表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平穏無事な生活がしたい  作者: misuto
プロローグ
1/33

プロローグ

 都市部から車で数時間走ると紅葉が生い茂る山の先に清らかな川が流れる村がある。長い歴史を感じる木造家屋が立ち並ぶ村に1つだけある高校の体育館ではセミの鳴き声が聞こえる中、終業式が行われていた。

 明日からの始まる夏休みを前に校長先生の長広舌(ちょうこうぜつ)に生徒だけでなく職員も飽き飽きしている中、目を瞑りながら時折首を縦に振っている少年がいた。

 少年の実家は古武術道場をしている。名前は暁信。高校2年だ。

 校長の話が終わり、生徒が教室へ戻ることになっても少年は首を振るのをやめない。

 隣に座る同級生が転寝(うたたね)をしている信の肩を揺すってようやく目を開いた信は同級生たちと共に体育館から教室へと戻り、担任から転寝をしていたことについておしかりを受けて解散となった。

 信は高校の正門で同級生と別れ、帰路につく。

 鞄を脇に挟んで本を読みながら7時閉まる商店、蜘蛛の巣が張った自動販売機の前を通り過ぎ、茎の中から稲穂が顔を出そうとする稲が並ぶ水田を抜けた先に山の中腹に建つ家まで続く石段を登る。

 石段の両端には火に強い性質を持つ銀杏(いちょう)が植えられている。

 最後の石段を登った先には二階建ての木造家屋と道場、蔵。そして道場へ泊り込みで稽古に来る門下生のために用意された2階建ての宿舎。

 現在宿舎には誰もいない。

 安土桃山時代から何度も補修しているため、見た目からだと想像できないが築何百年を越える歴史ある建物。

 信はそれら歴史ある建物は毎日見ているため興味を示さず本を読むのをやめずにまっすぐ自身が暮らす2階建ての木造家屋へと足を向けた直後。突風が起こった。

 突風に耐えられなかった木の葉や落ちた枯れ葉が舞い散る中、微かに聞こえた枝を蹴る音反応し、本を閉じながら前へ転がるように飛んだ。転がったことによって白いワイシャツと黒いズボンが土で汚れてしまったが気にする余裕はないすぐさま起き上がり、先ほどまでいた場所へ振り向くとそこには抜身の刀を振り下ろした容貌(ようぼう)魁偉(かいい)の40代前半の男が立っていた。服装は道着に袴姿。右眉の上から頬にかけての刀傷、気の弱い者であれば怯んでしまいそうな鋭い眼光。

 幾多の死線を乗り越えた者だけが持つ雰囲気を醸し出している男は信に向けて腰に差していたもう一本の刀を投げる。

 信は刀を受け取ると本を地面に置いて鞘から刀を抜き、正眼に構える。

 男もそれを見て、上段に構えた。

 ゆっくりと優しい風が吹き、信と男の頬を撫でるが両者は動かない。

 その時、1枚の銀杏の葉が枝から離れ、風に運ばれ、両者とのちょうど真ん中にゆっくりと落ちた。

 ザッ。その瞬間、両者は一瞬の内に間合いを詰め、信は男の喉を突きに、男は信の頭へと刀を振り下ろす。

 ガラガラバン。玄関の扉が勢いよく開かれた音を合図に信と男はあとほんのわずか動かせば切れる寸前で刀を止めていた。


「あなた、信。家の前で何をしているのかしら」


 玄関から出てきた女性は笑顔を浮かべながら近づいてくる。瑞々しい唇が開かれ優しく綺麗な声が発せられるが、声のうちに秘められた怒気を感じ取り、男は無意識に一歩下がり刀を鞘へ納めた。それを見て信も地面に置いた鞘を拾い納めて飛んだ際に落ちた鞄と置いていた本を拾い、土を払っていると先ほどまで真剣勝負をしていた男が女性の前に正座をして説教を受けていた。


「あなた、いつも言っているでしょう。制服が汚れるから試合をするなら信が道着に着替えてからしてくださいと」

「いや、それでは突然襲われた時の鍛錬に「あなた」…以後気をつけます」


 先ほどまでとは打って変わって身体を小さくしながら説教を受けている男が父の(あかつき)(まこと)

 説教している女性は母の(あかつき)(さくら)。信を20歳の時に生んでからすでに17年。36歳を迎えていながら明眸(めいぼう)皓歯(こうし)の端正な顔立ち、未だ信と歩くと姉弟に間違えられる程の艶とハリのある白い肌、腰まで伸ばした絹のような黒髪、着物を着た姿で嫋やかな身のこなしをするため大和撫子を連想する母は父の猛アタックの末に結ばれたらしいためか今でも母には頭が上がらない。情けない父の姿にため息をついたところで説教にひと段落着けた母が父をそのままに信へ近づき「信、おかえりなさい。さあ、制服を洗うから脱衣場の籠に入れて置いてくれる?」と言った母に「ただいま」と答えて、玄関に入る前に制服についた土を軽く払ってから脱衣場に向かった。

