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序章 第十話 居眠り天使

 

 属性を調べ始めてから、かれこれ二十分が経過した頃······。


(あれ······全属性使えちゃったぞ······!?)


 そう、さっきから本を読みながら魔法を唱えてくと、驚く程ポンポン魔法がでてくる。


 さすがにこの『魔法使いになろう~入門編~』には神聖魔法や召喚魔法がのっていなかったので、それらが出来るかは分からないが。


(まぁでも調べてみたら全属性持ちなんて三十人に一人くらいらしいし······)


 三十人に一人くらいがどのくらいなのかは知らないが、特に僕が凄いわけじゃないだろう。

 僕は左手に出している『ブレイズ』に魔力を籠めながら、一人で納得した。


 ちなみに今やっているのは実験だ。魔法に魔力を籠め続けたらどうなるかとか、一気に放出したらどうなるかとか。

 魔力を籠めていったら、炎の勢いが増した。それに一気にやったら、噴射するみたいになった。


 二十分もやっていると、魔法発生の仕組みが大体分かってきた。

 まずは詠唱によって魔法陣を作り出す。

 そこから魔法陣に魔力を流して威力調整。

 そして発生直前に魔力を流して範囲調整をして、発生する。


 無詠唱というものもあるが、その場合は頭の中で魔法陣を作ることになる。


 つまり、魔法陣とそれから発生する魔法がどういったものなのかをあらかじめ頭の中に浮かべるのだ。

 そうすることで、詠唱なんて覚えなくてもいいし、魔法の種類の幅が大きく広がる。


(魔法に関しては魔力の強化と高速で詠唱できるようになるのが当分の目標だな)


 一応五歳程になったら剣術やら魔法やらを両親が教えてくれるそうなので、当分は魔力の方を鍛え、体を作っていくのがいいだろう。



 当分の目標が定まり、ホクホク顔で書斎を出ようとした時。


(あ、シエラのこと忘れてた)


 魔法使ったことはバレてないといいけど。と、若干冷や汗をかきながら、シエラがいるであろう場所に向かった。


 生憎とシエラは机に突っ伏して昼寝(シエスタ)していた。


(なんか神々しい······ッ! そうじゃなくてもとっても絵になる······)


 シエラの近くにある窓から、日光が射し込んでいて、一つの芸術を見ているような気分になった。


 ──っと、いけないいけない。僕は今日のところはもう書斎に用はないので、さっさとシエラを起こそう。

 僕はシエラが座っている椅子に近づいた。


(ほんとシエラって美少女だよなぁ······)


 今は確か十三歳のはず。お見合いの話とか浮いた話はないんだろうか。

 僕自身、彼女の昔の職業だけは知ってるからどうこう言うつもりはないが、一つくらいあってもいい気がする。


(もったいないなぁ······)


 僕はそう思いながら、椅子を揺らし始めた。


「シエラおきてー」


「あぁ······イオンさまぁ······食べたいですぅ··········」


 あの、どんな夢を見てらっしゃるんですかね。

 ······やめてよ? 怖いからやめてね? 本当に食べたらやだよ?


「シエラーおきてよー」


「·········イオンさまとわたしをとぉざけるのはだれですかぁ······?」


 本人ですけど?


 ていうか、全く起きそうにないなこれ。じゃあ"あれ"やるか。

 僕はシエラが座る椅子の後ろにまわりこんで。


 一気に椅子を引っ張った。

 良い子は危ないからやっちゃだめだよ?


 案の定、机にあずけていたシエラの上半身が床に落ちていった。


「──いてッ!?」


「シエラ起きたー!」


 んー『やっと起きた!』って言ったつもりなんだけどなぁ。将来的にこれが続くようだったら少しヤバいかも。


 シエラは眠たげな瞳をこちらに向けて、ボーっと十秒くらい静止した後、唐突に頭を横にふりはじめた。


「·········そんなお起し方しちゃだめじゃないですか」


「ごめんシエラー」


 まあ、下手したら大怪我してただろうし、素直に謝っとこう。


「あぁ可······じゃなくて。これからはもっと丁寧に起こしてくださいね?」


「はーい」


 なんで寝てる事前提なのかな。


 この後、僕はシエラに抱えられて書斎を出た。そして月日は流れ──、



 

 僕は三歳になった。


 作者の都合上により、元の作品を非公開設定に近い状態にしました。一応、題名を検索すれば出てくるはずです。

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