序章 第九話 魔法
すいません。どうやら違う小説を投稿してしまいました。本当にすいません。
本を広げたはいいものの、最初にどっちから読もうか。
『魔法使いになろう~入門編~』は題名から察する通り、魔法の基礎が書かれているだろう。
僕としては先にこちらを読みたい。折角魔法があるんだし、はやく使いたいからね。
『魔法陣の仕組み』の方で悩むのは、この本があるということは初心者が使う魔法と、熟練者が使う魔法は同じもののようで同じものではないことになる。
僕が発動させた時、それがどういった魔法陣なのか理解できなければ対処できないからだ。
(······よし、決めた。魔法使いになろうを読もう)
もしもの時は寝ているがシエラがいる。でもシエラに頼るということは自分が魔法を使えることを、両親に悟られてしまうことになる。
でも。両親に見つかってもなんとかなりそうな気がする。
(あの二人ならきっと、『天才』の一言で片付けてくれる気がする)
もしかしたら、無いという可能性もある。だけど、僕にはそれが考えられなかった。
自分でも二人の事は信用しすぎだとは思っている。多分、普通の人だったらそんなさっぱりいかない。
けれど。何故だか知らないが──二人なら。僕の"両親"なら、笑顔で受け止めてくれるだろうと、確信できる。
(注意。お子さまの手の届くところに置かないでください。大変危険です······洗剤かな?)
なぜだがこの著者に勝ったような気がしないでもない。
まあ、いちいちこんなことしてたら時間が勿体ないので、ペラペラと読み進めていく。
本の内容を要約していくと、こうなる。
・この世界の魔法は大きく分けて三種類に分かれ、『破壊魔法』、『神聖魔法』、『召喚魔法』に分かれる。
・破壊魔法は、手から炎や氷等を出して攻撃するようなもの。神聖魔法は、バフやデバフ、回復などの支援系。召喚魔法は、召喚獣を使役したり、契約の時なんかに使う。
・一般的に神聖魔法は、治癒魔法、解毒魔法、支援魔法とで分類される。
・魔法は基本的に魔力を使う。召喚魔法は呼び出す対象が高位のものであればあるほど、要求されるものが多くなる。
・魔法にはランクのようなものがあり、下から順に『下級魔法』、『中級魔法』、『上級魔法』、『超級魔法』、『魔級魔法』、『神級魔法』となる。
・魔術師等で、最初に取得できるような魔法──所謂下級魔法は一貫して『生活魔法』と呼ばれている。
・魔法には属性があり、火、水、風、土、黒、白の六属性。更に上級になるとそこに、氷、雷が追加され、黒、白が闇、光になる。
・六属性の内、白魔法はアンデッド系の魔物に対抗する手段として用いられる他、光にも関係している魔法である。
・人は最低でも一つ、必ず属性を持っている。たまに全属性を持つ人もいるが、全属性持ちの魔法は、一つだけの属性のものの魔法には数段劣る。
と、一通り読んで見て思ったのが、魔法に関してはゲームよりも異世界のほうが若干混ざっている気がする。
異世界寄りのゲーム設定は、異世界のものに基づくのだろうか。まあ、後で考えるとしよう。
(魔法を使うには『魔力操作』のスキルが必要······うん、あるな)
魔力操作──スキルレベルが上がる程、体内を流れる魔力を操る技術が上がっていくスキルだ。
魔力をより早く操れるようになれば、魔法を速く撃てたりするらしい。
僕は早速魔法を使う為に、本に書いてある生活魔法を唱えることにしてみた。
「わがてもとにちいさきともしびを。『火炎』」
唱えた瞬間、手元に赤くて小さな魔法陣が現れ、そこからライター位の火が、一瞬だけ爆発するかのように出てきた。
(詠唱から想像するに、光源みたいなのを出すんだと思ってたけど······)
なんかこう、ずっと燃え続けるものだと思ってたんだけど······? まあ、気をとりなおして次にいこう。
「わがゆびさきにせいりょうなるみずを。『水流』」
今度は指先に、青くて小さい魔法陣が一つ出てきて、ピュッ、と効果音がつくくらいの水が出てきた。
(あれ······やっぱりおかしいな。『火炎』や『水流』なんかは生活魔法──つまり、生活に役立つ魔法だ。だから、水鉄砲みたいな感じのものしかでないわけじゃないと思うんだけど······)
やはり『魔法陣の仕組み』を先に読むべきだったのだろうか······。
だけど、これだ! って言う答えが喉の奥まででかかっている。
(······そういえばネトゲ仲間がなんか言ってたな······)
確かそのネトゲ仲間──名前はイカライスという──は宴会魔法とかいう謎魔法を作ってた。そして、そのネトゲ仲間は確か······──
──魔力が沢山ないと出来ないんだ。
──へぇ。何で?
──例えば火の火力を維持、もしくは上げるとなると、燃やすものが必要だろ? それと同じさ。
「ああ! おもいだした!」
ピンッときた。そう、彼が作った宴会魔法。あれは、魔法の維持に随時魔力を消費する仕組みになっていた。
ちなみに宴会魔法というのは、その名の通りに宴を盛り上げるためにプレイヤーが独自に作り出した魔法の一つだ。戦闘には全く役に立たない。
(ということは、魔法に魔力を注ぎ続ければいいのか)
なんとなく納得できたので、早速それを踏まえてやってみた。
(おお······! 火が燃え続けてる!)
僕の手のひらには小さな赤い魔法陣が浮かびあがり、その上に小さい火が燃え続けていた。
左手でつついたり握ったりしても、熱くないし、消えもしない。
(よーし! この調子で僕の属性を調べていこう!)
こうして僕は本を読みながら、魔法を詠唱していくのだった。
前の魔法。
・『治癒』······初級神聖魔法に分類される。対象の自然治癒能力を向上させて、回復力を高める。
・『跳躍』······中級風魔法に分類される。風の力によって自分を飛ばす魔法。最大十メートルくらい飛べる。
・『闇の捕縛』······上級闇魔法に分類される。三つの輪を形成し、相手を拘束する。そのまま潰すことも出来る。
今回の魔法。
・『火炎』······下級火魔法に分類される。手のひらに小さな火を灯す。拳大くらいまで大きくなる。
・『水流』······下級水魔法に分類される。手のひら、又は指先から水を出す。魔力を抜かないと飲めない。