 制服を脱いだタイミングで母が着替えの着物を持ってきてくれた。その際「お父さんが話しておくことがあるから居間に来るように言っていたわよ」と言われたため着替えの後に居間へ入るとそこには先ほどまで説教を受けていた父が腕を組んで座っていた。

 父の正面に座ると母が父と俺の前にお茶を出してくれる。

 お茶を一口飲んでから父が口を開いた。


「信、明日から一週間。TG警備の門下生が多く来るからお前も稽古に出て手伝え」

「わかったよ。父さん」


 俺は幼いころから鍛錬をしているため、よく門下生の稽古に駆り出される。

 特に人数が多い時などは父の目が行き届かない者もいるため学校がある日以外はよほどの事がない限り応じている。


「話は終わったみたいね。ご飯にしましょう」


 昼食を乗せたお盆を持って母が居間へと入ってきた。

 テーブルに並べられた料理から今日の昼食のメインは肉じゃが。

 母が作るご飯はとても美味しい。昔は門下生が来るのは母の料理が目当てだと思っていたことがある。いまでも門下生がここへ来る理由の1つであることは間違いないと思っている。


 ◇


 昼食を食べ終えて、父から稽古を受けて、軽く汗を拭ってから夕食をとって、さらに2時間自主鍛錬をして風呂に入って自室に戻ると先ほど読んでいた本の続きを読み始める。中途半端なところで邪魔をされたのできりの良いところまで読んで宿題を終わらせる。

 俺の唯一の趣味は読書。

 幼いころ、過酷な稽古から逃げるために蔵の中へ逃げ込んだ時に出会った壁に所狭しに並べられた大量の本を読み始めから読書が趣味になった。

 蔵の中には絵本から専門書、学術論文まで蔵書されていた。蔵には地下もあって、いったい何冊あるのかと思うほど山のように古い本が積まれていた。その後も毎年蔵の中にある本が増えている。両親が買って来ているのだと思うが両親が読書をしている所は殆ど見たことがない。

 明らかに見ている量よりはるかに大量の本が蔵の中へ入っている。

 俺としてはありがたいが不思議だ。

 家にいる間は殆どが稽古の時間のため自由に使える時間はそんなにないが学校の登下校や休み時間、家にいる時は寝る前の1時間から多い時で2時間。学校の宿題やテスト勉強はなるべく学校にいる時に終わらせるようにして、読書時間を増やすために日々努めている。

 読書をきりのよいところでやめて、宿題を終わらせる。まずは得意な数学から終わらせよう。


 ◇


 夏休み初日。

 銀杏並木の石段を登った先にある道場から元気の良い声が聞こえる。

 今日の朝。TG警備会社の門下生が団体でやってきた。

 道場には警備会社や警察関係者、結構有名な実業家や政治家も門下生にいる。

「どうして、こんな田舎の道場に」と思ったこともある。ある実業家の門下生に話を聞いた時「ここでは学ぶことが多い」と答えが返ってきた。

 具体的な内容については聞いていないが、そんなことより年上の人達から休憩時間や食事の時間に政治、経済、経営等色々な事を教えてもらっている。

 うちの古武術はどんな武器を持って、どんな状況であっても生き残るため長い年月をかけて様々な流派を組み入れていることから特化した武器はない。

 刀術・槍術・弓術・柔術等の武芸全般を一通りできるのだが、習うことが多すぎて習った事を忘れないための時間が年月を経るごとに増えていった。

 高校生になって初めての夏休み。父が突然「お前も高校生だ。そろそろ砲術の練習をしてもいいだろう」と言って夏休みの最初の2週間をアメリカまで行き、銃を撃ち続けたのが初めて海外旅行。

 さすがにそれはやりすぎだと母に怒られていたが…

 母は怒らせると怖いが普段は淑やかな性格をしている。

 それから1週間。警備会社の団体が帰っていった日の夜。

 家にある固定電話がなる。

 夜に電話が鳴ることは珍しい。いったい誰からと首を傾げた母が受話器を取った。最初は普通に話していた母が、次第に顔が青ざめていき、受話器を置いたと同時にふっと力が抜けたように柱にもたれかかるように倒れた。

