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♪♪♪♪ ハッタツショウ害シャノ唄 ♪♪♪♪   作者: 動物の世界で人間らしく
第二章 人に値札でも付いているのか?
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021 名乗った瞬間、電話を切られる


 赤津支店長との面談以降、社員たちの呉葉への態度は、あからさまに冷淡で陰湿なものへと変った。まるで示し合わせたかのように。


 激しい、犯しがたい組織の力が、呉葉の身に襲い掛かっていた。


 元々、呉葉は社内で浮いていた。仕事が出来ないので当然だ。

 今の文月さんと同様に、挨拶をしても返事を返す人はほとんどいないし、親しく話し掛けてくる人もいない。


 だがここ最近の呉葉への当たりは、その程度では済まなくなっていた。


 例えば、呉葉が所用で他の係の島へと赴くと、その島の人たちはスッと席から立ち上がり、どこかへといなくなった。


 仕方がないので自分の島に戻って、自席に着くと、入れ替わるように近くの社員が離席する。


 他所よその係から何かの用事で人が来て、呉葉しかいないことを認めると、その人物は舌打ちをしながらその場を去った。


 電話なぞはもっと露骨だ。

 事務係に掛かってきた電話を取り、「お待たせしました。事務係です」と答えると、相手は何も言わずに受話器を置いた。

 そして、決まってその5秒後くらいに、別の社員の内線番号に電話が掛かってくるのだ。


 さらには、社内の他部署に呉葉の方から電話をしても、名乗った瞬間、電話を切られた。

 仕方がないのでメールをしても、梨の礫だ。



 そんなことがある度に、心に大きな穴が穿うがたれていくようだった。


 グサッ、グサッと突き刺さり、突き刺した何かは心に刺さったまま。帰宅して翌朝を迎えても、それは決して抜け落ちない。





 

 担当業務は日に日に減らされていった。


 机に山積していた書類や資料の類いはみるみるうちに減っていき、机の上の透明のデスクマットに挟まれた座席表が、二年半ぶりにあらわになった。

 入社直後、ここに配属された当時のものだ。



 昔の座席表に書かれた自分の名前が、今の呉葉を心配そうに見上げていた。

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