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黒剣と行く-跡地  作者: 白姫
ダンジョン1
9/12

奴隷解放

男に黒い剣二スターを突き付けながら僕は言う。

「お前達の目的は何だ?」

その言葉に男は知らん顔をする。

僕は湧き上がる怒りを抑えながら、今度は脅しを言う。

「言わないと足一本じゃ済まない」

そう言うと男がこちらを睨みつけて、大声で叫んだ。

「やるならやれよ!こうしているうちにあの嬢ちゃんはどうなっていると思う!?」

僕は怒りが爆破し、もう片方の足を刺そうとする。

人を刺す罪悪感よりも仲間を誘拐しようとした男への怒りがそれを上回った。

感情に任せて剣を刺そうとする。

そんな僕をグリネが止める。

「怒りに任せて行動しては駄目ですよ」

そう言うとグリネが男に近づいて魔法を唱える。

つみ懺悔ざんげ

手の平から放たれた淡い光が男に当たる。

すると、男は大人しくなった。

グリネは落ち着いた口調で男に聞く。

「貴方達の目的は何ですか?」

男はさっきまでの態度が嘘のように正直に話し始めた。

「目的は珍しい白髪の女を攫って奴隷市場に売ることです」

「奴隷市場...!?」

思わず声が漏れる。

奴隷売買が行われているという事実にショックを受ける。

しかし、この街に来て今に至るまでそれらしき物は一つも見なかった。

そしてその言葉にグリネも驚いていた。

「奴隷制度は廃止された筈では...」

それを聞いた男が淡々と話し始める。

「確かに王国では表向きは奴隷制度は廃止されました。しかし、奴隷制度は完全に廃止になっていなかったんです。未だに王国の裏では普通に奴隷の売買は行われているんです」

その言葉にグリネが落胆する。

「なんて事...まさか未だに奴隷の売買が行われていたとは...」

「どうして廃止になったんですか?」

ラファーがグリネさんに聞く。

「司祭様の努力のおかげで奴隷制度が廃止になったんです。司祭様はこの街でも有名なんです。なのにまだ奴隷が売買されているなんて...」

グリネさんは拳を握り怒りを抑える。

おそらく同じ人間が売られている事に怒っているのだろう。

しかし僕はそれとは別のものだと感じた。


僕達はアーデをどうやって救出するか話し合っていた。

本当ならすぐにでも乗り込んでやりたかったが、ラファーに止められた。

男は見回りの騎士に渡した。

今はどうやって攻めるかを決めていた。

お金でアーデを買おうとも思ったが、買えるだけのお金がこの世界に来たばかりの僕には無かった。

「男の話だと入り口はこれで全部」

男の情報から作った地図に印を付ける。

「やっぱり騎士に助けを求めるべきでは...」

ラファーが呟く。

確かに僕達だけでやるのでは無くて国に助けを求めるべきだろう。

しかし国では遅過ぎるのだ。

話せばすぐに出るのでは無く、色々話し合ってから動くのだ。

それでは時間がかかり過ぎてその間にアーデがどこかに行ってしまうかもしれない。

ラファーの言葉を否定する。

グリネさんが手を貸してくれるらしいがやはり人手が足りな過ぎる。

しかし、この人数でやらなければならないのだ。

僕達が人手の少なさに悩んでいると扉が勢い良く開かれた。

「話は聞かせてもらいました」

レイテさんの弟子のレーラさんだった。


薄暗く、日の光が差し込んで来ない所に私はいた。

持ち物は取られてしまった。

今あるのは最初のこの世界に来たばかりの時に着ていたような服とゼノから貰ったマントのみである。

鉄格子で閉ざされた部屋の端っこで丸まっていた。

しかし、寂しくは無かった。

何故ならこの子がいるから。

私の後をこっそりつけてきたその子と小声で話しながらその時を...脱出のチャンスを待っていた。