 慌てて父が駆け寄り、「何があった!?」と母を抱えながら訊ねると母が小声で父に答える。


「お父さんが…交通事故に遭って意識不明の重体で入院したって。いつ死んでもおかしくないから現地に来て欲しいらしいの」


 こんなに弱々しい母を初めて見た。父は父の腕を掴んで震えながら話す母を強く抱きしめた後、どこかへ電話をかけてから海外旅行用のトランクに服等を詰め始めた。


「信、お前も準備しろ。これから中東へ行く」


 先ほどの母の話から祖父が無くなったことが分かった俺は無言で頷き、旅行用鞄に下着などを入れて準備が終わると父が出した車に荷物と消沈している母の肩を支えながら乗り込み、山の裏手にある道から山を下り、都市部へと向かった。

 その後、空港に着いてから乗り継ぎをしながら中東の1国イスラエルに到着した。


 ◇


「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」


 木魚の叩かれる音と共に住職が般若波(はんにゃは)()(みった)多心経(たしんぎょう)を唱えている。

 俺はいま父の喪服を借りて祖父と両親の3人分の喪主を務めている。

 両親と共に祖父が入院する病院に一番近い空港へ到着した日。空港から病院へ向かうためタクシーへ乗り込もうとした瞬間タクシーが爆発した。その爆発により助手席に乗ろうとした父と後部座席に乗ろうとした母、そして運転手が死亡。爆破当時、母の後ろにいた俺は奇跡的に爆発によって吹き飛ばされて着地の際に頭を打ったが気を失うだけで済み。検査の結果脳内部への損傷はなく、たんこぶとかすり傷程度の軽傷ですんだ。

 しかし、意識を取り戻した時、見舞いに来ていた大使館職員から両親が死んだことを聞かされ、看護師や大使館職員の制止を振り切って両親の遺体が安置されている場所へ向かった。

 再開した両親は顔だけ見える棺に入れられていた。身体は損傷がひどく見ない方が良いと安置所の職員に言われた


「父さん、母さん」


 棺の中にいる両親の顔は今にも置きそうなほど綺麗に化粧がされていた。

 両親の棺の前で膝をつき無理に動いた反動からかそれとも心が襲い掛かる現実に耐えられなかったのか崩れ落ちるように意識を失った。

 翌日には意識を取り戻したが再び見舞いに来た大使館職員から今度は祖父の死が告げられた。何者かが生命維持装置を外したことが原因らしい。両親に続いて冷たくなった祖父と対面した時、祖父までも家族を全員失ったこと実感した。

 もう自分は一人なのだと。

 病院からこれ以上の検査は日本に戻ってからしたほうが良いと言われて両親と祖父の死体と共に日本へと帰国した。

 帰国して出迎えに訪れたのは加藤五十六さんという大柄で厳つい顔をした50代後半の男性。生前の祖父の顧問弁護士をしていたらしい。その関係で両親とも何度か会って話をしたことがあると言っていた。

 加藤さんは助手席に俺を乗せて家まで送る途中に今後の予定について話をした。

 生前。祖父は今回の事を予期していたかのように加藤さんへお願いをしていた。祖父が死んだ連絡が来てからすぐに葬式の準備を取り掛かったらしい。そして、帰国した翌々日には大規模なお葬式が執り行われた。

 祖父は世界規模の会社の創業者だった。また途上国の子供達へ支援する慈善団体の創設者でもあったことから多くの国と人に慕われていた。日程の関係で来られなかった人も多かったが祖父の死を惜しんで多数の人が参列のために訪れた。

 そして、両親のお葬式も併せて行われたため両親と付き合いのあった者も参列し、約2000人の参列者が訪れた。

 祖父とはあまり会うことはなかったが会った時は色々な話を聞かせてもらった記憶がある。見ていると自然とこちらも笑顔になる柔和な表情をする人だった。

 参列者の方々が献花している光景をどこか別世界を見るように眺めていると後ろから殺気を感じた。考えるよりもさきに身体が動いていた。

 前に転がるように避けて、起き上がって先ほどまで座っていた椅子へ目を向けると椅子にナイフが突き立てる男がいた。

「キャァァァァ」と参列者から悲鳴が上がる。

 慌てて周りがナイフを持った男を取り押さえる。


「くそおおお、貴様さえいなければ!」


 会場が騒然となる中、取り押さえられた男がこちらを憎々しげに見ている。


「すぐにこの男を会場から連れ出せ!」


 加藤さんが会場にいた警備員に男を連れ出すように指示を出す。


「怪我はありませんか」

「はい…大丈夫です」


 加藤さんが「よかった」と安堵の息をついてからすぐに表情を引き締め、あの男から事情を聞いてきますと言って場を辞した。

 俺は両脇を抱えられながら連れて行かれていく男の後ろ姿をみて茫然自失になっていた。


 ◇


 ピーンポーン。

 途中殺人未遂事件が起こった葬式の翌日の朝。信の耳に来訪を告げる音が聞こえた。

 昨日葬式が終わり、火葬や遺骨の埋葬等が終わった後、家を戻ってから居間の仏壇に並んだ3つの遺影と位牌の前に座り、一睡もせずに夜を明かした信は眠気を感じることなく研ぎ澄まされた感覚と共に玄関へ向かった。

