The Crimson Melody
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赤い旋律が、世界そのものを震わせた。
目を閉じていても逃れられない。あの音は、瞼の裏にまで染みついている。爆風が街を引き裂き、人も建物も空へ舞う。土の匂いと、焦げた鉄の匂いが肺の奥に重く沈んだ。
誰かの叫びが、すぐ近くで途切れる。
ああ──ここで終わるんだ。
立つことしかできなかった。動けば誰かを救えたかもしれないのに、何一つできなかった。そう気づいた瞬間、自分がどれほど無力だったかを思い知らされる。
ヒーローになれたらよかったのに。
誰かを守れる自分だったらよかったのに。
誰かに感謝される人間でいたかったのに。
そう願って生きてきたはずなのに。
あの子の言葉を思い出す。最後の瞬間でさえ、その背中を押すことができなかった。
「大丈夫だよ」
その一言だけで救えたのに、それすら言えなかった。自分の恐怖が、その人の最期を孤独にした。
言えなかった気持ちが、胸の奥で今も動けずにいる。救いたかった人も、好きだった人も、何一つ守れなかった。
もしも、どこかで時間を巻き戻せるのなら。
みんなを救ってほしい。
違う。
戦いを止めてほしい。
…違う。
もっと根本から変えないと、何も変わらない。
だったら──。
私たちが、最初から出会わなければ良かった。
その願いが形を成った瞬間、どこか遠くで鈍い鐘の音が、静かに世界の終わりを告げた。
【一つの軌跡から始まる僕らの物語】は、これから出会う、仲間達と知られざる世界の、真実の物語
新作です。
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nokal




