鴫嶋家のとある日常編その①
舞台・あらすじ
緋鳥市――人口およそ七万。
山陰の海に面したこの地方都市は、古くから漁業で栄えてきた。港に並ぶ市場では、朝早くから威勢のいい声が響き、水揚げされた魚は全国に出荷される。観光地は少ないが、鮮魚を目当てに訪れる観光客もあり、街の経済を静かに支えていた。
最近になってJRの新駅が開業し、駅周辺は再開発が進んでいる。新しい住宅街やマンションが立ち並び、若い世代の家族が移り住むようになった。近隣都市に本社を構えるマグノスコーポレーションのベッドタウン区画も整備され、緋鳥市は地味ながら注目を集めている。
それでも、駅から離れた場所には昔ながらの住宅街が残っている。鴫嶋家もその一角に佇み、港の喧騒から少し距離を置いた静けさの中で暮らしていた。
市内に唯一ある緋鳥高校は、弓道部の強豪校として知られている。奏もその弓道部に所属し、日々弓を引く音が校舎に響いていた。
鴫嶋家の主であり母親の結花は、花屋「シギフラワー」を経営しながら4人の娘を育てていた。
長女・春夏20台半ば。幼少期に空手を習い、冷静な性格は“いざという時は頼りになる”と姉妹たちから思われている。
次女・玲は高校3年生で生徒会長。真面目で融通がきかず「ザ・正論」で武装しており、友達より書類と向き合う日々が多い。
三女・詩と四女・奏は高校2年の双子。
詩は常識に縛られない自由人で時に予想外の行動を取るが、人見知りの面もあり、家族以外には委縮しがち。VTuber「城猫子」としての顔を持つ。登録者数はすでに12万人を超えている。
奏はそんな詩のストッパー的な存在。だが調子に乗り詩に便乗する面もあり。常識人よりの自由人。弓道部所属のしっかり者。
そんな一家に、ひとつの決断が舞い込んだ。
「この子を…うちの娘にしたいんです」
結花が迎えたのは、かつて暴走族に中に居た赫音――明るく染めた髪、ピアスに不機嫌そうな態度。初対面のその日から反発する赫音。
不器用で、誰よりも渇いている少女と、強くてうるさくて、温かい鴫嶋家。
「家族」は血では測れない――殴り合いから始まる、癒しと再生の物語が、今、幕を開ける。
簡単に主要人物紹介
鴫嶋家の面々
鴫嶋彰・・・遠くの地で働いているらしい。
結花・・・鴫嶋家の母・とある人物に紹介された花屋「シギフラワー」で店長代理として働いて居る。赤みがかった黒髪のウエーブロングにつむじからアホ毛が伸びる。容姿端麗。
春夏・・・長女、25歳。昔の出来事で銀髪と瞳の中にくすんだ赤が混じってる、父譲りの釣り目のシャープな顔つき。空手を習得している。
護花・・・次女、高校三年生、生徒会長。父譲りの黒髪のセミロング、鋭い目元が威圧感を漂わせ周囲を誤解させてるが根はやさしい。運動苦手の寒がり。
詩・・・三女、双子の姉、高校二年生。母に似た大きな目と赤みがかった黒髪にアホ毛。基本左にサイドテールで纏めている。可愛い見た目だがうるさいのが玉に傷。
奏・・・四女、双子の妹、詩と違いショートに揃えているが右側の一房を肩まで伸ばしている。自由奔放な詩を落ち着かせることが多い。冷静な所もあるが、奏のいたずら心は家族を賑やかにする事も。
赫音・・・鴫嶋家に養子に迎えられた少女。高校一年生。過去の出来事により鴫嶋家に反発ばかりしていた。派手な見た目と裏腹に孤独を抱えている少女。とある出来事で馴染もうと気持ちを切り替える。
くろまる・・・猫、鴫嶋家のペット。右前足の毛並みだけ白く、体は黒、頭部に白の丸模様がある。詩に拾われた。
クロウ・・・カラス、鴫嶋家のペット。春夏が助けた所、以降春夏と鴫嶋家に居座っており、自然とペットになった。嘴の一部が欠けていたが奏が修正しており、青の紐が巻かれている。羽の風切部が白い