 ガラガラ。

 カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ。

 玄関を開ける無数に焚かれたフラッシュの光に目が焼ける様な錯覚がした信は咄嗟に目を守るように右腕を掲げると、今度はマスクが向けられた。


「信さんですか?昨日の殺人未遂事件の事でお話を伺いたいのですが今よろしいですか?」

「殺人未遂の犯人が親族だと情報が入っているのですが本当でしょうか?」

「お爺様とご両親をなくされた今の心境を教えてください!」


 突然の事に何も言えずに立ち尽くしていると玄関前にいる人たちを「邪魔だ!どけ!」と押しのけて加藤弁護士が現れた。

 加藤弁護士は信の腕を掴むと玄関に入り、扉を閉め、鍵をかけた。

 その後、未だに状況が呑み込めていない信に対して加藤弁護士は「すまないが勝手に上がらせてもらうよ」と靴を脱いで上がると迷うことなく1階にある窓や裏にある扉等に鍵をかけていき、カーテンを閉めて外から見えないようにした加藤弁護士は玄関を入ったばかりのところで立ち尽くす信の下に戻ってくると頭を下げた。


「突然訪ねてすまない。昨日の事と今後の君の事について話しておかなければならない事があってきたのだが。勝手に上がって申し訳ない。仏壇に線香をあげさせてもらってもいいかな」

「はい、こちらへどうぞ」


 居間へ案内された加藤弁護士は仏壇へ線香をあげ終えると身体を信が座る方に向けて、口を開いたが言葉を発する前に唇を噛みしめて俯いてしまった。

 その姿を見て話が長くなりそうな予感がしたので「待っていてください」と言ってからお茶を入れるために台所へ向かった。


 ◇


「昨日、信君を襲った男の身元が判明しました。信君を襲ったのは信君のお母さんの従弟です」


 出したお茶を一口飲んでから加藤さんが昨日襲った犯人の事を話し始めた。

 しかし、その正体に耳を疑った。


「母…従弟?」


 どうして、これまで会ったこともない母の親戚が俺を襲うのだろうか?

 首を傾げるのを見て、「当然の反応だと思う」と頷いた加藤さんは言葉を続ける。


「いいかい。落ち着いて聞いて欲しい。これから話すことは第三者の私も衝撃を受けるほどの内容だった。だから当事者である君にいま話してよいものか悩んだがこれを話さないとこれからの話が出来ない。どうする日を改めるようか?」

「いえ、聞かせてください」


 気遣うように優しく語り掛けてくれる加藤さんに首を横に振ってから聞かせてほしいと伝える。

 聞かなければならない。そんな思いがしたからだ。

 俺の答えを聞いて少しの間の静寂の後、加藤さんは重い口を開き、今回の祖父の交通事故から昨日の殺人事件までの経緯を話してくれた。

 事の発端は祖父の資産だった。母方の祖母はすでに他界している為、1人娘であった母に全ての遺産が渡る。そこで、母を殺して祖父の兄弟姉妹が遺産を受け取れるようにするため、母の殺害計画が作成された。しかし、祖父にばれれば意味がないため、祖父を意識不明の重体にしてから母を呼び出し、殺害した後に祖父を殺す計画が新たに作成され、今回実行された。

 今回の計画には成人を迎えている母方の血族と親族が全員加担した。

 中でも最も動いたのが今回俺を殺害しようとした男。祖父の兄の1人息子だった。

 俺は今回計画された内容に入っていない想定外の存在だったらしい。

 母は結婚する前から医師から子供を産めないだろうと言われていた。

 それは母方の血族や親族たちには周知されていたことで母には子供はいないと良く調べもせずに計画は作られた。

 産めないと言われていた母は身ごもり、元気な男の子を産んだことを母は祖父にだけ話し、祖父はその事実を血族や親族には言わずにむしろ知られないように隠していたのだ。

 結果母は死に巻き込まれる形で父も死んだ。

 これで遺産は自分たちの物。そう思ってホッと胸をなでおろしたところで、母に子供がいると知った母方の血族や親族たちは慌てた。

 一番焦ったのは計画を立てた男。今回の事で危ない橋をいくつも渡った男は証拠隠滅のため今度は自分が親族たちに殺されると思い、元凶である俺を殺すという安直な行動に出てしまったらしい。

 結局捕まった男は自分がいない間に家族が他の親族たちによって殺されることを危惧して全て話した。供述によって、今回の計画に関わった者全員が逮捕されたが、それによって殺された者がよみがえるわけではない。

