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黒剣と行く-跡地  作者: 白姫
ダンジョン1
8/12

デイカム

「あなたがレイテさん?」

「レイテ師匠のお客さんですね!ちょっと待ってて下さい」

黒い服の女性はレイテさんでは無かったようだ。

黒い服の女性は、呼びに行こうとして転ぶ。

僕は慌てて無事を確認する。

「大丈夫ですか?」

「全然平気です。すぐに呼びに行くので待ってて下さい」

黒い服の女性は立ち上がろうとしてまた転ぶ。

僕達が慌てふためいていると、奥から声が聞こえた。

「やれやれ、いつまで経っても儂の弟子はドジねぇ...」


声の主が姿をあらわす。

女性と同じ黒い服を着た老婆が細い視えているのかわからない目をこちらに向けていた。

老婆が杖をつきながらこちらに来る。

「儂がレイテだ。何の用かねぇ」

「レイテさん。これをあなたの所に持って行けばデイカムに早く行くことができると聞いたのですが...」

赤い宝石のネックレスを見せるとレイテさんは僕達の考えを読み取ったかのように頷く。

「儂に付いてきなさい」

レイテさんは家の奥に歩いていく、黒い服の女性も慌てて付いていく。

僕達も後をついて行った。

やがて、何も置いてない広い部屋に出た。

老婆は振り返り、自己紹介をする。

「自己紹介が遅れたねぇ...。さっきも言ったように儂がレイテでそっちの子はレーラ。儂の弟子だ」

レーラと呼ばれた女性は慌てて頭を下げる。

僕達もそれぞれ軽く自己紹介を済ませると、レイテさんが部屋の中央に立つ。

「では、早速デイカムに行こうかねぇ...」

「でもどうやって...」

レイテさんが杖で床を突く。

すると、大きな魔法陣が僕達を包んだ。

魔法陣から光が溢れ出してくる。

(あの時の転移と同じ!)

レイテさんが何をするかを僕は理解した。


僕達はデイカムにきた。

「ここがデイカム...」

首都はやはり、今まで訪れた村と違い人が多く活気に溢れており、屋台が立ち並んでいた。

「あれなんだろう!」

ラファーが目を輝かせて言う。

ラファーはあまり街に行ったことが無いのだろう。

ラファーが普段、村では見れないものに心を躍らせていた。

僕も屋台を見たいところだが、先にやることがある。

僕はラファーを引き止めると、事前にレイテさんに教えてもらった店に向かった。


レイテさんに教えてもらった店は、色んな物を買い取る買取屋だ。

「これは凄い!!」

店主は僕の出した物を見て驚きの声を上げた。

僕が売ろうと思ったのは、聖域の洞窟で拾った光る石だ。

「こんなに純度が高い魔光石まこうせきはなかなか無い。しかも、これ程の大きさの物は珍しい。

そして、天然物...」

どうやらよくわからないが結構良いものだったらしく、結構高く売れた。


「取り敢えず、資金の調達は出来た」

お金が入った袋を見せる。

「それじゃあ目的通り、情報収集とかをするか」

僕がそう言うとポケットの中のグランにつつかれた。

「ねぇ?屋台は見ないの?」

グランの言葉を聞いてみんなの顔を見てみるとみんな、屋台を見たそうな顔をしていた。

「じゃあ、先に屋台でも見るか」

その言葉を聞いた、みんなの顔は嬉しそうだった。


屋台には聞いたことない生き物の肉や見たことない木の実らしき物などが並んでいた。

「ねぇねぇ!アレなんだろう!」

ラファーもあまり見た事無いのか、子供のようにはしゃいでいた。

グランはポケットにいたけど、屋台の食べ物を買ってあげたりして一緒に楽しんでいた。

そして僕も子供のようにはしゃいでいた。

見た事無いものなどが並んでいたら誰だってはしゃぐだろう?

しかしアーデは何か落ち着きが無いようで、周りを気にしていた。

落ち着いて周りを見ると理由がわかった。

アーデが人の注目を集めていた。

顔が良いからとも思ったが、どうやら原因は白い髪らしい。

白い髪の人は今までアーデ以外は年寄りやリメルぐらいしか見たことがなかった。

つまり、この世界ではアーデの白い髪は珍しいらしい。

そんな時に、ある屋台を僕は見つけた。


僕は屋台で買った、フードが付いたマントをアーデに渡した。

「あげるよ」

僕はそれだけ言うと恥ずかしくなり、アーデから目を逸らした。

(結構恥ずかしいな...)

