第4話 曇りガラス
12月4日(木曜日)
夜勤を明けて、今日はお昼からの勤務となった。
すると六階の夏目さんという人から苦情が来た。
「いやもう溜まったもんじゃない」
「最近うちの猫が溺死してしまって
ほんとうに神経衰弱気味なんだ。」
「なんとか説得して頂けないでしょうか」
どうやら、夜もうるさくゲームをして
騒いでいる人が夏目さんの隣にいるようです。
そういえば、昨日のパトロールでも六階からやけにうるさい声がしたのを思い出した。
その隣の人がいる、ドアの前に向かい
インターフォンを鳴らした。
「あのー…アンジョウさん。実は隣から苦情が来てましてね..」
「うるさいねい!」
なにやら歯切れの良い声で、
どたどたと奥の部屋から走ってくる音がする。
どむんっとドアが開けられた。
「おい。俺はなぁゲームにいのちをかけているんだよ」
「いやしかしですね…」
「うるさいリアルワールドのジジイが!お前はリアルワールドではモブや!NPCや!」
なんと困ったお兄さんだろう。
現実を捨てた顔をしている。
そしてなにやら。
えぬぴぃすぃとやら難しい言葉を並べて、
私をまくしたててくる。
髪はボサボサ、
ひげはもじゃもじゃで
社会性には少し欠けているようだ。
その上、目が少し危ない感じもする。
「…んあ?」
その、危ない目をぱちくりとさせながら、
私をまじまじと見てくる。
すると、どんどん青白い顔になり
絶叫に近い声を出しはじめた。
「う、う、うわぁあ!!うわああああ!わ、わかりました!や、ややめます!」
「ん?」
どうしたんだろう。
お爺さんには何が起きてるかわからない。
アンジョウさんは私を見てなぜか
引きこもるように、ドアを閉めてしまった。
「わ、わかったからはやくあっちにいってくれ!」
「なにをあんなに驚いてるのだ」
「ええ。どうしたんでしょうか…」
夏目さんと私は二人で不思議そうにしていたが、何はともあれ、話のわかる人でよかった…
やはり誠実に話しかければどんな人でも分かってくれる。そう。人であれば。
私はホッ..としながら帰宅についた。