 行き場のない怒りと憎しみを向ける相手は全員拘置所の中、やり場のない思いを抱えながら黙って加藤さんの話を聞いた。

 加藤さんは話し終えるとお茶を一口飲んでから、持参した鞄の中から書類を取り出した。


「信君、先ほどまでの事で思うところがあるだろう。それとは別に話しておかなければならないことがある。遺産の事だ。これが信君のご両親とおじいさんが残した遺産の目録だ。相続税などを考えると受け取る際にだいぶ減ってしまうだろうがそれでも君が生活に困ることはないだろう。税金として納める物を選別するから残したいものを先に選んで欲しい」


 加藤さんから受け取った書類には預金や株式、不動産等様々な資産がずらりと記載されている。

 そのほとんどが祖父の遺産だった。


「加藤さん。祖父の遺産は全て祖父が設立した慈善団体へ寄付してください」

「………本気で言っているのかい?いったいどれだけの額になると」


 加藤さんは「信じられない。正気か?」と言うように目を見開いてこちらを見ている。


「祖父は生前言っていました。貧困によって満足な食事が出来ない子供や勉強ができないことで貧困から抜け出せない子供を無くしたいと。祖父の遺産でそんな子供が少しでも減らせるなら殺された祖父も少しは浮かばれると思います。加藤さん、よろしくお願いします」


 俺は頭を下げる。俺一人ではどうやればよいかわからない以上加藤さんの協力が必要だ。

 加藤さんはしばらく黙っていると「はぁぁぁぁ」と盛大なため息をついてから「信君、頭をあげてほしい」と声を掛けられ、頭をあげると加藤さんはあきれ顔で頭をかいてからこれまでの仕事口調から少し砕けた口調で話すようになった。


「一生遊んで暮らせる遺産をもらえるのにどうして君はそんな選択が出来るのか。いや、あの人のお孫さんだ。あの人の心を引き継いでいるのかもしれないな。わかった。手続きの方は任せてほしい。それで、ご両親の遺産はどうする?」

「両親の遺産はこの山や家、墓を守っていくのに使いたいと思います」

「…そうか。わかった。手続きは全て任せてくれ。それと当分の間信君の周りは騒がしくなると思うがそのうちおさまるだろう。郵便物は盗まれる可能性があるから一時的に私のところに届くようにして定期的に持ってくるようにする。これはよかったら使ってくれ」


 加藤さんはテーブルの上にスマホを置いた。


「何かあればこれで連絡をしてくれ。それといまは外に出ると大変だからネットスーパーを使って配達してもらうといい。お金は私が来た都度キャッシュカードと通帳を預かって引き出しに行くから安心してほしい」

「わかりました。面倒をおかけしますがお願いします」



「これから大変だとは思うが心を強く持って生きてくれ。私も全力で協力する」

「ありがとうございます」


 加藤さんが帰る際、外にいるマスコミの事を考えて玄関の入り口まで見送りに出た。

 駆け寄ってくるマスコミが着く前に玄関を閉め、鍵をかける。

 居間に戻ると仏壇の前に座り、手を合わせる。これからは1人でこの家を守って生きて行かなければならない。父方の血族や親族を俺は知らない。俺が産まれてすぐに父方の祖父母は他界したため写真でしか見たことがない。他にも父の続柄(つづきがら)はいるのかもしれないが会ったことはない。

 しばらくの間手を合わせた後、急にお腹がなった。

 そういえばここ数日食欲がわかなかったので何も食べていない。


「何か食べよう」


 思ってすぐに台所へ向かった。台所の電気をつけるといつもはいる母の姿はない。冷蔵庫の中から適当に食べられる物を居間のテーブルに並べて箸を持った時、ふっと顔をあげたら両親がいるように見えたがすぐに消えた。

