第1章 第5話
あの騒ぎから時が過ぎて色々な鍛錬や経験を経てシャルルは12歳になった。
現在はメリシアの下で薬師見習いになっている。
そして国王陛下より通達が来るのだが…。
シャルルはメリシアの下へ弟子入りし薬師見習いとしても活動している。
両親の元に戻るのはやはり気が引ける。
家出同然で出て行き、今更王子として家族の元へ行くのは恥さらしでこの上ない。
この思いとは別で国王陛下より通達が下る。
『少し前に邪神復活の兆しあり、これに先駆け聖王国は異世界召喚をして勇者達を召喚した。これに伴い同盟国である、神光国は王子であるシャルルを同伴させ世界救済に赴け』
という物が聖王国から申し出があったと陛下から言い渡されるのだった。
現状、神光国の主力部隊のレベルはそこまで高くなくシャルルに劣る程である。
国のトップに近いシャルルを同伴させれば救済への道も早くなるだろうと踏んでいるらしい。
シャルルは王位継承権を返上してでも薬師見習いを続けたいが国への反逆に捉われると拙いので了承する事になる。
最悪の場合は精霊剣・ユリシアを使えば解決できそうではあるが、戦闘経験自体はそんなに高くないためユリシアもそこまで成長していない。
何より最後の手段とも言えるユリシアは簡単に使う訳にもいかない。
メリシアから聞いた話を信じるならば、尚更ユリシアを使う事は避けたい。
メリシアにはかつて冒険仲間が居たと説明された。
その仲間の名前はユリシア・メルン。
母シャルロッテ、メリシア、ユリシアは魔法学園の同期で良き仲間であると。
精霊剣・ユリシアには人格が宿っている。
ユリシア・メルンでしか知りえない情報を精霊剣は知っていた。
つまり同一人物という事になる。
まさか精霊剣に人格がある事なんて誰も思わないだろう。
女神アウラからもその説明は一切なかったため、にわかに信じがたい事実。
あれから神殿に赴くがアウラに会えなかった。そもそもかつての神殿にアウラの姿は無かった。
神界に帰ったか或いは別の神殿へ移動したか。
神光国の聖神域にある魔法陣の上に乗り聖王国へと転送される。
そこで待ち受けていたのは既に召喚されていた勇者達であった。
また、ここで自己紹介も済ませるのであった。
弓術を使う女性はエリナ、男性の治癒術師カズヒコ。
短剣使いの女性ノア、そして勇者適正のあるコースケ。
コースケと転生前の弟とよく似ているが、こんなに大人しい少年だったかなと思い他人の空似だろうと思う事にした。本人が呼ばれるはずもないだろう。
彼らの実力はまだ伸びている段階で魔物退治は初と話していた。
自分がここに来るまでに少しでも経験しておこうという気にはならなかったのだろうか。
「パーティ組んで一緒に討伐すれば良いんじゃないでしょうか」
コースケが言った言葉である。
数時間後。
カズヒコはヒール、キュア、リカバリー、プロテクしか使えないみたいだ。
コースケはまだスキルについて理解が乏しく、ノアは早くも罠解除や軌道を読む行動をしている。
エリナに至ってはドが付く程の初心者ではあるが基礎能力が他のメンバーよりズバ抜けている。
理由を聞くと、ステータスポイントを割り振りすると聞いた。
コースケはバランス型、カズヒコは魔力と体力型、ノアは攻撃と俊敏型。
「カズヒコは回復に徹するのであれば体力はそこまで伸ばさず魔力、知識、命中を伸ばすと良いかも。コースケは剣と盾を使うのであれば攻撃、体力、命中、知識がオススメかな」
メニューが開ける人種はそこまで多くなく異世界人は必ず持っていると言っても過言ではなく、王族もまたメニューが開ける。
メニュー自体は他者から見える訳ではないため、安心して確認する事ができる。
エリナに関しては攻撃と命中にしか振っていないため高火力に繋がったのだろう。
尚、シャルル自身もバランス型ではあるが魔力操作や魔力増加などの魔法鍛錬は怠っていないため他の面々よりは差を開く程高い。
現在のシャルルの魔力値は3万、知識は6万である。尚、MPに関しては10万超えている。
一体どこまで成長するのかと思うが、シャルルはここまで高くてもチートという認識はしていない。何故なら、魔法攻撃らしい攻撃スキルを一切覚える事が出来ないからである。
生活魔法を応用してそれを攻撃に転用する事は造作もないがそれを遠距離魔法攻撃のように飛ばす事は不可能である。
生活魔法だけで言えば、他の誰よりも優れており空間収納魔法に関してはレベルがMAX(100)である。