二つの入り口を二手に別れて乗り込む事になった。

僕はグリネさんと、ラファーはレーラさんとだった。

そしてお互いに準備を終えると、同時に攻め込んだ。


僕は扉を勢いよく蹴り倒した。

中にいた男二人は突然の事に反応が遅れる。

僕は二スターの感知能力で男の位置を把握していた。

二スターのはグランと違ってあたりの空間を把握することができるらしく、それで目が無くても周りの状況がわかるらしい。

先手必勝で男を斬りつける。

肉が切れる感触が手に伝わってくる。

防具が無い腹部を切り裂いた。

もう一人が剣を持って僕に迫ってくる。

男は僕の胸に向かって剣で突きを仕掛けてくる。

僕はそれを二スターの力で強化された身体能力で真っ直ぐ僕に向かってくる剣を二スターで跳ね除け、軌道を逸らさせる。

腕をかすって男の剣が横を通り過ぎ行く。

その隙を逃さず僕は男に反撃をする。

薙ぎ払った剣が男に迫ってくる。

男はかわせずに僕の一撃をくらう。

男が動かない事を確認すると深呼吸をする。

人を切るのは初めてだった。

対人経験は無いがなんとか二スターの力を借りて倒すことが出来た。

僕は人を殺したという事実から逃げるように先を急いだ。

それと同時に警報が鳴り響く。


「逃げられてしまいました」

レーラが済まなそうな顔でラファーを見る。

「別にいいよ。きっとなんとかなる」

入ると男が三人いた。

先陣を切ろうとすると、後ろからレーラがいきなり魔法を撃った。

光の槍みたいなのが飛んでいき、男の一人に命中する。

男達が魔法使いがいると分かって逃げようとする所にもう一発レーラが魔法を撃ち、男があと一人になった。

その男目掛けて魔法を撃とうと一歩踏み出すと、足が滑りレーラが転んだのだ。

すまないのはむしろラファーのほうだった。

全部レーラが倒し、ラファーは突っ立ってるだけであった。

「鳴っちゃったのはしょうがない。先に向かいましょう」

ラファーは少しでも役に立とうと先頭を歩いて、奥に進んだ。


「襲撃だ!」

男達が叫ぶ。

「隠し通路から奴隷どもを逃がそう」

そのような会話が聞こえた。

アーデのいる所に男が来て牢屋の鍵を開ける。

男が開けたと同時にアーデが思いっきり男に体当たりをする。

「脱走だ!」

その言葉に男達の目線がアーデに向かう。

そのタイミングを見計らい、アーデはその子に指示を出す。

「いま!」

その言葉に反応してアーデの服の中からグランが飛び出してくる。

強烈な光で男達の目が眩む。

アーデはそのうちに逃げ出した。


所々隠れながら奥に進んで行く。

「ゼノ...誰か来る」

二スターが教えてくれる。

「何人だ?」

「一人...だと思う」

なんか曖昧な返事だ。

「こちらに向かってくるぞ」

扉が開かれたがそこには誰もいなかった。

不審に思いつつ剣を構えていると何か小さい物が部屋の中に入って来て強い光が放たれ、僕を包み込む。

「アーデ!この人ゼノだよ!」

聞き覚えのある声が聞こえた。


「アーデ!無事だったか!」

アーデの安否を確認し、僕はホッとする。

「ねぇ!見てみて!」

グランが指をさしながら嬉しそうに言う。

見るとそこにはアーデの持ち物が置いてあった。

「えらい?私えらい?」

アーデがグランを撫でる。

グランの無邪気な笑顔は今の状況を忘れさせてくれる。

グリネさんは初めて見る妖精に驚いている。

するとアーデが僕を見て言う。

「着替える...」

その言葉で察した僕はアーデから目を逸らし、男が来ないかを警戒するのに集中する事にした。


無事にアーデを見つけることができた。

どうやってここから出るかを考えていると、アーデから隠し通路があると聞く。

僕達はそれを使って出る事にした。