 失って初めて失った者の大きさを理解する。

 箸をおいて、自分の手の平を見つめているとこれまでの思い出が溢れるように浮かび、そして…消えていく。


「残されたものは何だろう」


 何も見えなくなった手の平を見つめながら、つぶやいた一言。

 信は考える。失った者は戻っては来ない。なら残っているものに目を向けなければならない。

 両親との思い出はこれから増えることはない。しかし、消さないためにも生きなければならない。

 これからどうやって生きて行くのか。家族はいない。守るべき人はいない。

 残されているものはなんだ。

 両親との思い出が残るこの家と山、そして、代々受け継いできた古武術だ。

 強く生きよう。残された物を守るためにも強く。


 信はこの日強く生きることを決意する。しかし、信を取り巻く環境はその決意に牙を向き、ズタズタに切り裂くために動き出す。


 ◇


 加藤さんと話をした翌日早朝。2階にある自室でいつも通りの時間に布団から起きて作務衣に着替え、カーテンを開けると薄暗い敷地内にはカメラやマイクを持った人影はない。

 1階へ降りると母が「信、おはよう」と言った幻聴が聞こえた。そのせいか誰もいない台所に自然と「おはよう」と言って玄関の扉を開けた。

 早朝の爽やかな空気を胸いっぱいに吸い込みながら身体を伸ばす。

 道場へ入って身体をほぐしてから雑巾片手に日課の掃除を行う。それが終わると箒に持ち替えて敷地の落ち葉を一心不乱に掃く。昨日訪れた人が落としていったのか煙草の吸殻が集めたごみの中に混じっていた。ごみを袋に集めて小屋の中に入れ終わった頃には日が昇り、気持ちの良い日の光りが辺りを照らした。

 家に戻ってから朝食を自分で作って食べ終わった頃に玄関の呼び鈴がなった。

 自室のカーテンの隙間から玄関を見下ろすと昨日の人達がたむろしていた。

 昨日の事を思い出す。玄関を開けた瞬間の目が焼ける様な錯覚がしたフラッシュの光、怒涛の勢いで投げかけられる質問。一の答えをすればその何倍もの質問がされるだろう。だが、それをしてどうなる?何が変わるのか。失った者が帰ってくるわけでもなく。知りたいというだけの他人の欲求のためだけにあの中に飛び込む必要があるとは思えなかった。

 ただ、何度も鳴らされる呼び鈴に迷惑だったので、玄関を閉めた状態で「お話することはありません。お引き取りください」と伝えたが引き続き呼び鈴が鳴らされたため、警察へ連絡した。

 警察が来てからはカメラやマイクを持った人影が訪れることは無くなった。

 しかし、それは嵐の前の本の前兆でしかなかったのだと信は後になって思う。


 ◇


 ピーンポーン。

 ネットスーパーで午前中に注文したにしてはまだ早い時間に家の呼び鈴がなった。

 扉を開けるとそこには笑顔の老婆が立っていた。老婆は同じ村に住んでいると言った後に「お前さん。宗教には興味ないかね」と宗教の勧誘を口にした。

 老婆はその後断ってもしつこく勧誘を続け、ネットスーパーの配達員の人が来るまで居座った。

 午後には作業着姿の中年男性と同級生の男子生徒が訪れた。

 玄関を開けるとすぐに土下座をしながら「頼む。10億円貸してほしい」「お前たくさん金持ってるだろ?親父の会社が大変なんだ。助けてくれ」と頼んできた。

「そんな、お金はないです」と言っても信じてもらえず、最後には「この守銭奴め!」「お前がそんな薄情な奴だとは思わなかった」と自らの厚顔無恥を省みず捨て台詞を吐いて帰っていった。

 その後、両親や祖父を慕っていた人が訪れたこともあったがほとんどが金の無心に来る者だった。家の固定電話も似たようなもの。

 それが嫌で、山を下りたことがある。しかし、それを待っていたかのようにカメラとマイクを持った人達が山を下りたところにある道に止めていた車から出て駆け寄ってくるため、家の中に引き返さなければならなかった。

 こうして、夏休みの期間中、家にいることはほとんどなく、道場で鍛錬をするか蔵で本を読む日常が続いた。


 ◇


 夏休みが終わり、登校のために山を下りた頃にはカメラとマイクを持った人達は姿を消していた。

 そのことに安堵の息をついていつも通り本を読みながら登校しているとすれ違う人のほとんどから敵意を向けられた。

 疑問に思いながら校門をくぐり最初に感じたのは違和感。

 夏休みとは明らかに信を見る人の目は変わっていた。

 その中に好意的な目は一つもないことに信はこれからの学校生活に不安を抱いた。

 指さしながら話をする者や逃げるように走り去る人間を横目に教室へ入ると同級生が一斉にこちらへ振り向いた。


「おはよう」


 どうやら、信が最後だったようだ。同級生は信を入れても10人しかいない。それでもこのクラスの学校にしたら多い方だ。村の政策が功を奏して若い世代が多く移住してきた結果だろう。

 同級生9人の瞳には様々な感情が含まれる。だが1つ言えることは相手を慮る感情は含まれていないことは読み取ることが出来た。

 朝の挨拶をしても返事はない。人の吐息の音だけが聞こえる教室。

 信はそんな同級生へ一通り目を向けた後、窓際の一番後ろの席に座った。

 鞄から教科書を取り出し、机に入れていると服を自分なりにアレンジした3人組の女子集団が近づいてきた


「信君、聞いたよ。大金が手に入ったんだってね。うらやましいな~」

「ねえ、信君お金貸してくれない?今月ピンチなんだ」

「私、今月誕生日なんだ。それで欲しいバッグがあるんだけど…買ってくれない?」


 夏休み期間中に散々あってきた人間と同じ言葉を吐く同級生。

 家だけでなく、学校も安息の場ではなくなったと理解した時、教室にいた男子生徒の1人が女子の集団に対して声を荒げた。


「お前らいい加減にしろよ!これまで話しかけもしなかったくせに急に猫なで声で頼み込みやがって恥ずかしくないのか!」


 先ほどこちらを観察するような目を向けていた男子生徒が女子の集団を俺から遠ざけようとしてくれた。


(彼は他の同級生とは違うのかもしれない)


