【第1話】プロローグ
『ティリン――!』
『日本 東京に聖位の塔(50階)が出現しました!』
ある日、人々の前にメッセージが現れると同時に、
世界各地の主要都市に巨大な塔がそびえ立った。
平凡だった日常は、一瞬にして崩れ去った。
各国政府は直ちに戒厳令を発令し、
塔の正体を突き止めるため総力を挙げた。
一部の国は物理的な攻撃を試みたが、
塔は一歩たりとも揺らぐことはなかった。
その時――
【ハンターとしての覚醒をおめでとうございます! あなたのランクはDです!】
それは、ごく一部の人間だけに届いた、正体不明の覚醒メッセージだった。
どのような経路で覚醒が起こるのかは、まだ解明されていない。
ただ一つ確かなのは――覚醒の瞬間、人は人間を超えた力とスキルを手にするということ。
やがて全人類に向けて、共通のメッセージが鳴り響いた。
『30日以内に塔を攻略しなければ、ペナルティが発生します。』
その直後、世界各地で同時多発的にダンジョンが生成され、
そこから無数のモンスターが溢れ出し始めた。
人々は自然と「覚醒者」という存在の意味を理解することになった。
――そして塔が現れてから10年後。
世界は表面上、平穏を取り戻したかのように見えていた。
人々は再び日常を送るか、
あるいはハンターとなって塔を攻略する道を選ぶようになった。
モンスターを狩って得られる戦利品は、社会を根本から変えていった。
市場にはモンスターの革で作られた防具や装飾品が溢れ、
軍部は「ステラ」を利用して新たな兵器を開発した。
今やモンスターは恐怖の対象であると同時に、黄金の鉱脈でもあった。
一部ではこれを「神の祝福」と呼び、
さらにはより多くのモンスターを得るために、
あえて攻略ペナルティを受けようとする国家まで現れた。
だが――日本を含む全世界は、やがて新たな問題と直面することになる。
『おめでとうございます! 国家:アメリカ合衆国のベンジャミン・ブレイク様がS級覚醒者になりました!』
彼らは、いわゆる国家権力級ハンターだった。
塔の攻略における最精鋭であり、
数年に一度現れるかどうかという希少な存在。
現在までに――
アメリカはS級5名、
中国はS級3名、
日本と日本はそれぞれS級2名を保有していた。
各国のS級ハンターたちは、世界秩序を支える象徴となった。
誰もが「この戦力があれば人類は耐えられる」と信じていた。
そして、ある日――
『ティリン――! おめでとうございます!』
全世界の人々に同時に祝福メッセージが響き渡った。
「こんなメッセージ、初めてだ… なんだ?」
人々が戸惑う中、
続けて流れた一文が世界を揺るがした。
『おめでとうございます! 国家:日本のチョン・ジウ様がS級覚醒者になりました!』
【塔攻略状況】
国家:アメリカ合衆国(13階)
国家:日本(8階)
国家:韓国(6階)




