀なんてあるんだな。そういえば某の武器は刀なのかな。流石にあの格好でモーニングスターみたいなの装備はしてないだろ。それはそれで面白そうだけどな。

 ドリルとかパイルバンカーは流石にないか。あれば装備したいんだけどな。

 反対側は防具だな。防具も色々種類があるよな。幼女に似合う防具ってなんだろうな。性能は大事だが見た目も同じぐらい大事だからな。


「はっ!?こ、これは!?」

 衝撃のものを見つけて思わず叫んでしまった。

「デッカい声出してどうした?ってなんだ、やっぱりお前もそれに興味があるのか?」

 俺の叫びに反応しておくから親方が顔を出してきた。興味があるっていうか何でこんなのがここにあるんだよ?

「それはな、同業者が最近ぷれいやーはそういう装備が好きみたいだって話を聞いたんでな。試しに作ってみたんだ。結構出来良いだろ」


 そう、俺が持ってるのは猫耳カチューシャだ。NPCの中でプレイヤーが猫耳好きって噂が流れてるのね。否定はしないけどさ。

「お前のローブにも付けてやろうか。そんなに手間じゃないからな」

 俺のローブに猫耳だと?それはとても魅力的な提案を。いや、これ以上属性を増やしたら渋滞しないか?しかし猫耳幼女だと…。


 手に持った猫耳カチューシャを頭に付けてみる。そして備え付けの鏡で見てみる。

 はい!可愛い!可愛いは正義だ!属性が増えようが可愛いの前には何も問題ないな!

「親方。よろしく頼む」

「おぅ、すぐ終わるから待ってろ」

 悔いはない。俺は猫耳ローブを装備するぞ。


「よし、出来たぞ」

 本当に早いな。凄いぜ親方。親方からローブを受け取る。

 おぉ、猫耳が付いてる。



防具

   真紅の猫耳ローブ 耐久値100%

   物理防御力 35

   魔法防御力 20

   VIT+5

   DEX +8

   INT+10

   MIN+9



 かなり強くなってるな。猫耳パワー恐るべし。

 鏡に映るアバターを確認する。うん。俺優勝。異論は認めない

「親方ありがとう。これはテンションが上がる」

「それは良かった。代金は素材持ち込みで2000ソルってとこか。他の装備も寄越せ、修理しといてやる」

 あざーっす!


「これからも何か素材を手に入れたら俺に見せてみろ。使えるものがあったらお前の装備の強化に使ってやる。それで余ったやつをギルドに持っていけ」

「それは助かる。でも何でそこまでしてくれるんだ?」

 装備を売ってもらったがそこまで深い付き合いではないんだけどな。

「お前は俺の装備を使ってるんだ。理由はそれだけで十分だ」

 職人な答えだ。格好良いぜ親方。


「これからもよろしく頼むよ。親方」


 

 新装備はテンション上がるよな。これから一狩り行くか。

「おや、澪じゃないか」

 ん?誰だ?

「黎か。お前もやってたんだな」

 振り向いたら黎がいた。相変わらず爽やか王子だな。外見だけは。


「RPは続けてるのな」

 もう飽きて辞めてるのかと思ってたぞ。

「お前らが言い始めたんだろ。それでその反応はないわ」

「いや、意外だったからつい。で今は何してるんだ?」

「そうだった。これから東の草原でモンスターを討伐しようと思っているんだが、一緒にどうだい?」

 おっ、RP復活した。これは何時まで続くか見ものだな。そしてそのRPを崩したくなってしまうのも人の性よの。


「そうだな。俺もこれから狩りに行こうと思ってたから丁度いいな」

「それは助かるよ。虎紳士が言っていたけど本当に装備が見たことの無い物に変わってるね」

「おう。詳しくは言えないけどな。そう言うお前も変わったな」

 黎の装備は装飾のないダルマティカになっていた。

「僕も何時までも初期装備ではいられないからね。武器はメイスにしてバックラーも装備する事にしたよ」


「ふ〜ん。それだと目指すは回復サブタンクか?」

「そんな感じになるだろうね。でもヒールの回復量がなかなか上がらないからこのままだと詰む気がして心配ではあるんだよ」


 回復量ねぇ。あっ、そう言えば姉御がギルドの事言ってたな。丁度良いから教えておくか。

「ギルド職員から聞いたんだけど回復系職業の人が加入する神殿ギルドっていうのがあるらしいぞ。もしだったらそこに加入してみたらどうだ?なんかあるかもしれないぞ」

「本当かい?それは是非とも教えてくれないか」

 興奮してるのか黎が急接近する。近距離王子は目に痛いな。本当によくこんなキャラクリ出来たな。


「冒険者ギルドと同時の加入は出来ないみたいだけど大丈夫か?」

 姐御に注意されたからな。しっかり教えておかないとな。こういう手間を省くと余計なトラブルを招く時があるからな。

「あぁ、それなら問題ないよ。冒険者ギルドのランクは上げてないからね」

「そうか。じゃあ、問題ないな。場所はここだ。ここに行ってそこにいるNPCに聞けば大丈夫なはずだ」

 姐御に教えてもらった神殿ギルドの場所を教える。


「ありがとう、澪。これで僕のヒールが強くなるよ。見ていたまえ。僕のヒールの輝きが世界を照らすのを!」

 黎が走って行ってしまった。ヒールの輝きで世界を照らしてどうするんだ?綺麗ですねとでも言えばいいか?

「そしてこれから俺と狩りに行くんじゃなかったのか?黎よ」

 回復が強化されてもあのゴブリンムーブが改善されない限りダメな気がするが。


「他の二人にも伝えておくか」

 姐御はどんどん教えてやれって言ってたからな。白桜と虎ちゃんに連絡しとこう。あとは今度配信の時にでも視聴者に教えておくか。まぁ、既にみんなが知ってる情報の可能性もあるがそこら辺は気にしないでおこう。


「とりあえず、俺は今から一人で狩りにでも行くかね」

 折角だから猫耳フードを被っていこう。可愛いは正義だからな。

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― 新着の感想 ―
[一言] >黎の装備は装飾のないダルマティカ ダルマじゃなくて良かったですw
[良い点] 今回も面白かったです! ゲームシステムの説明もチュートリアルでなく、こうしてNPC達から聞けるのもやり込みの一種だと思うと楽しいですね。最初の門番さんからの案内も(姐御さんからの圧により)…
[一言] さすがゴブリン人の話を聞いていない
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