結城鷹志・・・「シギフラワー」の男性従業員、27歳、まだ働き出して日が浅い。
竜ヶ峰理々子 (りゅうがみねりりこ)・・・「シギフラワー」の女性従業員、23歳、結城の先輩
・くろまる視点
我が名はくろまる。ご主人のベッドの中で寝ている最中、突然ベットから落ちていた。
ベッドを見ると寝間着姿の我がご主人様・詩が手足を大の字に広げていた。半分以上ずり落ちた布団はご主人の寝相の悪さと落とされた原因が分かる。やれやれ、困ったご主人だ。
彼女は、ひと目で“可愛い”と感じさせる美少女、パッチリとした大きな瞳、鼻筋はすっと通っていて、主張しすぎない形が目や口を目立たたせる。
笑うときには、口角がふわりと上がり、声より先に表情が場の空気を和ませる。幼さと凛とした印象が絶妙に混ざり合っていた。
肩のあたりまで垂らした赤みがかった黒髪は光の当たり具合でその色を変える。まっすぐには落ちきらず緩やかな弧を描いている。つむじから主張するアホ毛が垂れている。普段はサイドテールで、日によって色を変える髪留めで左側にまとめられ、動くたびに軽やかに揺れる。
体は小さいが、服の上からでも分かるほど胸元は豊かで、彼女自身はそれを気にする様子もなく自然体でいる。
そんな彼女も今は夢の中だ。髪は解かれ、まるで模様のようにシーツに広がっている。
落とされた事は置いといて、ずれている掛け布団を咥えて掛け直してやる。
そのとき、「まって・・・た・・・かし・・・さ」と、声が聞こえた。詩の顔を見ると笑みと共に寝言を言っているようだ。前髪の間から見えるおでこに軽く猫チョップをかます。落とされた仕返しニャ、
すぐさま眉毛が垂れ下がりと「かなで~・・・ごめん~~」と呟く。カーテンの隙間から見える空はまだ暗い。
ベットから降り、体を伸ばす。さて、どうするかニャ、考えを巡らそうとした時、一階の方から音が聞こえた。
おそらくこの一家の母、結花殿だろう。構って貰おうと一階に降りる。台所では結花殿が作業していた。
鼻歌を歌いながら体と髪を揺らして何やら作業中だ。いい匂いがする。椅子の上に飛び乗って声を掛ける。ニャ~っと。
結花殿がこちらに気付き振り向く。その姿は柔らかな雰囲気と女性らしい色香を併せ持つ美しい女性。
詩・奏と同じ髪色の癖のある髪は背中の真ん中までカーブを描きながら伸び、照明を受けて艶やかに揺れ、色を変える。
つむじから伸びるアホ毛は、愛らしい特徴となっている。輪郭はすっきりと細く、ぱっちりとした大きな瞳、細い鼻筋と適度に厚みのある唇が顔立ちに華やぎを添える。優し気な目元は見る者に安心感を与え、同時に「出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる」という完璧なプロポーションを誇る。立っているだけで自然に色気を放ち、母でありながら女性としての魅力を失わない存在感を持っていた。今も緑のエプロン、白のタートルネックのセーターに黒のロングスカートを纏ったその姿は魅力的だ。
「おはよう。くろまる」と言って笑顔を見せると、再び手を動かしだした。
いい匂いに食欲が湧いて来る。なんか食べたいニャ、にゃにゃ、んにゃ~
「ふふ、お腹空いたの?ごめんね、少し待って」
手を動かしながら歌を口ずさんでいる、楽しそうニャ。作業が終わった結花殿は棚から缶詰めを手に取り皿に開けてくれる。
「ど~ぞ。くろまる~」
目の前に差し出された食事。美味いニャ、ムシャムシャ。
「ふふっ、ゆっくり食べるんだよ~」
頭に結花殿の手のあたたかさを感じる。食べ終えるのを見届けてから結花殿は荷物をまとめ、玄関に向かう。「行ってくるね、くろまる」と小さく手を振る結花殿に見送りの返事をする。にゃ~
