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プラトニック  作者: よつば
2/4

夫婦

良平とは小学生から中学生までの同級生だった。


初めて同じクラスになったのが、

小学3年生と4年生。

次に同じクラスになったのが、

中学2年生。


良平に恋をしたのは中学2年生の時だった。


隣の席で出席番号も隣同士。

同じ小学校出身だったので仲良くなるのに時間はかからなかった。


少し大人びてて、

かと思えば子供っぽくイタズラに笑うところ。

そんなところが大好きだった。


毎日がキラキラしてて、

良平といると何もかもが楽しかった。


中学2年生の秋。

初めて告白するもフラれてしまって失恋した。

家族にバレないようにお風呂場でこっそり泣いた。


高校に進学しても縁が切れることはなく、

その後社会人になっても友人としてたまに遊んだ。


私は良平に似た人を好きになっては、

付き合ったり失恋したりを繰り返していた。


25歳の時に二度目の告白をして、

恋人同士になった。


ケンカをしてくっついたり離れたりを繰り返しながら、

30歳の時に葵が出来て結婚した。


周囲の人からは「少女漫画みたい」と言われることもあったし、

私も幸せな結婚生活を送れると思った。


だって、これ以上好きになれるはずがない人と一緒になれたから。


でも、結婚は生活だと実感した。

そして、

結婚相手としてお互いが相手に求めるものが違いすぎたと気付いたのは、

共に生活を初めてからわりとすぐだった。


良平は家族愛に餓えた人だった。

誰よりも愛を求める人だった。

自分を一番に考えて一番大切にしてほしいと願う人だった。


私は自由を求める人だった。

家庭に収まるつもりはなくて、

仕事も育児も趣味も楽しみたいと願った。


葵が産まれてから私は産後クライシスになり、

良平と同じ空間にいるだけで辛かった。


セックスを求められても応じる気には到底なれなかった。


良平はそんな私に対して、

時には泣いて時には怒りセックスに応じるように説得してきた。


私はその度に強要されるのが辛くなり、

とうとう良平と一緒に眠ることすら苦痛になった。


何度か無理矢理応じてみるも、

早くこの苦痛な時間が終われとしか思えなかった。


私は母親になれた代わりに、

大事なものが欠落してしまったようだ。


それでも、私は葵という宝物が出来て一切後悔はしていない。


ただ、良平はそんな私には失望しているのだろう。


 

嫌いじゃないけど、好きかわからない。



結婚なんてそんなもんだよと誰かに言われた気もする。  


きっと、私はもう二度と誰かに恋をすることはないだろう。

母として妻として平凡で当たり前の生活を送っていくのだろう。



そして、また平凡な1日がスタートする。










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