男達の話を隠れながら盗み聞きすると、どうやら騒ぎを聞きつけた騎士達と争いになってるようだ。

これはチャンスだ。

僕達は隠し通路を探しながら進む。

途中でラファー達とも合流した。


「あった。これが隠し通路だ」

棚の後ろに通路は隠されていた。

二スターが居なければ気付かなかっただろう。

中は暗く、グランの光無しでは進めないような通路が地下に向かって伸びていた。

暗闇の中をグランの光を頼りに進んでいく。

進んでいくと前方に揺らめく光が現れ、足音と共にこちらに近づいてきた。

「誰か来る」

僕は警戒しながらその光に近づいていく。

やがてそれが何かわかった。

火のついた松明を持ちら奴隷達を引き連れた四人組の男だ。

「そうか、お前らが乗り込んできた侵入者か」

目の下にクマがあるリーダー格の男が呟く。

相手は四人、こっちはグランも入れて六人。

二スターも含めれば七人だ。

こっちにがある

「なぁ、取引しないか?」

リーダー格の男が言う。

僕は答えなかったが、構わずに続ける。

「俺達はお前達に手を出さない。だからお前達も手を出さない。これでどうだ?」

それなら僕達は無事に出られ、相手も無事にここから出られるだろう。

しかし、僕は奴隷達を放って置けなかった。

目の前に囚われた人達がいるのだ、助けなければと僕の心が言う。

「残念だが、取引には応じられない」

そう言うとリーダー格の男がため息を吐いた。

「そうか...残念だ!」

リーダー格の男が僕目掛けて剣を突き出してきた。

僕はなんとか二スターで受け止める。

それを合図に戦いが始まった。


よく考えたら戦えるのは三人だけだった。

三人のうち、レーラは位置的に魔法が奴隷に当たるかもしれないので実質二人だ。

僕とラファーでそれぞれ二人づつ相手するが、流石に厳しい。

リーダー格の男の剣を防ぐともう一人の男の剣が体を切り裂く。

痛みで体が一瞬硬直する。

その隙をついてリーダー格の男が剣を振り下ろす。

(防げない!)

咄嗟とっさに目をつぶる。

しかし、痛みが来ない。

目を開けるとそこには半透明な丸い板みたいな物が剣を防いでいた。

その時、後ろから目を塞がれた。

「私です」

グリネさんの声が聞こえた。

グリネさんが後ろから手で僕の目を覆っているようだ。

手が外されると、そこには目を抑える二人の男とグランがいた。

すぐに状況を理解し、行動する。

動けない人を切るのは簡単だ。

リーダー格の男に捨て身の攻撃をする。

男は防げずに捨て身の攻撃を受ける。

リーダー格の男は倒れる。


もう一人はレーラが倒した。

「ゼノ!大丈夫ですか!」

二人を倒したラファーが話しかけてきた。

「ラファーこそ大丈夫か?」

「ボクは大丈夫。それよりゼノ!血が出てる!」

見ると血が結構な量出ていた。

それを見たグリネさんが近寄ってきて魔法を唱える

「癒しの光」

すると、出血が止まり、傷が消える。

「血は戻りませんので戻ったら安静にするんですよ」

「わかった。それより、一人で二人を倒したのか?ラファー」

「うん、兄さんに少しだけ教えてもらって...剣には多少、自信があるんです」

ラファーは僕に近寄ると手を貸してくれた。

ラファーに支えられながら歩く。

奴隷達の元に行くとラファーに言った。

「手錠を切ってあげてくれ」

ラファーは無言で頷くと、僕をグリネさんに任せて、奴隷達の元に行き、手錠を切る。

奴隷達は僕にお礼を言うとそれぞれ帰るべき場所に帰った。

僕達も行こうとすると一人の奴隷の大柄の男がこちらに歩いてきた。

「俺は力が強いだ。俺が運ぼう」

大柄の男はそう言うと、軽々と僕を持ち上げた。

僕は大柄の男に持ち運ばれながら眠りについた。

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