少しして車のエンジン音が聞こえてきた。
腹が膨れると眠気を感じてくる。詩のベットに戻ろうかと考えるが眠気の方が勝り、ソファのクッションの間に潜り込み目を閉じると意識は直ぐに落ちた。
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・奏視点
毎朝ほぼ同じ時間に目が覚める。目覚まし時計が賑やかに音を奏でるが、たった今目覚まし時計は沈黙する。
奏は手を布団に戻し、少しまどろんだ。う~~、まだ眠気がある、いつもならパっと起きれるのに。原因なら分かりきっている。昨日、姉の詩のゲーム配信に付き合いすぎて寝る時間が遅くなったのだった。気を抜くと眠りに入ろうとする意識に鞭を打ち、奏は布団から上半身を起こし立ち上がった。カーテンの外の、まだ夜の冷気を含んだ空は、暗闇を塗り替えるように少しずつ赤みを帯びていく。 鳥の声が一つ、また一つと重なり、静けさから目覚めへと移ろう。時刻は4時50分、5月とはいえこの時間の気温はまだ少し肌寒いがその方が逆に冴えてくるというもの。今日は休日、時間があるため朝ランニングの距離を伸ばせる。
布団を畳んで押し入れに入れる。マットレスを壁に立てかけると狭い部屋が少しだけ広くなった。奏の部屋は物が少なくシンプルだった。狭いのも理由だが奏の性格でもあった。勉強机に小ぶりなサイズの3段収納棚、電子ピアノ、壁には制服やカバン類、弓と筒が掛けてあり、隅の一角には大量のランニングシューズと空き箱が積み重なっている、普通の部屋だ。
寝間着からジャージに着替える。いつもの朝の習慣をする為だ。
奏は双子の姉とほぼ同じ顔と言っても過言ではない。髪色は同じ。アホ毛も同じように伸びる。
しかし奏の髪は癖がなくまっすぐ伸びる。全体的に短く整えられており、サイドは耳にかかる程度で後ろ髪も首元で軽く収まる長さ。毛先はやや丸みを帯びていて、柔らかい雰囲気。普通のショートヘアだが、右側の一部分の髪だけ肩の近くまで長く伸ばし、広がらない様に途中を球体の髪留めをしているのが特徴だ。
詩より若干高い身長、すらりと伸びる手足と肉体は日課のランニングと弓道で鍛えられ、適度な筋肉が付き、しなやかなラインを描く。
姿鏡の前に立つ姿は明るい緑と白のツートンのジャージ姿だった。身支度を整え一階に降りる。
そういえば今日は母さんが早く家を出る事を思い出した。他県まで花の競りに出るらしい。4時には出るみたいなのでもういないだろう。洗面所で顔を洗い、水を飲むため台所に行く。テーブルの上には母の字で「行ってきます。温めて食べてね」とメモ紙が置いてあった。テーブル上に厚焼き玉子がラップしてあり、ガスコンロに置かれている鍋には味噌汁が入っていた。偶に母が作ってくれる、有り難い。
流しに汚れた小皿と猫用の缶詰が空いている状態で置かれている。あれ、くろまるはもう朝食べたの?と、疑問に思い辺りを見ると台所から見えるリビングのソファに、だらしなくお腹を見せ仰向けの、くろまるの姿があった。
何故詩と一緒に寝ていないのか大体想像がつく。くろまるの様に寝相の悪い詩に目を覚まされて、お腹が空いたので母にご飯を貰ったのだろう。ホント飼い主に似ている。近づいて体を触っても起きない、猫にお腹が冷える概念があるか分からないがうつ伏せに戻してあげる。さらに近くに置いてあったタオルで巻いてあげた、その上にクッションを置くとこれで寒くないだろう。でも、これでも起きないとは・・・熟睡具合まで詩に似ている。
ランニング後のご飯を楽しみに玄関に向かう。靴棚からお気に入りのクッション厚めのランニングシューズを取り出し足を通す。 澄んだ空気とまだ静かな街並みは、走り出すのが待ち遠しくなる。
