Authentic Negotiations(本格交渉)
交渉開始です
~レマノール王宮・南麗殿会議室~
普段カイラスや他の大臣などが会議に使うこの部屋には今、以下の人物が向かい合って座っていた。
〈レマノール王国側〉
代表・・・カイラス4世
侍従長・・・ケステル公爵
外務大臣・・・ウォルカード・レスター
内務大臣・・・ジュデス・イェーガー
農務大臣・・・アドラス・ウォルファーナ
軍需大臣・・・イルガード・エマストル
陸軍大臣・・・ルーガー・イェスターク大将
海軍大臣・・・デルフィール・コーファー大将
〈日本国側〉
代表(外務省)・・・榊原航平
外務官僚・・・椿幸隆
〃 ・・・矢吹裕孝
〃 ・・・伊波一征
代表(自衛隊)・・・大川悠平二等陸佐
自衛隊派出・・・瀬野優紀一等海佐
〃 ・・・執行昌行一等空佐
※他に付き人が数名同行。
「さて、この度は遠路遥々ご苦労であった。私が国王のカイラスだ。早速交渉に入りたいのだが、お互いの国の事は何もわからなければ話が進まないだろうから国を紹介しあう所から始めようじゃないか。」
カイラスのこの一言から話し合いが始まった。
「わかりました。確かに相手の国の事がわからなければ、してもあまり意味がありませんからな。まずは、日本の紹介からでもよろしいですか?」
「よいぞ。そなたらの国の事には興味があるのでな。」
「ありがとうございます。それでは紹介させていただきます。」
榊原は一呼吸おいてから話し始めた。
「まず、私は榊原航平というものです。そして日本についてですが、レマノール王国より南に進んだ所にあります。面積はおよそ37万㎢、人口はおよそ1億3000万人です。」
そこまで言うとレマノール王国側からは驚きの声があがった。
「1億だと!そこまで多いと絶対に気付きそうなのだが・・・。」
「それに関してですが、実を言いますと我が国は転移国家なんです。」
「国ごと転移だと?俄かに信じられんな・・・。」
「我が国でも急な事だったので、現在原因を調査中ではありますがまだわかっていません。」
「まあ、このような場所で嘘を言うとは思えんから本当なんだろうな・・・。」
「ご理解いただきありがとうございます。では続けます。日本の首都は東京で、その人口はおよそ1360万人程で経済の中心地となっています。国内総生産額はおよそ¥540兆で、それに裏打ちされた豊かな経済力と技術力があります。また、我が国には自衛隊と呼ばれるいわば軍隊のような組織があり高い技術力をもってなされています。自衛隊については制服を着たお三方に説明していただきましょう。よろしいですか?」
「1360万だと・・・。凄まじい数だ・・・。我が国の総人口より多いではないか。」
「それに国内総生産額が540兆というのも物凄いな・・・。」
レマノール王国側からは、日本の経済規模の巨大さに驚愕の声があがっていた。
「わかりました。それでは続いて自衛隊の紹介をさせていただきます。ですがその前に、この部屋を暗くしていただけませんか?」
「なぜ暗くする必要があるんだ?」
「暗くしていただかないと、これからプロジェクターから流す映像が見れませんので、お願いします。」
「プロジェクター?何なんだそれは?」
「まあ、見ていただければわかります。頼めますか?」
「いいだろう。おい、カーテンを閉めてくれ。」
そう言ってカイラスが衛兵達に言うと、衛兵は全てのカーテンを閉めていった。
「暗くしたぞ。これでいいのか?」
「ありがとうございます。では準備に移らせていただきますので少々お待ちください。よし、じゃああれを出してくれ。」
そう言うと近くにいた隊員はノートパソコンとプロジェクターのセットを取り出してテーブルの上に置いた。するとそれをみた王国側はざわざわしだした。
「なんだあれは?あれがプロジェクターとかいうやつか?」
「どうでしょうか・・・。」
ややあって暫くすると
「おまたせしました。準備が出来ましたので、始めさせていただきます。」
そういって映像が流され始めた。
そこには、自衛隊を紹介する映像が流されていた。
大地を縦横無尽に駆け回る戦車にそこから発射される百発百中の砲 、凄まじい攻撃力を持つ戦闘ヘリ、海に浮かぶ巨大な船から発射されるミサイル、連続発射する艦砲、超音速で飛行する戦闘機など紹介された映像には王国側の常識を遥かに超越するものがあった。
映像を見た王国側は唖然として声も出ない様子であった。
「これは凄まじい軍事力だな・・・。」
「ああ・・・。これ程の軍事力を持つ国が、我が国対して牙を剝かれたら我が軍はひとたまりもないぞ。」
「そうだな・・・。敵対せぬ方が得策だな。」
「いかがでしたでしょうか。多少なりとも我々の事を知って頂けましたでしょうか?」
ひそひそと大臣たちが話していると、大川がこう聞いてきた。
「ああ、わかったぞ。それにしても凄まじいものばかりであったがお主らはあれを実際に操って戦闘しているのか?」
「自衛隊は今まで直接戦闘をしたことがありません。ですが、万が一の事態に備えて訓練は怠らずに行っております。また、あの映像で流れたのは自衛隊のほんの一部です。」
「あれで一部なのか・・・。全体はもっとすごいのだろうな・・・。」
「では、次は我が国の紹介といこうか。」
侍従長のケステル公爵のこの一言からレマノール王国の紹介が始まった。
レマノール王国の面積に人口、首都、国内総生産額、主要産業など当たり障りのない事が各大臣が順番に紹介していった。主なデータを下記に表すことにする。
・首都:レカーテス
・面積:約84000㎢(オーストリアとほぼ同じ)
・人口:約400万人(パレスチナとリベリアの中間ぐらい)
・国内総生産額(ドル換算):約240億ドル(エストニアと同じ位)
・主要産業:農業、漁業
・軍事力:陸軍 5万人
海軍 3万人(艦船数 220隻)
「このような感じです。そなたらの国に比べれば遥かに弱いものがある。それに我が国は周辺の国と比べても国力が低い。そこでだ、日本国に様々な援助をしていただきたいのだ。無論ただでとは言わない。こちらも何かしらの見返りを用意する。」
「こちらからもよろしく頼む。近々帝国との戦が起こりそうなのだ。我が国だけでは到底かなわない。そこで力を貸してほしい。」
「こちらとしても手助けしたいのはやまやまなのですが、こちらの一存では決めかねますのでまずは各種条約を締結してからということになりますが・・・・。」
「それはわかっている。ぜひよろしく頼む。」
その後、二国間で様々な条約が締結され日本の異世界での初めての外交は大成功の裡に終わった。
いかがでしたか。久しぶりに投稿しました。なかなかネタが思い浮かばずに苦戦しましたが何とか載せれました。なお、今後サブタイトル英語表記にしていくことにしました。
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