第1章 第2話
時が過ぎ、シャルルは1回目の洗礼式5歳の時に苗字を授かる。
アルスラグナの世界において、5歳・11歳・16歳で洗礼の式を受ける。
5歳で苗字を授かり、11歳で修公し、16歳で職場で働く事が許される。
修公は働く場所を決める年で見学及び見習いとして働く事が許可される。
シャルルは5歳なので苗字を授かっただけである。
授かった苗字はリーンハルト。アルスラグナの世界において、リーンハルトは試練を受けし天者という意味を持つ。
洗礼式を受けた順にメニュー画面も解放される。
メニューは開いた本人しか見る事ができず、如何なる方法を用いても他人からそのメニューを見る事は出来ないとされる。
シャルルのメニューにちょっと気になる文面が書かれていた。
【アウラの加護を授かりし者】
称号も追加されている。【光の戦士】
これは一体どういう事だろうかと悩んでいると奥の方から何か声が聞こえる。
まだ此処は洗礼式を行っている聖堂なので、奥には誰が喋っているのか。
シャルルは興味を抱いて奥へと歩み進んだ。
すると何やら一人の女性の声しか聞こえず、如何にも誰かと喋っているような。
「誰」
という言葉にシャルルは驚き、尻餅を付いてしまう。
扉が開き、中から女性が出てきた。薄い黄色い髪をしたロングヘアの女性がそこに立っている。
そして耳が少し尖がっている。精霊種類の人だろうか。
「私の声を聞こえ、見えるのね」
一体何を言っているのかシャルルは理解していない様子。
辺りを見渡すが誰も気づいていないのか、見向きもしない。
女性に引っ張られ部屋の中へと入る。
椅子に座らせられ、女性はティーカップを取り出す。
「お茶をどうぞ」
上機嫌な女性はテーブルにティーカップを置いて、お茶を注いだ。
「神官は私を見る事は出来ないのよね。今までで私を見えた人はあなただけよ」
色々話していく内に自己紹介がまだだったわねと女性が言うと名乗った。
「私は女神アウラ。あなたはシャルルよね」
え?という反応を示したシャルルに続けてアウラと名乗った女性は言った。
「訳あって地上界に降りているの、私と波長の合う人物を見つけたと思ってあなたに加護を渡しておいたから、存分に活用してちょうだいね」
アウラの加護は属性の耐性が50%増え、あらゆる状態低下能力を受けない。
更には経験値ブーストが2倍付いている事や、精霊剣・ユリシアを授かった。
精霊剣と言う割には見た目が剣の形状をしていない。
「女神によって作り出された神器は剣と言うけれど、全て所有者に適した形を取るの。あなたの場合は杖ね」
精霊剣・ユリシアは所持者と共に成長する神器とアウラは言っていた。
そのため、所持者がレベル1だからユリシアもレベル1であると。
レベルは同期し、やがて記憶封印を破る鍵にもなるとアウラは説明した。
まだ記憶封印の事については自ずと理解し、分かっていくとも言った。