準備運動をしながらルートを軽く思い描く。寒さはあるが、動けばすぐに温まるだろう。
さあ、行こう。
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・護花視点
文字通りの暗闇に私は立っていた。訳が分からない。何も見えない。音もない。いや、微かに雨の降る音が聞こえる。でも体が濡れる感じはしない、不思議だ。
服は着ている感覚はある、触ってみると制服のようだ。ここは・・・どこだろう・・・その時、足元に白い筋が浮かび上がって来た。それを辿る様に歩き出す。しばらくしても終わりが見えない、恐怖心で叫びたくなる、が、歯を食いしばって耐える。いつまで続くの?すると上から赤く輝く光が降りてきた。手に取ってみる。これは・・・なに?よく見ようとする。突然、辺りに音が鳴り響く。
ジリリリリリリリ・・・
覚醒していく意識。鳴り響く音。悪夢から覚めた私は目覚まし時計を止めるべく手を伸ばす。しかし手に固い感触が訪れない。動いていると足に固いものが当たった。ん?なにこれ?足元の方に視線を向けるとそこには目覚まし時計が転がっていた。あれぇ?なんで足元にあったのだろう、まあ・・・いいか・・・まだ覚醒しきっていない頭は深く考える事をあきらめた。
目覚まし時計は六時半を指している。護花は父譲りの黒髪のセミロングヘアの髪の跳ねを気にしていた。 髪の跳ねを直そうと指先で押さえる。反発してくる髪の毛に護花は小さくため息をついた。
切れ長の二重の目は鋭く、鼻筋はすっと通り、輪郭はすっきりとしていて所謂、才色兼備と評される彼女は学園で2年連続で生徒会長を勤め上げている秀才。
しかし、ほとんど笑わない変化の少ない表情、生徒会長の彼女は学園では憧れや畏怖、羨望など様々な視線を浴びるので気が抜けない。故に真面目で融通が利かず、規則にうるさく、完璧主義の性格は近寄りがたい空気を周囲に放っているし、関わろうとする人間も少ない。そのせいか友人はほぼ限られる。本人も自覚しており一人でやった方がミスがないと思っていた。しかし、この性格もとある出来事により少しだけ柔軟に考えるようになった。 家や家族の前だけは唯一気が抜け、隙が出来るように今は寝癖で乱れ、肩からずり落ちた寝間着の襟元が、普段の硬さを崩すようだ。少し高めの身長、細身だが着やせする彼女の体はモデルのようなラインを描き胸はしっかりある。しかし自他ともに認める寒がりの体質はすぐ着込んでしまうため、そのギャップに気付く者は少ない。さらに体力も低く、運動が苦手だ。
護花は寝間着に上着を羽織り洗面所に行き顔を洗い、髪を整える。その足でリビングに行き縁側に出る。思いの他寒い外にもう一枚着込めばよかった思う。でもお陰で目が完全に冷めた。空と庭を眺めていると二匹の鳥、白と黒のツートンが美しい、セグロセキレイが庭に降り立ってきた。二匹は地面を歩き出し、一瞬こちらに体を向けた?ように見え、ひと鳴きすると庭の木の枝に並んで止まる。寄り添う様に視線を揃えて空を見ている。
なぜ家であのような行動するのか分からないが見守られているような気もしなくはない。ふっと頬が緩む。そろそろ中に戻ろう。私は通じているか分からないが、おはようと小さく告げると二匹は鳴き声で返してくれる。
ネックの長袖シャツにロングスカートに着替え、台所で料理を温め直しと平行してホットコーヒーを作る。今日やる事を考えているとリビングからくろまるの鳴き声が聞こえた。なんだかくぐもっている気がする。不思議に思い近寄ってみるとソファにタオルで包まれた丸いモノがあった。紐で縛られたそれは猫の鳴き声を発しながら動いている。
私はため息を吐いて紐を解く。中からはくろまるが出てくる。犯人は・・・奏、だろう。
