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放課後はすぐにやっていた。
「ほら、急げ。電車に間に合わなくなるだろ。」
私は慌ててバッグを握って、後を追って駆け出した。
下駄箱で友達への別れのあいさつもそこそこに学校を飛び出す。
駅は近い。
走れば5分とかからずに着く。
案の定、電車の到着時間よりも早く着いた。
「ねえ、なんで走ったの?走る必要なんてあった?」
「ああ。」
定期券で改札を抜け、お目当ての電車を待つ。
カノジョへのプレゼントを買いに行くとき、いつも付き合わされる。
しかし、私はプレゼントを選ぶ訳ではない。
プレゼントとして何を買うかは、だいたい決まっている。
いくつか選択肢のある中から実物を見て、プレゼントをもらった彼女が一番喜んでくれるものはどれか判断するのが、毎度私の役割だ。
いつものように電車に乗り込む。
しかしここからがいつもとは違っていた。
「あれ?」
声をしたほうを見れば、見知った顔が近づいてきた。
「2人って、こっちだったっけ?」
ドキリとした。
だってそこにカノジョがいたのだ。
「え?なんで…?」
思わず口をついて出てしまった。
いつもこの時間の電車には乗らないのに。
めったにない2人きりだったのに。
そう思って、よくよく思い出す。
今日は普段は歩いて通る道を走ってきた。
よって、今乗っている電車は、買い出しに行くときに乗る電車とは発車時間が違うのだ。
「今、ちょうど学校帰りで…」
こうなるとわかっていたのだ。
だから必要もないのに私を走らせた。
カノジョの顔を見たいがために。
こんなとき、私の心は真っ黒に染まる。
「お疲れ。ここの席あいてるから座れよ。」
当たり前のように髪を撫で、笑顔であいている席を勧める。
私は思わず車窓を眺めた。
目線を元に戻すことはなぜかできなかった。
目的地だった駅名が放送される。
「あ、私、買い物あるから。」
挨拶もそこそこにして、私は開いた扉から体をすべらせる。
呼び止められた気もしたが、聞こえないフリをした。