そんなことを考えていると、アーデがつついてきた。

僕が見るとアーデは笑顔で言った。

「ありがとう...」


アーデをずっと見ている二人組がいた。

「白い髪...珍しいな」

一人がそう言うともう一人は頷いて言った。

「顔も良いし高く売れそうだ」

二人組はニヤリと笑うと、闇の中に消えていった。


僕達はひとしきり屋台を楽しんだ。

ちゃんとダンジョンについての情報収集もした。

装備も安い盾などを買った。

そうしているうちに日が落ちた。


夜になっても街は明るかった。

理由は道の端に立っている街灯のお陰だ。

この街灯はあの光る石で光っているらしい。

調べたところ、あの石の名前はあの店主が言った通り魔光石まこうせきで、日の出てる間は日の光や空気中にある"魔力"などを吸収して、暗くなるとひかるらしい。

そんな魔光石の街灯で照らされた道を僕達は歩いていた。


僕達は一つ失敗をしてしまった。

それは、宿を探していなかった事だ。

つい情報収集や屋台に夢中になってしまい、泊まる宿を探し忘れていた。

(このまま野宿か?それともレイテさんの家に泊めてもらうか?)

そんなことを考えていると後ろから声を掛けられた。

「どうかされましたか?旅の方々」

見ると修道服に似た服を着た女性が立っていた。

あまり厄介なことには巻き込まれたくなかったからあまり街の人には話しかけたくなかったが背に腹はかえられない。

僕はなるべく怪しまれないように話した。

「宿を探すのを忘れていて...どこか宿を知りませんか?」

それを聞いた女性は快く教えてくれた。


「残念ながら宿は満員でして...」

女性が教えてくれた宿は満員だった。

「やっぱり野宿しかないよ。ゼノ」

ラファーが疲れた顔で言う。

「しょうがない。レイテさんに迷惑かける訳にもいかないからな」

野宿に最適な場所を探しに歩き出そうとした時、声を掛けられた。

「あれ?貴方方あなたがたは...」


僕達は教会にいた。

「まさか教会に泊めてもらえるとは...」

この世界の教会は微かに覚えている元々いた世界の教会とほぼ同じだった。

しかし、転移前の僕はあまり教会に行ったことがないのか、教会が新鮮に見える。

あの時、声を掛けてきた修道服の女性は宿の事を聞くと親切に泊めてくれたのだ。

僕は修道服の女性にお礼を言う。

修道服の女性は笑顔で言う。

「困っている人が居れば助かるのは当たり前ですよ。私達、"アリズム教"は親切がモットーですから」

アリズム教。

この世界で最も広く信じられている教えだ。

この教えは良い行いをする事でいずれ神が人々を救済してくれるというものだ。

アリズムは神の名前から取ったらしい。

(アリズム…リメルとは別の神なのか?)

アリズムについて聞こうと思ったが、先に修道服の女性が話しかけてきた。

「そういえばまだ名前を言ってませんでしたね。私の名前はルミネラ・グリネです」

僕が言う前にラファーが答えた。

「ボクはラファー。そしてこっちがゼノ。この子がアーデ。よろしく」

僕達はグリネさんといろんな話をした。

ダンジョンに向かうこと、街に来た目的など。

念のため二スターとグランのことは話さなかった。

しばらくして僕達は眠りについた。


「ここか」

男が二人、教会の前に立っていた。

音を立てないように静かに教会内に入る。

三人が眠っていた。

男が二人。白髪の女が一人。

女の姿を確認すると、二人組の一人つぶやいた。

「狙いは白髪の女だけだ。他は構うな」

もう一人が頷くのを確認すると行動に出た。

防音魔法をかけると同時に女を飛び草で一時的に意識を失わせて攫うという計画だった。

いつもはそれで成功する。

しかし、今回もいつも通り防音魔法をかけた瞬間、声が聞こえた。

「誰だ?お前ら」


「起きろ!ゼノ!」

僕を呼ぶ声が聞こえる。

慌てて飛び起きる。

「何事だ!二スター!」

二スターを構えて状況を聞く。

「人攫い!アーデが攫われそうだ」

見るとアーデを抱えて教会の出口へ向かう男二人組がいた。

(不味い!アーデが!)

慌てて男を追いかける。

「くそ!俺が時間を稼ぐ!」

男が振り返り、なんらかの呪文を唱える。

「 させるか!」

二スターを男の足に向かって投げる。

狙い通り足に二スターが刺さる。

転んだ男から二スターを引き抜きもう一人の後を追う。


日の光が差し込んでいるが、まだ辺りは薄暗く、人が誰一人も歩いていなかった。

教会から出てすぐ、辺りを見渡すが男とアーデの姿が無い。

教会のすぐ脇にある路地も見てみると男性が一人、路地の脇の方に立っていた。

男はシルクハットを被っており、身に付けている黒い服は質が良い物を着ていた。

僕はシルクハットを被った男の顔を見るが、アーデを攫ったの横顔と似ておらず、顎髭が生えており、別人だとわかる。

僕は男に近づき、ここを誰か通らなかったかと聞く。

男は顎髭を触りながら答える。

「はて?たしか誰も通っていないですね」

「そうですか...」

僕は歯を食いしばり、教会に戻った。


教会には縛られたもう一人の男とそれを見張るラファー、そして騒ぎを聞いて駆けつけたグリネさんがいた。

「アーデちゃんは!?」

ラファーが聞いてくる。

僕は俯きながら答える。

「連れ去られた」

その言葉にラファーの顔が暗くなる。

「でも」

僕の言葉にラファーが見てくる。

僕は縛られた男を見て言った。

「手掛かりはある」

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