 そう思った時だった。女子集団の1人が遠ざけようとする男子生徒を突き飛ばした。


「何言ってんのよ。私知ってるんだから、あんたが記者の人に信君の情報売ってるとこ。いくらもらって信君を売ったのよ!」

「な、何を言ってるんだ。俺は別に…」


 そういうことか。どうして観察するような目をしていたのか納得した。彼は別に俺を助けようとしたのではなく、近づくための口実が欲しかっただけなのだろう。


「みんなやめろよ。そんな薄情者に話しかけたところで何もしてもらえねえよ」


 以前家に来た同級生が教室にいる全員に聞こえるほどの声で話し出す。


「そいつは前々から人と関わろうとしてこなかった。だから、人が困っているのを見ても見て見ぬふりをするんだろうぜ。そんな奴に関わってもひどい目にあうだけだぜ」


 まくしたてる同級生の言葉に静まり返った教室。俺の周りにいた同級生は元の場所へと帰って行き、これまで話していた同級生も顔を逸らして近づいては来ない。

 少し寂しい思いもあったが俺は読書をすることにした。


 ◇


「信、ちょっと来なさい」


 銀杏並木が見頃を迎えた頃。帰ろうと鞄に教科書を入れている俺を担任教師が呼んだ。

 連れてこられた場所は『校長室』。

 中へ入ると50代で髪が後頭部まで後退した校長がソファーから立ち上がり作り笑いを浮かべて出迎えた。


「よく来たね、信君。さ、座って。お茶を用意しよう」


 校長は俺にソファーへ座るように勧めた後、自らお茶を入れてソファーに座った俺の前にお茶の入った湯呑を置いて、対面のソファーに座った。ここまで案内した担任教師は嫌らしい笑みを浮かべて校長の後ろに立っている。


「さて、信君。小山先生から聞いたよ。教室内で孤立しているらしいじゃないか」


 小山先生とは校長の後ろに立っている担任教師の事だ。

 いまの状況になった最初の頃。小山先生は俺を生活指導室へ呼んだことがある。


「いまの状況は辛いだろう。俺がどうにかしてやるからちょっと頼みごとを聞いてくれないか?」


 小山先生の発した言葉に正直うんざりしたことを覚えている。

 その後聞かされた内容は金額が1千万に代わっただけでこれまで聞いてきた内容と似たようなものだった。

 その時、辟易しながら小山先生の提案を断った。それから態度が急変し、怒鳴り散らして出て行き、俺の環境がさらに悪くなった。

 その小山先生が校長に何を言ったのやら。


「私の可愛い生徒が孤立しているのは忍びない」


 校長の言葉にこの時、少しだけ期待した。しかし、「だけど」と言葉が続いた瞬間心の中でため息をついた。


「そのためには君に少し力を貸してほしい」


 その後校長からの提案を断った。


 ◇


 校長の提案を断った翌日から高校3年の6月末までの間に起こった出来事について出来るだけ要点だけをまとめて書こうと思う。

 校長の提案を断った翌日。学校の全教師が俺を腫物扱いした。

 同級生だけではなく他の学年の生徒もそれを察してから話しかける者はいなくなった。

 ある日。教科書や鞄が無くなることもあった。学校には協力してくれる者がいないため村にある交番にいったが村八分にされることを恐れて協力的ではなく。結局新しい物を購入し、以後どこへ行くにも持ち歩くようになった。自分の物は自分で守らなければならないと学ぶ良い機会だった。

 身体を鍛えていてよかったと気づかされたこともある。

 ある日、校舎の外を歩いていると上から陶器の花瓶が落ちてきた。飛び道具に対しても稽古していたため気配を感じて避けることが出来た。その時の犯人は未だ見つかっていない。

 別の日には椅子、時々机が落下してきたこともあるが、いまだ犯人は見つかっていない。

 授業中には毎回のように何かが飛んでくる。

 あるとき席替えによって、中央の席へ移動した際は横からシャーペンが尖った方を向けて飛んでくるのが見えたので頭を後ろに動かして避けると隣に座っていた肥満気味の男子生徒の頬に刺さり悲鳴を上げて保健室へ連れて行かれたことがあった。

