もし転生出来るとしたなら・・・。
初投稿です。つたない文章ですがよろしくお願いいたします。
とある暑い夏の日のこと。
スーパーで働くどこにでもいるような普通の女性泉崎千幸(双子の姉)と泉崎千鶴(双子の妹)は大量の同人誌とグッズを手にウキウキと家に向かっていた。
この日は彼女達は仕事が休みであった為、日本で一番大きい秋の
コミックマーケットとというイベントに行き、好きな漫画やアニメの同人誌等を大量に買っていったのだ。
イベントは既に開始一時間前だというのに沢山の人が並んでいた。目当ての物を買うため歩くのに苦労し、お目当ての物を見つけても行列ができていて買うまでに時間が掛かったたが、買いたかった物が買えて満足していた。
そんな帰り道・・・。
「いやぁ!あの作家さんのところさ人が他の所より並んでて数十分待ちになったから大変だったよ~」
「私も!人気があるとやっぱりそういうのってつきものだよね?」
「「でも買いたいものは買えたから目標は達成だよね♪」」
毎年このイベントがあるたびに早くから起きて会場に向かって並び始め、お金もこの時の為に貯金して沢山買えるようにしたりカバンも入るように大きいのにするなど念入りな準備をしてきた。
それほどこの千幸と千鶴はアニメや漫画などが大好きなのである。
18から始めた仕事の後は某戦隊の録画を見る、少年漫画や少女漫画問わずに読む、深夜アニメを見て明日も頑張ろう!と遅くに寝るを繰り返す日々が続くと二人は信じていた。
ーードン!
二人の何気ない日常は突然の交通事故によって壊れることになる。
ちゃんと歩道を歩いていたのに車が突っ込んできたのだ。
持っていたカバンは宙を舞い中身を撒き散らして、跳ねられた二人の身体は民家の壁に激突した衝撃と車に圧迫されたことで大量に血が流れてしまう。
何が起きたのか状況が飲み込めない。
兎に角互いの無事を確認したかった二人は傷のせいで身体が痛くなりながらも近寄っていく。
「ち、づる、無事?いたく、ない?」
「そっち、こそ・・・いたくないわけ?・・ぶじ、とはいえない、か、も・・・」
「この、ままダメか、もね・・」
「・・・わらえ、ない、わ・・・」
両親が高二の時に亡くなって以来千幸と千鶴、二人で協力して生きてきた。
長生きしていつか素敵な旦那をもらって子供も出来て幸せに暮らそう、それが両親に対してのせめてもの親孝行だよと頑張ってきたのに流石にこんな終わり方はあんまりだ。
ならせめて願いくらい叶えてもらっても良いのではないだろうか?神様が本当にいるのなら・・・。
「「(異世界で魔法使いになりたいな・・・)」」
周りが騒がしくなってきたが千幸と千鶴はそれに気にすることなく落ちてくる瞼に逆らうことはせずに静かに目を閉じた。
二人の享年は二十歳。
ややまだ短いとも言える人生を突然突っ込んできた車が起こした交通事故によって強制的に終わらせることになってしまった。