「どうしたの、くろまる?こんな姿で」
解放されたくろまるは短く鳴くと走って二階に上がっていった。やれやれと思いながら席に戻った時、玄関の鍵が開く音同時に奏の声が聞こえてくる。「ただいま~」
ジャージ姿の奏は汗を拭きながら台所に入って来る。電気ストーブにびっくりしている様子だ。冷蔵庫からスポーツドリンクを取り出しながら奏が聞いてきた。
「護ねえ(まもねえ)、暑くないの?今ちょうどいい気温だよ」
「運動後だからでしょう?私寒がりだし今はストーブがあると暖かいから。いつもの事だけど何時から走ってるの?」
「5時過ぎくらいだから、2時間も経ってないよ。ていうか護ねえも走ろうよ!おすすめのランシューがあって!」
「相変わらず長時間よく動けるもんだね・・・・考えとく」
「あ!それ絶対やらない時の返事!・・・いつかこっちの世界に引きずり出してやる~」
「はいはい。それより、さっきくろまるがソファで簀巻きにされてたけど、何か知らない?」
「簀巻き?ああ、私が下に降りた時、ソファでお腹出して寝てたからタオルを掛けてあげたの」
「掛けてあげた。じゃなくてタオルでぐるぐる巻きにした。の間違いでしょ?なんでソファで寝てたのかは想像つくけど、普通に掛ければいいのに」
流しに置かれた猫用の空の缶詰を手に取り「奏がご飯をあげたの?」と聞く。
「多分、母さんだと思うけど。くろまるを鍛える為にね。私が帰るまでに脱出できるかもと、あ、もしかして脱出してた?」
「鍛えるって・・・全身包まれた状態でどうやって紐を解いて抜け出せるのよ。私が気づかなかったら奏が帰ってくるまであのままじゃないの。可哀そうじゃない?だいたい奏は偶にやりすぎる所をいい加減に直しー」
「分かった。ごめんってば、後でくろまるに謝っとくから。シャワー浴びてくるーーー!」
風呂場に逃げていく奏にやれやれと思いながら「ご飯準備しとくから」と投げかけると「りょうかーい」とひらひら手を振る。奏はいつもマイペースだ。
朝ごはんを準備する。母が用意してくれているものに加え、冷凍ご飯を外に出し、追加に焼きウインナーとほうれん草のお浸しを作る。程なくしてシャワーを浴び、薄手のネイビーの長袖シャツに白のハーフパンツに着替えた奏が台所に現れる。冷凍ご飯をあたため茶碗に出す。
「おいしそー!ありがとう護ねえ。いただきまーす!」
勢いよく口に料理を迎え入れる奏、そんなにがっつかなくても
「行儀悪いわよ、ちゃんと噛みなさい。ところで今日予定あるの?」
奏は口の中の食べ物を飲み込みそう答える。
「ん?・・・ん、っうん。午後から同じ部活の子が手解きしてほしいらしくて、ちょっと行ってくるつもり」
「いい事じゃない。何?もしかして、彼氏?」
「んぃや、同級の男子の谷山君って子だけど・・・そんなんじゃないよ。別に仲良い訳じゃないよ?たまたま話をして、ただ上手くなりたいから教えて欲しいって言われただけだからね?」
「・・・そう、まあ、頑張って」
「そいうえばこの前赫音が──」
そう聞いた私に奏は頬を染めながら弁解するように話し、違う話題を振って来た。
もしかして・・・あまり他人と関わらない奏が気になっているのだろうか。心の中で拍手を送って違う話題に付き合う。
話の最中、欠伸をしながら肩にくろまるを乗せた詩と銀髪をポニーテールにした春夏姉さんが台所に現れた。
その②へ続く。
長くなりそうなので予定として3回に分けて投稿予定です。
次回のあらすじ
休日の朝にリビングにて集まる鴫嶋家の子供たちに一匹の烏・クロウがとある物を運んでくる。春夏の一声によりとある物をめぐり怒涛の一日が始まる。鴫嶋家はこの問題を解決できるのか!?