 最近学校は常在戦場の気持ちで臨む鍛錬をするところと考えるようにしている。

 転校を考えたこともあったが一番近くの高校でも車で1時間以上かかるため諦めた。だが、さすがに学校でボウガンの矢が飛んできた時は命の危険を感じて加藤さんに連絡し、祖父と同じように公正証書遺言を書いた。

 内容は要約すると「死んだら遺産は全て慈善団体に寄付する」というものだ。

 代わりに家の維持をお願いするような負担付きの内容にし、祖父が創立した慈善団体からは同意を得ることが出来た。

 ボウガンの矢が飛んできた件も村全体でその事実を隠蔽して表ざたになることはなかった。


 ◇


 高校3年になった俺は再び両親と祖父を失った7月を迎えた。

 7月1日。この時期には珍しい転校生がやってきた。名前は沖田恵。

 黒い髪を腰まで伸ばした女の子。顔はモデルのように整っている。

 転校初日から誰とでも笑顔で話し、愛想がいいためすぐにクラスの人気になった。

 そして不思議なことにクラスで孤立している俺にも積極的に声を掛けてくる。

 最初は警戒をしていたが、次第に打ち解けて普通に話をするようになった。

 そして、夏休みに入る直前に告白をされた。


「信君。私と付き合ってください」


 なぜ俺なのか?疑問に思いながらも短い間ではあったが心を許していたこともあり、首を縦に振った。こうして俺は人生初の彼女が出来た。

 学校の終業式。別れ際に恵から「明日遊びに行っていいかな」と聞かれた。

 誰かを家に入れるのは初めての事で戸惑ったが「いいよ」と答えた。

 夏休み初日。家の呼び鈴がなった。

 玄関まで行くと曇りガラスの向こうに人影が見える。

 ガチャ。鍵を開けてガラガラと音をたてながら扉を開くと白いワイシャツにジーパン。革ジャンを羽織った笑顔の恵が見えた瞬間。


 ―ブスリ


 恵が俺に向って飛び込んできたかと思ったら何かが俺の腹部を貫いた感触がした。

 顔を下に向けると恵の手が何か握っているのが見えたがその先は見えない。代わりに白い道着が紅く染まっているのが見えた。


「ぐっ」


 俺が下を向いた直後恵は腕を捻った。俺の中の内臓が抉られたことが神経を通って脳へと伝わり激痛が俺を襲う。痛みに耐えるため歯を食いしばり、苦悶の表情を浮かべていると。恵は懐から別の軍用ナイフを取り出し、俺の喉へ向けて突き出した。

 プシュー――――。

 真ん中を狙った軍用ナイフは首を逸らしたことで左側を切り裂くだけにとどまった。しかし、それでも盛大に噴き出す血は玄関の壁を赤く染める。

 そんな俺の状況を見ても変わらず笑顔を浮かべる恵。


「…なぜ」


 血は止まることを知らない勢いで身体の外へと出て行き、全身から力が次第に無くなっていく中で、自然と口から出たのは「なぜ」だった。

 恵は必死に立っている俺を見て声をあげて笑った。そして、一頻笑うと、笑顔のまま「なぜ」の答えを口ずさんだ


「復讐のためよ。冥土の土産に教えてあげるわ。昨年のお葬式の時あなたを殺そうとした男がいたでしょ?あれは私のお父様。どう?あなたを殺した相手を彼女にした感想は」


 まるで自慢するかのように話す恵。俺は言葉が見つからずにジッと恵を見ているとその対応が気に入らなかったのか。「ふんっ」と小馬鹿にするように笑った後。


「本当はあなたと口も聞きたくなかった。だってそうでしょう?私たち家族をめちゃくちゃにした憎むべき張本人と笑顔で話さないといけないのよ?あなたを殺せなかった父はあの後懲役判決を受けて刑務所暮らし、母は周囲からのバッシングに耐えられなくて自殺した」


 今度は憎悪に歪んだ表情になって腹に刺さった軍用ナイフをさらに抉る。俺が反射的に見せる苦悶の表情に気を良くしたのか再び笑顔に戻った恵は話を続ける。


「それから私はあなたに復讐することだけを考えて生きてきた。いまの状況を作るのは大変だった。テレビ局への情報提供。ネットへの書き込みと拡散。そして、あなたの周りの人たちを唆してあなたを孤立させて機会を待った。そしてあなたの精神が疲れている時を狙って転校した。そして、憎しみを隠して笑顔で話しかけ、ようやくチャンスを手に入れたの。どうだった?苦しんだ?あなたの両親を立てた男の娘を彼女にして殺される気分は」


 血を失いすぎた俺は意識を保つことが限界だった。薄れていく意識の中で「さようなら、信君」と恵の声をきいて視界は暗く閉ざされた。



お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