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マットなぼくとPPな彼女  作者: kats(仮)


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〜プロローグ〜 気がつけば恋 side IKU

地味な男の子とキラキラした女の子。

普段の生活からテリトリーの異なる二人が、気がつけばお互い気になるように。


※ 保険の為R15設定にしてあります。

 わたしは九重郁(ここのえいく)、14歳。

 小さい頃からなんでも無難にこなせて、大人からの受けも良く、友人も多い。

 見た目もちょっと良い方だと自覚してるし、わりとモテる方だと思う。

 中学三年生で高校受験を控えている時期だけど、すでに推薦入学が決まり、残りの中学生活に何も心配がなくなったところ。

 もちろん空気の読めるわたしは、友人たちの受験勉強の邪魔をしないように、ちょっと距離をおいて応援している。

 ただ特別趣味もないわたしは、一人の時間が増えたこの時期、想像してなかった手持ち無沙汰な状況になっていた。


 そんな時、ふと気づいたの。


 同じクラスでいつも何か本を読んでいた東雲(しののめ)くん。

 物静かだけどちょっと近寄り難い、でもそんな彼をクラスメートたちは何かあると相談しに行ったり、頼りにしていたと思う。

 派手な感じはないけど、周りに流されることもなく、自分をしっかりと持っている。

 当たり前のことを当たり前と言える男の子。

 周りを気にして合わせているわたしとは違う、そんな存在。


 ━━━ わたしは彼が好きなんだって。




 放課後。

 学級委員の仕事を頼まれ教室に戻ると、一人本を読んでいるクラスメートが残っていた。

 東雲くんだ。

 帰宅時間までかかった仕事で疲れたわたしへのご褒美か!

 読書に集中しているのか、わたしが教室に入っても気がつかないでいる。

 以前は本を読んでいてもすぐ人の気配に気がついていたのに、最近はよほど集中しているらしく気がつかない事が増えたよね。


 日も暮れて窓から少し肌寒い風が入ってくるので、そっと窓を閉めてまわる。

 彼の近くの窓を閉めた時、こちらに気がついたのか顔を上げてわたしを見つめてきた。

 目が合って瞬間的に鼓動が跳ね上がる。

 頬が熱くなるのが自分でもわかった。


「あ、あの……読書の邪魔しちゃった? ごめんね」


 へ、変な声出してないよね?ね?


 窓からの夕日で眩しそうに目を細める彼。

 知的でクールな表情がかっこいいんだからもー!


「め、珍しいね。いつもは気が付かなかったのに」


 あ!今の言い方だと東雲くんが鈍感みたいに聞こえたかも!?

 ていうかいつも見てたのかって気持ち悪がられるかも……!!

 自分の想いに気付く前は普通にしゃべれてたのに、何でーもー!!


「ちょっと集中しすぎてたみたいだ」


 大丈夫だったみたい……!?

 でも気を遣ってくれただけかも!

 気を遣ってくれる東雲くんもすてき!

 声かっこいい!


「九重さんはこんな時間までどうしたの?」


 さりげなく軽い話題に誘導してくれるの優しい!


「わ、わたしは学級委員の仕事。さすがにこんな時間まで手伝うことになるとは思わなかったけどね」


 愚痴っぽく聞こえたかしら……!

 でも推薦ももらえたし、不満があるわけじゃないのよ!

 いつもの事だけど今日はちょっと疲れてたから……。


「そうなんだ。いつもクラスのためにありがとう」


 優しい!

 疲れてる時にそんな優しい言葉かけられたら好きになっちゃうよ!

 もう好きになってるけど!!


 はっ!

 もう帰宅時間前で誰もいないし、今が仲良くなるチャンスでは……!

 彼が読んでる本を話のきっかけに……。


 わたしは隣の席の椅子に手をのばし……。

 ちょっと慌ててたから机の足と絡んでめっちゃがたがた鳴ったけど、

 幸い東雲くんは何か考えてるみたいで気にしてる様子はないわ!

 落ち着いて落ち着いて、普段友達に話しかけるように自然な感じで……。


「ねねねね。い、いつも……ど、どんな本を読んでるの?」


 やっちゃったーーーーー!!!

 どれだけどもってんのわたしーーーーーー!!

 また顔が熱くなってきたわ…ばれないように髪で隠れるように少し前屈みに……。

 ってこれじゃ顔が近すぎるのでは……ぎゃー!!


 がたんっ!


 わたしがぷちぱにくってると東雲くんが椅子ごと倒れていた。


「わっ…! 東雲くん大丈夫!?」


 もしかして気づかないうちに頭突きしてた……!?


「だ、大丈夫……ちょっと考え事をしてて、いつの間にか隣にいてびっくりしただけだから……」

「えっ……いつも落ち着いてる東雲くんでも、そんな事があるんだね」


 びっくりしたのはこっちだよーー!

 頭突きしてなくて良かったー!

 ないと思うけど、わたしにドキドキしてひっくり返ったとか!?

 ないと思うけど!!


「落ち着いてるってぼくが?」

「うん。クラスのみんなが騒いでても混ざったりしないし、でも話かけられた時はちゃんと返事はしてくれるでしょ。みんなの話はきちんと聞いてるってことだよね」


 もー!その返事がもう落ち着いてるでしょー!

 わたしなんてこんなにドキドキしてるのに!

 ずるい!でもそこが好き!


「ほ、本だっけ? 最近読んでるのはラノベが多いかな。今読んでるのは恋愛モ……」

「東雲くんも恋愛に興味があるんだ?」


 ってまたやっちゃったーー!!

 食い気味にも程があるでしょわたし!!

 話を遮って不快に思われたらどうするのー!


「……『も』って事は九重さんは恋愛に興味があるんだ?」


 ほら、突っ込まれた……って『も』って言ってたわたし!?


「あ! えとその……うん、人並みに?……ね!」


 人並みってなんだわたし!

 今この瞬間世界で一番興味があると言えなくもないでしょ!?

 でもよく瞬時に切り返した!

 むしろ恋バナに発展してベストだったのでは!

 ていうか東雲くん今まで恋愛モノなんて読んでたことなくない!?

 もしかしたら好きな人ができちゃってる!?


「九重さんもしかして、好……」


 わたしの脳内が混乱している間に、東雲くんの口から気になる言葉が聞こ……!


「こら! お前等何時まで残ってるんだ! もうとっくに下校時間は過ぎてるんだぞ! とっとと帰れ帰れ!」


 気になる言葉が最後まで聞こえる前に、教室のドアが大きな音を立てて開き、太く低い声が響く。そこには担任の二階堂先生が立っていた。

 わたしがこんな時間まで残ってたのは先生が仕事を渡したからなんですけど!?

 でも今はこれ以上はわたしの心臓が保たなかったかもしれない。

 大丈夫、東雲くんは一人でいる時間が多いから。


 次は自分でチャンスを作るんだから!

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