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黒剣と行く-跡地  作者: 白姫
ダンジョン1
10/12

新たな仲間

目を覚ますとベットの上だった。

日の光が部屋に差し込み、僕を照らす。

まだ眠い目を擦りながらベットから出ようと掛け布団を捲る。

そこにはアーデが一緒に寝ていた。

僕は驚き、すぐにベットから飛び出る。

(なんでアーデがここに!?どうしよう..起こしたほうがいいのか?)

僕が混乱していると、アーデが目を覚まし、起き上がる。

「ゼノ...おはよう」

「あ、あぁ。おはよう」

つい挨拶を返す。

アーデは僕を置いて部屋から出る。

しばらく硬直しているとアーデが戻ってきた。

「?...行かないの?」

「そう...だな」

僕は流されるがままに歩いた。

やがて大きなテーブルが置いてある部屋に出た。

どうやら食堂のようで、テーブルの上には見たことない料理が並んでいた。

椅子には既にラファー達が座っており、僕とアーデの二人分の席だけが空いていた。

僕とアーデは空いた席に座る。

「皆さん揃いましたね。では、神に感謝していただきましょう」

僕は気づけばまだ何も食べていない。

空っぽのお腹が食べ物を欲して鳴る。

料理を一口食べる。

(美味しい)

お腹が空いていれば何を入れても美味しいと思うが、僕にはそれが凄く美味しく感じた。

無我夢中で料理を食べる。

すると、グリネさんが話しかけてきた。

「お身体の具合はどうですか?」

その言葉に僕は料理を食べるのをやめて身体を見る。

切られた痕は無く、体調も良好だ。

「あぁ、問題無いよ」

「そうですか。それは良かったです」

グリネさんが優しい笑顔で微笑む。


僕達はこれからについて話し合う。

「僕達はこの街から出てダンジョンに向かう」

そうグリネさんに聞くとグリネさんは笑顔が消え、真剣な表情で言う

「私も連れて行ってください」

グリネさんがそう言うとさらに奥の扉が開き、大柄の男が出てきた。

僕を運んでくれた人だ。

その人は僕の前まで来ると言う。

「私も連れて行ってください」


連れて行ってくれと迫る二人を落ち着かせ、理由を聞く。

「まずはグリネさんからお願いします」

グリネさんは頷く。

「実は私、奴隷商人とちょっとありまして…あと、目の前でダンジョンに行くと言う人がいるんです。放っておけません!」

「私も同じ理由です」

大柄の男が割り込んできた。

「私は解放して下さったあなた方に恩義を返したいと思っているんです。ダンジョンに行くのであれば私がお供しましょう」

二人共引き下がらない。

そして僕はついに了承してしまう。


元々この街に来たのは仲間集めの為でもある。

回復魔法が使えるグリネさんと大柄の男が一緒に来てくれるのであれば心強い。

ふと、大柄の男の名前を聞いていない事に気付く。

「そういえばあなたの名前は?」

「シオン・ ウォルです」

「ウォルさん、よろしく」

僕はウォルに握手を求める。

ウォルは僕が何を求めているのか理解したらしく握手に応じた。

「呼び捨てで構いませんよ」


なるべく目立たないようにしながら僕達はレイテさんの家に向かった。

「随分と派手なことしたねぇ...」

家に入れられるとレイテさんにそう言われた。

どうやらレイテさんは既に僕達が何をしたか知っているようだ。

レーラさんから聞いたのだろうか?

大きな部屋に向かいながら会話をする。

「言いふらしたりしないから安心しなさい」

「ありがとうございます」

「その代わり」

「?」

広い部屋に入るとレイテさんがこんなことを言い出す。

「レーラを連れていってねぇ...」

「えっ!?」

レーラさんが驚き声を上げる。

「ちょっと!師匠!どういうことですか!?」

「あのダンジョンにはお前の力が必要だろう。お前さん達もレーラが必要だろう?」

確かにレーラさん程の魔法使いがいたら心強い。

戦える人数が増えるだけでもダンジョンがどれだけ楽になることだろう。

「それにお主はあのダンジョンに因縁があるじゃろう?いい機会だ。修行のついでに一緒に因縁を断ち切って来たらいいねぇ...」

レーラさんが動揺する。

すぐに言い返そうとするがそれを遮るように魔法陣が部屋の床に展開する。

「ししょ...!」

レーラさんの言葉を無視して僕達は光に包まれる。


光が消えるとレイテさんは消えていた。

どうやら自分以外だけを転移させたようだ。

「師匠〜!!」

レーラさんが師匠と言いながら魔法陣を展開する。

しかし、魔法陣は紫色の電気のようなものが流れ、消えてしまう。

「うそ!転移妨害魔法!?」

レーラさんは何度も挑戦するが、時間が経つばかりだった。

うっ、うっ、と涙を流すレーラさんにラファーが言う。

「戻れないならしょうがありません。ダンジョンを攻略するまでの辛抱です。あなたはここで待っていてください。必ずダンジョンを攻略してみせますので」

ラファーの言葉を聞くとレーラさんは涙を拭い、こう答えた。

「いえ、この際です。私もダンジョン攻略を手伝います」

レーラさんが仲間になった。


村などに辿り着きたかったが仲間が増えて始めての夜は野宿になってしまった。

焚き火にあたり、干し肉と芋らしい物が入ったスープを食べながら僕達は雑談をする。


「私、こういうのは始めてでとてもワクワクします」

グリネさんがそう言いスープをすする。

ラファーがグリネさんに話しかける。

「グリネさんは街の外に出たこと無いのですか?」

「はい。街から出る機会があまり無くて...」

「実はボクも最近まで村からあまり出た事が無かったんです」

「そうなんですか!お仲間ですね」

「そうですね」

ラファーとグリネさんが楽しそうに笑い合う。

僕はそれを楽しそうに眺める。

(ラファーはグリネさんと仲良くやっていけそうだな)

この調子ならレーラさんやウォルさんとも上手くやって行けそうだ。

「レーラさんとウォルさんは野宿とかした事あるんですか?」

ラファーがそう話しかける。

「私は全然野宿なんてした事無いですね」

「ウォルさんは?」

「私は...軍に居た時に何回か...」

「ウォルさん!軍に居たんですか!?」

僕は驚き思わず声に出す。

みんなも驚いた表情をしていた。

「はい。昔ですけどね...あと呼び捨てで構いませんよ」

ラファーが早速呼び捨てでウォルに聞く。

「ウォルはなんで奴隷商人なんかに捕まっちゃったんですか?」

その疑問にウォルは頭を掻きながら言う。

「ちょっと戦いで負けてしまいまして...」

「ウォルは王国軍じゃ無いんですか?」

「はい、私は帝国所属でして...元帝国軍です」


帝国。

図書館やラファーの情報だと確か大陸の中央部に位置する国だ。

元々中央部にいた大国ピカリア共和国という国を瞬く間に制圧し、大陸の上部に追いやり、大陸全土にその名を知らしめる程の大国。

そんな大国の軍人が目の前にいる。


「もし良ければ僕を鍛えてください」

僕はウォルにそう頼み込む。

ダンジョンに備えて少しでも強くなっておきたかった。

ウォルは僕のお願いを聞くと、快く引き受けてくれた。

「いいですよ、あなたには恩がありますからね。明日にでも時間を見つけて指導しましょう」

早速明日から始めるらしい。

「ボクもお願いして良いですか?」

ラファーが言う。

ウォルは僕の時と同じように快く引き受けてくれた。

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