序章 第十一話 マンネリ気味な日々
三歳になった。
今じゃもう普通に歩け、言葉も流暢に話すことができるので、一人部屋を与えられた。
と言っても、元々あった僕の部屋に本棚とか机とかベッドとかを置かれただけだが。
(目覚めのいい朝だ······)
異世界に転生して早三年。僕はすくすくと成長している。
身長は九十センチ程になったが、この世界だとこの年の平均身長が百センチ程なので、低身長だ。
魔法だって、初級魔法に関しては詠唱省略が可能になり、少し中級魔法を触りだけやっている。
ステータスに関してはあまり見ないようにしている。なんだかゲームの僕と比べて萎える気がするからだ。
まあ、この前見たら【魔力】は1284という数字があった。このままいけばゲームの僕の魔力も越えられるだろう。
異世界での僕の朝は早い。
日の出くらいに目を覚まし部屋の中で筋トレを始める。
そして筋トレが終わると次は魔力を消費して気絶する。
気絶しているとシエラが起こしにきて朝ごはん。
それが終わったら家の書斎に籠って魔法の練習をする。
といったことを二年も続けていた。
が、最近は本当につまらない。
(なんだかマンネリ気味だな······)
何をしていても、これでいいものか。もっとやる事があるのではないか。と、常々考えるようになった。
そう、そろそろ刺激が欲しくなってきたのだ。
そして何の因果かは知らないが。
いつの間にか外に出たいと思いはじめていた。
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「母様。外に遊びに行ってきてもいいでしょうか」
僕は椅子に座る母様にそう言った。ちなみに母様の隣には父様が座っている。
僕がそう言った途端、母様がダンッと音を立てて立ち上がった。
「······そう。ならば私を倒してからいきなさい!」
いや魔王? それ母親のセリフじゃないと思うんだけど?
「カナリア。別にいんじゃないか?」
「別に私は行かせないなんて言ってないわよ。ただ心配なだけよ」
それはまあ、納得できるかもしれない。なにせ、今まで外に出たいとは言い出さなかった息子が、いきなり出たいと言い出したのだ。
「イオン」
「──ッ! はい!」
少し間があったので、押しが弱いのか? もう少しなにか言うべきか? と考えていたところ、いきなり声をかけられた。
「森には絶対に入らないこと。魔物に出会ったらすぐに助けを呼ぶこと。夕方までには必ず帰ってくること。あと、お友達が出来たら私かお父さんにでも紹介しなさい。いいわね?」
「はい!」
「それじゃあ気を付けていってらっしゃい」
「はい!!」
僕はその言葉を聞いて、すぐに玄関の扉をあけて外に駆け出していった。
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「いやぁ、やっとイオンが外に出たいって言ってくれてよかったな」
椅子に座ったまま、カストリーズが笑いながらそう言った。
「そうね······シエラから聞く話だと、ずーっと本ばっかり読んでて心配になってくるって聞いてたから」
「そうなんだよな。それに、イオンが本を読んでる時間帯にゃ、どこからか魔力の流れを感じるから俺も正直心配してたんだよな」
ちなみにそれはイオンが本を読みながら魔法を発動した時に漏れ出す、無駄な魔力がカストリーズに感知されているのである。
「······あれ? なあカナリア」
「ん、どうしたの?」
なにか引っ掛かる節があったのか、カストリーズはカナリアに振り向いてこう言った。
「イオンってなんで文字が読めるんだ?」
「え、あなたが教えたんじゃないの?」
「いや、俺はてっきりカナリアが教えたもんだと······」
あれ、と二人は首を傾げた。
ちなみにシエラが教えた、という選択肢は元からない。というのも彼女は文字を教えられるほど、公用語が得意ではないからだ。
「······まあ、いいか」
「そうね。別に教える手間が省けたと思えばそれで」
この両親、親バカである。




