第2章 第1話
意を決してシャルルは父・エーデルハイトと母・シャルロッテに地球へと行きたいと伝える。
反対されると思ったがすんなり了承する。
「シャルルの事だから、どうせ空間魔法使って戻ってこれるだろう?」
「旅行気分で行ってらっしゃい」
エーデルハイトとシャルロッテは明るく振舞い、シャルルに言った。
しっかりしてるとは言え、齢13。まだまだ子供だが、空間魔法を用いてひょっこり帰ってくると彼らは思っている。
そのためのシャルルの修行だろうと彼らは思ったのだ。
時間が過ぎる前に帰還の魔法陣がある部屋へと訪れる。
そこには女神アウラの姿もあった。
「来ると思っておったぞ、精霊剣は置いていけよ?」
遺物は持っていけないとアウラから説明を受けるシャルル。
服もまた、国が用意して洸丞達に近いデザインの服を着ている。
これならば魔法陣は誤作動を起こさず通れる事だろうとエーデルハイトは言った。
「さよならは言わないよ、行ってきます!」
「行ってらっしゃい、シャルル」
「行ってこい、シャルル」
そうしてシャルルは魔法陣に足を踏み入れて光に包まれる。
行き着く先は地球の日本。
「懐かしい香りだ」
そして今は何年だろうか。こっちだと、あれからどれくらい経過しているのだろうか。
ふとシャルルは思った、頭の中で念じると魔法を繰り出す事ができた。
「魔法は問題なし」
鏡を取り出し、自分を見るとシャルルの姿のままで来たようだ。
これじゃ外国人に間違えられそうだ。
或いはコスプレした子供とも捉えられるだろう。
人が多い所へと行ってみよう。
千葉県某市某所。
ちらほら目線がちょっと痛い。やはりこの姿はコスプレ外国人に見えるのだろうか。
「hello?」
人に話しかけられその方向を見ると日本人が立っている。
やはり外国人に間違えられたのか。
「こんにちは」
とシャルルは返すと相手は驚いた。
日本語が通じるんだと相手は笑っていた。
今は何年なのかと聞くと、旅行機に乗っていた時代からまだ2年しか経過していない事がわかった。
という事は洸丞は高校3年くらいか。
洸丞が通っている高校へと訪れるとそこは廃校になっていた。
早速手がかりなし。
少し前に自宅へと足を運んだが、引っ越した後だったみたいで誰も居なかった。
「あのー、こちらには何のようですか?」
女性に話しかけられた。どこか見覚えのある女性だ。
「エリナ?」
「…はい?」
ここでまさかエリナと再会するとは。
持ち金がなく、立ち往生する他ないと思っていたがエリナの案内により現在エリナの通う高校の食堂の椅子に座っている。
「まさか、シャルルがこっちにいるなんて思いもしませんでした」
話を聞くと近所に住んでいるらしく、洸丞とはたまに会う仲だとか。
洸丞は今どうしてるのか聞くと、県内には居ると話された。
シャルル自身が洸丞の兄だという事は、エリナ達には打ち明けていないため、どうして洸丞に会いたいのか理由を聞かれるが話せないでいる。
「取り敢えず、私はまだ授業あるから少し待っててくれますか?」
「それは構わないよ」
やりとりしつつ、時間を潰さないといけないがやる事がない。
エリナの下校時間まで暇なので、魔法の確認をしよう。
流石に目立たないように、隠蔽の魔法を発動しそこで空間魔法を用いて別空間へ。
一般人が間違って入って来ないようにすり抜けの魔法もかけた。
数時間が経過して、別空間から元の場所へと戻るとエリナが待ち構えていた。
「堂々とここで魔法使わないでくれますか?それと、どうして魔法が使えるんですか」
続けて言われるが、そこはノーコメントでと話す。
そしてエリナに再び案内された場所は一件の家。
「私の住んでる家です」
「は?」
さー行きましょうとエリナに手を掴まれ、中へと入る。
エリナの家族には遠くから来た知り合いという事で話が通された。
エリナの家族からは「彼氏が来た」というコメントが出ていた。
エリナの妹・サリナも何か歓迎みたいな発言をしていた。
ようやく姉にも青春が。という発言も少し聞こえた気がした。
エリナとは作戦会議しようかと思ったのだが、これから先一体どうなる事やら。




