序章 第五話 お出かけタイム
お久しぶりです。2019年になったので早速一話。暇な時に更新します。あと、メインは別の作品なので更新スピードは遅いです。
「それイオーン! これが昔、勇者様が伝えたとされる《たかいたかい》だぞー!」
絶対違うッ!!
こんな!! こんな一メートルずつ高さが上がってく《たかいたかい》は存在しない
「あい! いっ、いあやぁい!?」(ちょッ! 高すぎ! 高杉君だって!?)
「ワイゼル様、イオン様が『もっとやってー』って喜んでますよ!」
ちっがぁぁぁぁぁぁうッ!!! むしろもう止めてぇぇぇぇッ!?!?
あ、最近僕は家族について少しでも慣れようと、ワイゼルさんは父様、カナリアさんは母様と言うようにしている。
なんか異世界っぽくてかっこよくない? どうでもいいか。
「おぉそうかそうか! じゃあもうちょい強めで──オラァァァァァァァァッ!!」
更に高度があがり、十メートル程だったものがついに二十くらいにまでなった。······父様、それ高い高いで出す声じゃない。
「やめなさいッ!!」
「あだッ!?」
下で母様の声と、爆音が鳴り響く。恐らくビンタかなにかだろうか。怖すぎる。
······ってうわッ!? 父さんが地面に埋まってて誰も僕をキャッチする人がいなーい!? どんどんと僕は地面に向かって落ちていく。
「お任せあれ!!」
シエラが地面を蹴って空中で僕を抱きしめる。
「よしよーし。怖かったですね」
「クソッ謀ったなシエラァァッ!!」
成程。将来的に僕が父様を嫌いになるように今のうちから騙して酷いことをさせてるんだな。
「べー!」
「違います! 私はただ親離れをと思っただけで······」
「早すぎよ」
母様はシエラから僕を奪うと頭を叩いて地面に埋めた。なんでそんなに手軽にできるんだ?
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
現在僕は転生してから、というか生後と言ったほうがいいだうか。生後八ヶ月になった。
八ヶ月といえば、大体ハイハイを始める時期とされているものの僕は普通に立っていた。でも、歩けはしないんだよね(それでも凄い)。
それと、僕はやっと離乳食をはじめた。
ようやくあの地獄から抜け出させた、なんて思ってたんだけど。どうやらまだ授乳は続けるので結局その喜びは無意味になってしまった。
考えてもみるがいい。まず当然ながらカナリアさんがくれるんだけど結構美人なんだよね。だからなんとも言えない罪悪感になるというか······まぁ、多分あともうちょっとなんだろし頑張ろう。
そんな地獄と天国。授乳と離乳食の生活を続けていたある日。
「そういえばイオンをまだ外に出したことがなかったわ!」
そんなことが母様の口から唐突に家族会議で言われた。ちなみに僕の家は月に一回、気まぐれで家族会議が行われる。
ていうかそんな大事なことを忘れないでよ。僕もだから悪いとは思うけど······まぁ、別に特別外が嫌なわけでもないし。折角のいい機会なんだし連れていってもらおう。
「あういあ!」(行かせて!)
「どうやらイオンも行きたいようね!」
母様やシエラは何故だか僕の言いたいことが分かるらしい。僕の言っていることが分からないのは父様だけだが、それが普通だ。分かるほうがおかしい。
「シエr「はい! お呼びですよね!!」来たわね」
いや速ッ!? 一瞬景色が歪むくらいに速い!
ていうかもうちょっと驚こうよ母様ッ! なんか対応が普通すぎて僕も冷静になれそう!
「早速で悪いんだけどイオンを外に連れていってほしいの」
「イオン様をですか? いいですよ!」
えぇ······そこは了承しちゃ駄目な気がするんだけど。この流れだと母様が僕のことを連れてかない?
「では直ぐに支度をして来ますね!」
こうしてシエラはまた光のような速さでこの部屋を退出した。やっぱり速すぎる。
「おっわりましたーッ!」
そうして三秒もたたずに戻ってきた。いやだから速いよ。仮にも僕赤ちゃんだよ? なんか配慮とかない······か。ないな。
と、ここでガチャガチャっとなにか金属が擦れるような音がした。
「シエラ······本気ね?」
「勿論です。イオン様をお守りする者として何事にも全力がモットーですから!」
そういうシエラの体には所々鎧がついていたり、足の膝辺りにナイフを入れるホルダーがあったりした。
いやいやいやおかしいでしょッ!?!? なんで鎧なんか着けてるの!? 外出るだけだよね?
「もうちょい気楽でいんじゃないか? 子供との散歩くらいでそんな鎧なんか持ち出さなくても······」
父様がシエラの雰囲気に圧倒され、言葉につまりながらもそう言った。いいぞーもっと言ってやれー。
「お言葉ですがカストリーズ様。万が一のことがあった時はどうするんですか。例えば暗殺者に狙われたり、空から下級龍が襲ってくるなんてことだってあり得るんですよ?」
「あぁうあいやぁ」
「あるわけないだろ」
僕と父様が冷めた目でそう言った。ちなみに初めて意見があった瞬間かもしれない。
「万が一です」
「いや、でもだな。下級龍なんてでても、ピンポイントでイオンを狙うことはないだろ?」
「万が一です」
「いやだからだな「万が一です」」
「万が一です」
「······」
父様はすっとシエラから視線を反らして、それっきり口を開かなくなった。押しきられたぁぁぁぁぁぁぁッ!!! もうちょっと粘ってよ父様ぁぁぁ!!!!
「そうね。とりあえず村の広場に行って皆んなに挨拶してきなさい」
「ついにお披露目ですね!」
「そうだな。うん」
一人を除いて皆んなヤル気満々だ。マジで何しに外に出かけるんだこの人たち。挨拶とかそういう雰囲気じゃないだろこれ。
「それじゃあ一時間程経っても戻ってこなければ捜索隊を派遣してください」
「わかったわ。気をつけてね」
「······戦地にでも行くのか?」
「黙らっしゃい!!」
「はい!」
もうこの流れを断ち切れる者はここに誰もいなかった。僕も含めて。
明けましておめでとうございます。こんな駄作を熱い目でみてやってください。




