ちょっと早めのEpilogue4 ゼロを目指して歩いてる
当たり前だけど、望んで障害者に生まれて来る人は誰もいない。だけど、生まれてきた以上、生きるしかない訳で。
でも、どうやって? と問われれば、目を瞑りたくなるような、黒いものばかりが降りてくる。
だけど意外と…………人は優しかったり……頼れる場所があったりするのもまた事実だった。
家庭環境。
地域の風土。
見た目の良し悪し。
ギフテッドの有りや無し。
……身も蓋もないけれど……「初期ステータス」が大きくものを言う世の中で。
当然……マイナス・スタートの外れ籤を引いちゃう人もいる訳で。
そこに思いを馳せると、深海みたいな冷たい闇しか目に入らない。
「明日はやっぱり──」
呉葉が不図、思いついたことを口にしようと。
「ん?」
応じるように文月さんが、きょとんとした表情を作り。
彼女の頬に添えた手に。重ねられた手のひらと。頬の柔らな熱を意識して──言葉を続ける。
「ちょっと遠出して──」
「??」
だけど──『外れ籤』の人だって、どこかに道は通じてるんだって。……そう信じたい。
「知らない街のどこか遠くで、ご飯を食べて──」
「はい」
六畳一間の安普請。
ここに今、確かに息づいている幸せを──。
「その後は──」
「ふんふん」
決して手放さないよう、ぎゅっと強く抱きしめて──。
「駅までの帰り道──」
「うん。うん」
先人が文字通り血まみれになって切り開いた道を。
点々と続く血痕を。
道標みたいに頼りにしながら。
「途中でまた──」
「ん? 何ですか?」
「あの時みたいに迷子になって、知らない街を二人でグルグル……彷徨いたいかも」
マイナスからゼロを目指して。歩き続けるしかないんだと思う。
何度も何度も、道を間違えながら。
『♪♪♪♪ ハッタツショウ害シャノ唄 ♪♪♪♪』
~ いったん終わり ~




