神が与えた妖精
視界が光に包まれ、光が消えた時には知らない場所に立っていた。
最近、似たことがあった気がする。
周囲は木に囲まれていて、ここがどこなのか全く見当がつかない。
しょうがないのでまた、アレをする事にした。
「いくぞ!」
2回目なので少し慣れたのか、今度はスムーズにできた。
落ちてきた二スターに駆け寄り、結果を聞く。
「何か見えたか?」
「木ばっかで目ぼしいものはみつからなかった...」
「そうか...」
服装はリメルに貰った奴を着ている。
よくよく考えたら、長旅に丁度いい服装だった。
リメルが気を利かせて何か持たせているかもしれないと思い、ポケットを漁ると、嬉しいことに何か入っていた。
取り出してみるとそれは光の入った瓶だった。
「なんだこれ?」
光は瓶の中を浮遊しており、それが特別な何かというのはわかる。
しかし、あまりこの世界について知らない僕たちにはそれが何か、見当もつかなかった。
ポケットをもう一度よく調べると、紙が入っていた事に気付く。
紙にはこう書かれていた。
ゼノ&アーデへ
服は気に入りましたか?
その瓶の中には、私が特別に創った連絡用の妖精が入っています。
可愛がってください。
リメルより
「妖精?」
僕は瓶の中の光をまじまじと見つめた。
(これが妖精…)
初めて見る妖精の姿に目を輝かせていると、二スターが話しかけてきた。
「開けないのか?」
「でも、開けたらどっかに行っちゃうんじゃないか?」
「連絡用って書いてあるんだし大丈夫だろ」
二スターの言う通り開ける事にした。
瓶の蓋を開けた。
すると、中にいた妖精が勢いよく飛び出してきた。
しばらく飛び回るとゆっくり、アーデの前に降りてきた。
アーデが妖精を手で受け止めると、光が形を変え、やがて人の形になった。
妖精は手のひらサイズの女の子の姿になった。
妖精は緑のドレスを着た金髪ツインテールの見た目をしている。
背中には蝶のような綺麗な羽を生やしていた。
妖精は目を開けるといきなり自己紹介を始めた。
「はじめまして!私はリメル様によって創られた妖精!名前をグランと言います!これからよろしくお願いします!」
いきなりの自己紹介で戸惑ったが、自己紹介仕返す。
「ぼ、僕はゼノだ。こっちがアーデ。この剣が二スターって言うんだ」
「ゼノさん!アーデさん!二スターさん!よろしくです!」
「よろしく。グラン」
お互いに自己紹介した後に二スターがグランに話しかけた。
「リメルに連絡出来るのか?グラン」
「はい!出来ます!」
グランはそう言うと、手から光を出した。
すると、光から声が聞こえてきた。
リメルの声だ。
「ちゃんとできたみたいだね。グラン」
「はい!」
「えらいえらい」
「えへへ〜」
「ところで、何かあったかい?」
リメルの問いかけに二スターが答える。
「いきなり森に飛ばしといて何は無いだろう」
「いきなり飛ばしたのはすまなかった」
「すまなかったって...ゼノからもなんか言ってくれよ」
光と妖精と喋る剣が話すこの幻想的な光景に気を取られていて油断していると、二スターが話を振ってきた。
「え?あ、あぁ。これからどうすれば良いんですか?」
「とりあえず...村か、できればこの国の中心都市にでも行けばなんとかなると思うよ」
「なんとかなる...ですか...」
リメルの言葉を聞くと二スターは猛抗議した。
「おい!なんとかって何だよ!ふざけるな!」
「おっと、誰か来たようだ。じゃあ、ここで終わらせてもらうよ」
「おい!待て!」
「健闘を祈るよ」
さっきまで、リメルの声が聞こえていた光が霧散した。
「逃げやがった...」
怒る二スターを僕は落ち着かせながらこれからについて話し合う。
話し合いの結果、リメルの言う通り、町などの人のいそうな所を目指す事になった。
「しかし、どうやって町に行くか...」
「はいはーい!それなら私に任せてください!」
グランが手を挙げる。
「何かいい方法があるのか?」
「はい!ついてきてください!」
グランが森に飛んでいく。
僕達は慌ててグランを追いかけた。
やがて村が見えてきた。
「ありました!」
「本当に人がいそうな所に着いた...」
「ほめてほめて!」
アーデが頭を撫でるとグランが嬉しそうに笑う。
「えへへ〜」
「次は宿探しだな」
二スターが言う。
「そうだね。早めに宿を見つけよう」
僕達は泊めてくれそうな家を探した。(ちなみにグランは一応、瓶に戻した)
旅人という事で泊めてもらえるようにと色んな家を回り頼んだが、中々泊めてくれる家が見つからない。
当然といえば当然だが、こうも見つからないと不安になる。
野宿覚悟で最後の家を訪ねた。
ノックをすると、中から中性な顔立ちをした人が出てきた。
髪は短く、性別の判別が難しい。
「すいません。旅の者なんですが泊めて頂けませんか?」
「旅の人?」
「はい。そうです」
「わかった。泊まってもいいよ」
最後の最後に泊めてくれる人に出会えた。
中に入れてもらい、お互いに自己紹介をした。
「ボクはアイザック・ラファー。気軽にラファーと呼んでくれ」
「ありがとうございます。ラファー」
宿を見つけて安心していると、ラファーが話しかけてきた。
「どこから来たの?」
その問いかけに咄嗟に嘘を言う。
(別世界から転移してきたなんて言えば、信じてもらえないだろうし、最悪、危ない人だと思われて泊めてもらえないかも知れない)
「僕達は遠くの村から来ました」
「ふーん...」
信じていないのか、素っ気無い返しだ。
慌てて何か言う前にラファーが質問してきた。
「ダンジョンには行くの?」
「ダンジョン?」
よく知らんが、取り敢えず行くと答えた。
「本当!」
「うわっ!?」
ラファーが急に身を乗り出した。
「じゃあさじゃあさ、ボクも旅に連れてってよ」
泊めてくれる人に出会えたは良いが、雲行きが怪しくなってきた。




