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One-Sided Love   作者: 藍本 彩夢


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第九章

 次の日 部活の見学をしたいと、真臣君が由季と楡井さんと一緒に来た。

 「公演の練習を見たいと真臣が言うので、演劇の顧問に聞いたら見学はいつでも大丈夫だというので連れて来たんだ。」

 部室はキャーキャー ザワザワとしていたが、練習に入ると空気が一変した。その様子に真臣君は少し驚いたみたいだった。

 あたしが出る場面になった。あたしは役に入る為 目を閉じて意識を集中し役になりきる。後はその役の人物として演じるだけ‥

 楡井さんの演出に従って演じていく。気になる所は質問して、直しながら演じていく。

 最初は真臣君の視線を感じていたが、そのうちそれも気にならなくなる。

 あたしはただ役の人物の気持ちになり動き、ますます役に没頭した。

 

 そして練習に明け暮れた十二月の定期公演も終わり、約束通り四人でカラオケに来た。

 楡井さんも真臣君も推薦された大学に合格したので、そのお祝いと定期公演の慰労会を兼ねて‥

 「楡井さん 杉城さん 合格おめでとうございます。」

 あたしと由季が言った。

 「ありがとう!」

 楡井さんと真臣君が答えた。

 「ユウカちゃん 定期公演お疲れ様…凄い反響だったな‥まさか追加公演までやる事になるなんて…」

 楡井さんが言った。

 「お陰様で‥脚本が良かったんですよ。」

 あたしも言う。

 「本当にユウカの演技も影澤先輩の演技も自然で、凄く良かった。私 感動して最後の方 泣いてた。」

 「本当 良かったな。公演 二回共見た奴が多かったな。俺もだけど‥今度の定期公演 俺が特別出演してやろうか‥」

 真臣君がふざけて言っているのが分かる。

 「いや それはやめた方がいいよ‥ユウカちゃん‥特に君が今回のように抱き寄せられるシーンがあるなら尚更‥嫉妬で乱入されたら困るだろう。」

 楡井さんがわざとだろうか‥?嫉妬という言葉を強調した。

 「そんな事する訳ないだろう。練習を見学に行って分かった。舞台の上で演じる人達は、相手が愛する人なら愛しているように、敵役なら敵の様に相手を見る。あの集中力は凄いと思った。この前キツイ言い方をしてしまったのは、嫉妬からだ。本当に悪かった 許してくれ。」

 真臣君はそう言って頭を下げた。

 嫉妬か‥本当はそんな事ある訳ないのになって思いながら、ちょっぴり寂しかった。

 そして気づいた。これはいつものノリが始まっている?それならノルしかないね。

 「わかりました。許してあげます。」

 あたしがそう言うと、真臣君はいつものようにあたしの頭をポンポンと軽く叩くと

 「ありがとな」

 って言ってくれた。

 それを見ていた楡井さんが

 「真臣 ここの所見ているとお前 ユウカちゃんに触れすぎだぞ‥」

 と言った。

 「えっ‥」

 と真臣君。

 「今もユウカちゃんの頭ポンポンってやってただろう…なぁ由季‥」

 「あっ あれ‥前からそうだったから気にしてなかったわ‥」

 と由季が答える。

 「前から…? フーン」

 と意味ありげな楡井さん。

 「なぁ 真臣‥お前 俺と由季の出会い知ってるよな。」

 「ああ‥」

 「俺 お前とユウカちゃんの出会い知らないんだ。不公平だと思わないか?ユウカちゃんとの出会い教えてくれ。まさかイヤだとは言わないよな。」

 と畳みかけるように楡井さんが言った。

 「わかった。教えればいいんだろう‥」

 と真臣君…

 (ええっ〜出会いと言われても、あたしと真臣君 本当に付き合っている訳じゃないし‥)

 とあたしが思っていたら、スラスラと答え出した。

 「初めて出会ったのは俺が小学二年の時…ユウカが新入生で子供会に入ってきた時だ。『新入生を弟や妹だと思って色々教えてあげて下さい。』って学校で言われて‥俺 下がいないから嬉しくて、本当にそうしたんだ。新入生達の兄貴のような気になってな‥」

 「それでその兄貴のような感情から、いつユウカちゃんの事が気になり出したんだ。」

 「博?」

 「今更 隠す事ないだろう。ユウカちゃんは今は彼女だろ‥」

 あたしはその楡井さんの言葉にドキッとした。

 四人でいる時 あたしは真臣君の彼女 そうだった‥今あたしは彼女だ。本当ならいいのにな‥なんて考えていた。 

 由季は何を思っているのか、皆んなの会話を黙って聞いている。

 あたしは本当に付き合っている訳じゃないから、真臣君が楡井さんの質問に答えるのは難しいだろうなと思ったので、助け船をだそうとしたら真臣君が答え出した。

 「ユウカの事が気になり出したのは中二の時だ。校内で会って俺から声かけたら、ユウカはニコッとして『杉城さんお久しぶりです。』って答えてくれた。久しぶりに会ったユウカはキラキラしてて俺 ドキッとしたんだ。その時からだよ‥俺がユウカの事 気になり出したのは…そして去年から付き合い出して今ユウカは、俺の彼女として隣にいる‥これでどうだ‥博」

 と真臣君。

 「そういう設定のようなので四人でいる時は、それに合わせるように…いいですね ユウカちゃん‥」

 と楡井さんが言ったので

 「はーい!わかりましたー」

 と手を挙げてあたしは答えた。

 

 楽しい時を過ごしてあたしと由季と帰途に着いたその帰り道

 「由季 楡井さんと帰らなくて良かったの?」

 「うん‥どうしてもユウカと話したいことがあるから‥」

 「話したい事?何?」

 「さっき 杉城さんが言ってた初めての出会い…あれは事実?」

 「ええ そうよ。子供会が最初だった。」

 「そう…そしてユウカの事が気になり出したのは中二の時。校内で会って杉城さんから声をかけた。その時は私も一緒にいたから何となく覚えている…それも事実‥それってやっぱり杉城さんの本音が入ってるんじゃないのかな‥私はそんな気がするのよ。杉城さんてユウカの事が好きなんだと思う‥」

 その由季の言葉にあたしは何も答えられなかった。




 




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