旅の始まり
僕はラファーの家で眠りにつく前に考えていた。
昨日の森でのリメルの言葉について。
昨日、リメルは言った。
「私の力の一部を全て取り戻したら、願いを一人一つ叶えてあげよう」
「願いを...叶える...?」
「そう。まさに神様らしい褒美じゃないか?」
その言葉にラファーが反応した。
「あなたは本当に神様...いや、本当になんでも願いを叶えられるんですか?」
リメルはそのラファーの問いに即答した。
「本当だよ」
その答えにラファーだけでなく僕達も息を呑む。
「じゃあ私はそろそろ失礼するよ」
光が小さくなる。
消える瞬間にリメルは言った。
「良い返事を期待しているよ」
あの後、僕達は日が落ちる前になんとかラファーの家に着き、飯を食べてすぐに寝床に入った。
僕は寝床で横になりながら考える。
“「願いを一人一つ叶えてあげよう」”
(この世界に来たばかりの僕には特にこれと言った願い事は無い)
リメルには悪いが死んでしまっては元も子もない。
(リメルのお願いを断ろう)
だが…
(ラファーは何か叶えたい夢あるようだな)
ラファーはリメルの言葉を聞いた後、ずっと考え事をしているようだった。
(明日にでも聞いてみるか)
今日は寝ることにした。
翌日、射し込む日の光で目が覚めた。
(今日はラファーが起こしてくれなかったのか?それともラファーはまだ寝ているのか?)
居間に行くとアーデがいた。
アーデは僕が起きるまでグランと何か話していたようだ。
なんか嫌な予感がする。
「ラファーは?」
アーデがグランに頷く。
そして、グランが話し始めた。
「ラファーさんは朝早くにどこかに行きました。ボクが帰ってこなかったらこの家を貰ってもいいと言い残して...」
嫌な予感が当たった。
おそらくラファーはダンジョンに向かったんだろう。
「ラファーさんを探しに行かないんですか?」
グランが心配そうに言った。
(これはラファーが決めたことだ。僕はダンジョンにはいかない)
だけど
「すぐにラファーを探しに行くぞ!グラン!アーデ!」
グランは笑顔で頷いた。
アーデは顔はあんまり変わってないけれど、嬉しそうに見えた。
「願いを叶えられる」
この言葉を聞いたラファーは悩んだ。
見ず知らずの自分を神と名乗る人の言葉を普通は信用出来ない。
だけど、その人の言葉は何故か嘘に思えなかった。
ラファーはその人の言葉を信じて一人でダンジョンに向かった。
しかしラファーは早速、昨日の熊に遭遇してしまった。
昨日と違い、今日は一人。
昨日より強い恐怖がラファーを襲った。
(すぐに逃げなきゃ!)
だが、腰を抜かしてしまって動けない。
熊は今すぐにも飛びかかってきそうだった。
(もうだめだ。はやかったな...)
ラファーは目を閉じた。
「おまたせ〜!!」
声が聞こえた瞬間、辺りが強烈な光に包まれた。
(危なかった...)
僕はラファーの安否を確認したらすぐに行動した。
怯んだ熊の背後に僕は飛びかかった。
二スターが深く突き刺さる。
熊は大きく咆哮すると、背中から振り落とそうと暴れ始めた。
「やばい...振り落とされる...!」
その時、どこからか石が飛んできて熊の頭に当たった。
アーデだ。
熊が僕を放置してアーデに向かって突進を始めた。
「...グラン」
「任せてください!!」
グランが飛んできて再び強烈な光を発した。
熊は突進をやめないが、グランの光で目が眩んだのか、簡単に避けられた。
そのまま木に衝突した。
熊は倒れたがまだ息がある。
僕は熊の首に剣を突き刺しとどめを刺す。
熊は身体が光になって消えてしまった。
「ごめんなさい!」
僕達はラファーの家で食べ損ねた朝食を食べる。
その間もラファーは謝罪をした。
家に帰ってきてから何回目だろう。
僕達は朝食を済ませると家を出る準備を始めた。
「本当にごめん。みんなに迷惑をかけて...」
「いいんだ。僕達が勝手にやった事だから」
「それでもごめん。もうダンジョンは...諦めるよ」
その言葉を聞いた僕は言う。
「何を言ってるんだ?」
ラファーはその言葉にキョトンとしていた。
「ラファーには叶えたい事があるんだろう?だったら僕達も手伝うよ」
「でも...」
「僕達の願いも手伝いながら見つけるよ」
「本当にいいの?」
「いいよ。さぁ行こう。ラファー」
僕はラファーに手を伸ばす。
アーデが頷く。
グランも嬉しそうに頷く
ラファーは嬉しそうに僕の手を掴み言う。
「ありがとう。これからよろしく。ゼノ」




