表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/34

【第29話】ファーストタイトル - 20階攻略(1)

「よし、隠密を起動して……行こうか。」


【 スキル:隠密が発動しました 】


攻略を終えて外に出た銀獅子を待っていたのは、報道陣と群衆だった。

彼が姿を現した瞬間、無数の視線が集中した。


記者1: 「おおっ! 出てきたぞ!」

記者2: 「銀獅子さん! こっちを向いてください!」

記者4: 「今回の攻略を急がれた理由は何ですか?!」

記者3: 「ランキング1位の“無名”さんと一緒に入られたというのは本当ですか?!」

記者1: 「その制服姿は……ファンサービスですか?」


銀獅子は質問の嵐に答えず、短く言葉を返した。


銀獅子: 「……ファンサービスではありません。

そして今回は運よく早く終わりましたが、まもなく一通のメッセージが届くはずです。

それが、次に進む理由です。」


短く答えを残し、彼は隠密中のジウにそっと囁いた。


銀獅子: 「行こう、ジウ。」


そのとき、遠くから二人を見ている人影があった。

「……そこにいるのか、俺たちのランカー様は?」

そう呟き、にやりと笑った。


【 星の座が『君の隠密を見つめる者がいる』と告げます 】

……まあ、気配だけ感じ取ったんだろう。気にしない。


二人は再び塔へと向かった。

外では緊急避難速報が鳴り響き、街は騒然としていた。


ついに鳴ったか、あの災害警報。


記者1: 「なっ……どこに避難すればいいんだ?!」


二人は再び塔の入口をくぐった。


銀獅子: 「予備の服をここに置いておいて助かった。

このまま制服で塔に入るところだったよ。」


「別にいいじゃん。次のシナリオも学校かもしれないし。」


銀獅子: 「……そんな経験は一度で十分だ。」


『 星位の塔・第20階層への入場を確認 』

『 入場ハンター:〈無名〉、〈銀獅子〉 』

『 シナリオが展開されます 』


「……今回は、簡単なのがいいな。」


銀獅子: 「前回のも十分簡単だっただろう。

むしろ、武力が通じない方が面倒だ。」


「私は頭使うの苦手なんだよね。全部ぶっ壊せば済む話でしょ。」


『 今回のシナリオ:“ネオ東京” 』


「ネオ……未来?」


目の前に広がったのは、廃墟と化した炎上中の東京だった。


「おお……銀獅子、やっぱりこの塔は“必ず起こる未来”だけを見せるわけじゃないんだね。」


銀獅子: 「それでも、起こり得る未来ではあるだろう。」


「大丈夫、大丈夫。私がいるのに東京が滅びるわけないじゃん?」


……でももし、銀獅子や家族が死ぬ未来だったら。

そのときは、東京だろうが何だろうが全部焼き払ってやる。……あれ? それってつまり——


銀獅子: 「……立派な心構えだ。

どうやら今回は本当に戦闘特化のステージのようだな。」


その言葉を皮切りに、街の奥からモンスターの群れが溢れ出した。

ゴブリン、オーク、オーガが咆哮を上げながら建物を踏み潰していく。


「へぇ? なら、速攻で終わらせようか! すぅーっ……!」


【 スキル:黙輪功 】


ジウが両手を合わせると、黒い渦が掌に現れた。

まるでブラックホールのように周囲を吸い込み、

溜め込んだエネルギーを一気に解き放つ。

次の瞬間、モンスターの群れも、燃え盛る建物も、全てが消滅していた。


銀獅子: 「そんなスキルは初めて見たぞ……。

お前の“ファーストタイトル”は魔剣士じゃなかったのか?」


〈ファーストタイトル〉とは、星位/星座との契約で与えられる基本適性。

治癒系・筋力系・神経系など、通常は体質や性格に依存するが——例外も存在する。

ジウのファーストタイトルは筋力系の“魔剣士”だった。だが——


「うん? これ、私が作ったスキルだよ?」


……人間が独自にスキルを創造するだと?

しかも、まるで買い物でもするような口ぶりで……。(銀獅子の心の声)


銀獅子: 「それにしても、B級の群れを一撃で消すとは……

本当に一人の人間に許された力なのか?」


「うちの星様が、どんな契約をしたか聞いてないの?

私は“全知”、そして——“全能”だよ。」


銀獅子: 「だからこそ、精神干渉系には注意しろ。」


「へっ、私がそんなのにかかるわけないでしょ。

……で、次はどこ行く?」


銀獅子: 「他のルートは結界で封鎖されている。

このまま標識通りに進めばいいだろう。

……それにしても、普段なら面倒くさいと逃げ出すお前が、

今回はボスまで倒すなんてな。」


「今日はサービスデーだからね。ありがたく思いなさい。」


こうして——入場からわずか一時間後、二人は中央シェルターへと到達した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