序章 第十二話 逃避
今日はもう一回投稿するつもりです。
(まずは歩いて村のほうに行ってみるか)
僕は屋敷を出た後、テクテクと村に続く一本道を歩きだした。
突然だが僕の父、カストリーズ・ビクトリアは名誉男爵──つまり貴族のはしくれである。
今回いこうとしているのはそんな父が治める領地の村──『マーラ村』である。
マーラ村は総人口157人で日本では小規模な村である。が、この世界だとこれが普通である。
この領地、『ビクトリア領』は『王都オムニブス』の南にある山を越えた先に位置しており、名誉男爵が持つには少し広い領土である。
ちなみに王都オムニブスはこの世界にある三大大陸の一つ、『メリスラル大陸』を治める国だ。
マーラ村は周辺にある森から採れる『フネン』という木を売りにしている。
その名前の通り、その木に炎がつくことがないので、町や村の家の材料に使われている。
他にも『魔力回復薬』──魔力を回復させることのできる薬──の一番下のFランク作成の材料の一つである、『ターリア草』というものを栽培している。
ちなみにランクというのは、一番下からF、E、D、C、B、A、Sとなっており、Fランクのマジックポーションは大体十~二十前後しか回復しない。逆にSは一万~二万前後と意外に少ないものである。
アークでレベル80前後までいけば、魔力は最低でも五万程にもなる(最高レベルは100)。ちなみに僕は『転生システム』というものを四回程やっていたので、魔力は百万程もあった。
ルンルン気分で歩いていると、もう村の入り口にさしかかっていた。シエラと鬼ごっこ以外で来た時には大体十五分程だった気がする。
村の中は疎らに家が立っており、中央あたりには広い広場のようなものがあって、そこで五歳くらいの子供達が遊んでいた。
(第一村人発見······ちょっと声でもかけてみようかな)
僕は顔を引き締めて、広場に歩きだした。仲良くできるかな~なんて、思い、ながら······。
でも、意思とは違って体は動こうとはせず、何故か震えるばかりだった。
(あ、怖いんだ)
その結論に至るには、そう時間を要さなかった。
また殴られるかもしれない。また罵られるかもしれない。そうなってしまったら、転生して一度は立て直したけれど、僕には到底耐えられるものではない。
──ああそうだよ。こんなこと言ってちゃ友達なんて一生出来ないなんてことはよく分かってる。でも怖い。
なにか一つでもミスをしたら。なにか一つでも異質であれば。
子供とは自分と同じものではないものを、とても忌み嫌う。
いや、子供だけじゃない。周りの大人だってそうだ。
(三年も経っててまだ怖いなんて······ほんと情けないな)
村に来る前のルンルン気分はどこへやら、僕はとぼとぼと自分の家に戻っていった。
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そして何を思ったのか、僕は森の入り口付近で魔法の練習をしていた。
「──『火球』ッ!」
正面にあるフネンの木に向かって、炎の球が飛んでいった。
火の球は幹の部分に着弾すると、少しあとを残して消えた。
「──『水球』ッ!! ──『反射』ッ!」
今度は水球を放った後、少し向こう側に白魔法の一つ、『反射』を発動させて自分が放った水球を反射させた。
「──『火盾』ッ!!」
僕は火の盾を形成させてそれを防いだ。
(やっぱり魔力を籠める量によって防ぎ易さが変わるな)
先程の『水球』と『火盾』はどちらとも同じ比率で魔力を籠めた。
結果、当たった時に少し水蒸気が発生しただけでなんの抵抗も生まれなかった。
逆に『反射』で『水球』を反射させた時、『反射』に籠めた魔力は『水球』の半分程。
結果的には、反射の魔法陣が向こうで砕けていた。
僕はそのまま色々な魔法を防御系の魔法で防いでいった。
が、ずっと頭の片隅にあった事は、
(僕は何をやってるんだろう)
だった。
魔法の解説。
・『火球』······中級火魔法に分類される。ハンドボールくらいの大きさの火の球を発射する。
・『火盾』······中級火魔法に分類される。手のひらを中心に小さな火の壁を作り出す。
・『水球(ウォーターボール』······中級水魔法に分類される。ハンドボールくらいの大きさの水の球を発射する。
・『反射』······中級白魔法に分類される。発動させた時に対象の魔力が『反射』よりも下の場合、弾き返す。




