序章 第八話 一歳になった
僕はついに一歳を迎えた。と、言っても環境が変わるわけじゃないので別にあまり気にもしていないが。
ただ、暇な時にちょいちょい『知識の書』を使ってこの世界について勉強したり、魔力を鍛えていたりしていた。
そこで、少しわかったことがある。
『何故職業に就かずとも魔法が使用できるか』、については未だに分からないので、異世界の設定が混ざった影響であると考えている。
そしてこの世界には職業に就かずとも魔法が使用できるのに、魔法職がある。
というのも、魔法職に就けば『詠唱省略』や『無詠唱』、『魔法陣複数展開』なんかのスキルを自力ではなく、SPを使うことによって手に入れることができ、尚且つ自力で手に入れるものよりも、効果が高くなる傾向にある。
ちなみにSPというのは、レベルを上げた時に三ポイント貰うことができて、それでスキル等をを習得するために使う。
スキルはランク分けされていて、一番下から『アンコモン』、『コモン』、『レア』となっている。
僕は、今は無職なのでステータスには【職業】の表示がないし、スキルポイントを貰っても大したものはあまり手に入れることは出来ない。
まあ、無職にしか取れないスキルもあるので、レベルを上げてから違う職業にしよう。
ゲームの設定ならば、前回の職業で手に入れたスキルは、職業が変わろうとも持ち越せたはずだからだ。
さて、こんな話をしている内にもシエラが来たようだ。
僕が初めてみた時、シエラは十二歳だったらしい。だから今は十三歳だし、僕が五歳になれば十八歳になる。
シエラは僕の部屋の扉を開けながら、言った。
「イオン様、また書斎へ行くんですか?」
「うん!」
「お外で遊ばないんですか? そんなんじゃ太っちゃいますよ? ちゃんと運動しないとカストリーズ様やカナリア様のように強くなれませんよ?」
シエラはこうして僕が外に行かずに本ばかり読むのを心配してくれる。だが安心してほしい。ちゃんと筋トレしてるから太ることはないと思うから。
それにこの体のおかげなのか、はたまた年齢のおかげなのか、物覚えが速い。
これが年齢に比例していくと考えると、早め早めに大切なものは覚えたほうがいいと思っているからだ。
シエラは僕を抱えると、階段を上がって四階の隅にある、書斎へ連れていった。
実は最近になって書斎にいって、この世界について調べていたのだ。魔法に関してもここで調べた。
「さ、つきましたよ」
シエラはある扉の前で立ち止まった。ま、初めてではないにしろ、ここに来るのはこの体だと、一苦労する。
ちなみに部屋の中は、学校の図書室みたいな感じ、と言ったほうがいいかもしれない。
「じゃあ私も本を読んでいるので、分からない表現があったりしたら、遠慮なく聞いてくださいね」
シエラは僕を床に下ろすと、手短な書架の方へ言ってしまった。僕も、事前に読みたい本の場所は把握しているので、迷わずに進む。
(······お、あったあった)
僕は梯子を持ってきて、本を二冊とる。
それぞれ本の表紙には、"魔法使いになろう~入門編~"、"魔方陣の仕組み"と書かれている。
一冊目の表紙にデジャビュを感じるが、気にしたら負けだ。なんとなくだけど。
梯子から降りた所で、ふとシエラは普段何を見るんだろうかと思ったのでシエラを探してみることに。
(本を読んでるな······)
案外早く見つかった。いや、普通の図書室に比べれば狭いしね? シエラは椅子に座って、机に体を預けながら本を読んでいた。
遠目から見てみると、シエラの傍には一冊の本。表紙までは分からなかった。でも、今シエラが読んでいるのは、アン○ンマン並みの本であることは分かった。
「······あの、何してるんですか?」
「シエラも、えほん、よむんだなーって!」
必殺、純粋無垢な少年の笑顔ッ! これを喰らった者は少しだけ怪しまれない······と、思う!
「え、絵本······いや、私は別にこれくらいの物しか見れないわけじゃないですから!」
「······? う、うん」
何故か怒られた。きっと必殺技を使ったのが逆効果だったのかもしれない。
僕は奥に進んで書架の陰に隠れるようにして、先程の二冊の本を床に広げた。




