第四章
休み明け由季はとても嬉しそうだった。とても輝いた顔をしていた。
ああ〜いいなー 今日 真臣君は朝練のある日。だから朝の挨拶できなかったのよね。当然 真臣君の姿も見ていない。昼休みそんな事を思っていると由季があたしを教室の外へ連れ出した。
「楡井さんとデートしていたらね杉城さんに偶然会ったの。私との事 話してあったらしくて『初デートか‥良かったな博 想いが通じて…彼女 大事にしろよ』ってひやかし混じりだけど言ってくれたの。そしたら楡井さんが『真臣 羨ましかったらお前も彼女を誘えばいいだろう』って‥杉城さん『今度 そうするよ‥あんまりお邪魔しても悪いから退散するよ‥じゃあな』って別れたんだけど、私 楡井さんに聞いたのよ。杉城さん 彼女いらっしゃっるんですか?って そしたら『噂は色々あるみたいだし、誰かに訊かれたらいるって言っているけど‥俺は見てないんだよな。真臣が女性と歩いているのを見たっていう奴 結構いるからな…その女性が あいつの想い人かどうかは分からないないけどね。あいつに聞いてもはぐらかされるばかりだよ…』って」
「そうなんだ‥やっぱり彼女いるんだ…もし いなくても好きな人はいるって事よね…」
「その好きな人ってユウカかもしれないじゃない。」
「そうだったらいいなぁって思うけど‥違うわよ‥でもありがと!慰めてくれて…」
「ユウカ…」
「そろそろ中に入ろう。昼休み終わりだよ!」
あたしと由季は教室へ入った。
放課後 あたしは清掃当番だった。場所は担任の教科が生物なので生物室と準備室…今日から一週間だ。
今日は真臣君に一度も会えなかったなぁ。それに彼女か…ショック…少々落ち込み気味のあたしは友達と生物室へ‥清掃が終わって生物室から出てくると、隣りの化学室からドヤドヤと友達と出て来た真臣君にバッタリ…
エッ!ウッソー!
「あれっ ユウカ 生物室の掃除か‥」
「はい‥」
「俺 化学室なんだ。あっそれから試合が近いから試合まで朝練なんだ。じゃっまたな!」
そう言って駆けていく真臣君。
今まで落ち込んでいたのが嘘のようにルンルン気分なあたし‥さあーて あたしも部活 頑張るぞ‥それに明日からの掃除 た・の・し・み‥
二、三日して由季が
「この頃 朝 杉城さん いないね。」
って言ったの。だからあたし
「試合が近いから試合まで朝練なんだって‥」
って言ったら
「良く知ってるねー」
って由季。
「月曜日に掃除当番でバッタリ会った時、杉城さんが言ってたの。」
「それって ユウカに知っていて貰いたかったんじゃないのぉ?」
「まっさかぁー!」
そんな話しをしていたら眞弓と礼菜が来て言ったの。
「ねえ 三年の杉城さんって彼女がいるんだってね…」
そういう噂 流れてるのよね。
「その彼女って‥うちの学年の坂部さんだって噂よ‥」
えっ 坂部さんって学年女子の中で一番人気があるって言われてる人なのよね。あたしには‥望みなしって事かぁ…。」
あたしはちょっと大きめな溜め息をついた。
「ユウカ どうかした‥?」
眞弓が聞いてきた。
失恋決定だから言っちゃおう。あたしは思った。
「実は、あたし好きな人がいて それが杉城さんなの。失恋決定だけどね。」
「そーなの?ゴメン!でもーユウカ!分からないよ。単なる噂にすぎないかもしれないじゃない。だって杉城さんってユウカの登校時間には必ず教室の窓の所にいて、ユウカに声をかけるじゃない?たまになら偶然という事もあるけど朝練のない日は毎日でしょ。それってやっぱりユウカが気になるからじゃない!ねっ!」
礼菜が考えながら言った。
「そんな事ないよ‥考えすぎだよ‥。ただ小さい頃から知っているから妹みたいに思ってくれてる事はあるかもしれないけど…」
あたしは早口に言った。
「でもねユウカ。あたしね ユウカの登校時間より早くも遅くも通った事あるけど、その時間帯に教室の窓の所に杉城さんの姿はなかったよ!通り過ぎる時に姿を見た事があったけどふり返ったら、ユウカが歩いてくる所だった。それってやっぱりユウカが通るのを待っているって事じゃないの?」
眞弓が言う。
「それなら嬉しいけど‥違うと思うわ。だって杉城さんが女性と歩いているのを見た人結構いるっていうし‥でもあたし 歩いた事ないもの…」
「ユウカ‥」
由季が言う。
「あたし‥杉城さんに自分の気持ちを伝えるのが怖いの‥。上手くいけばいいけど だめだったらもう杉城さんに声もかけて貰えなくなるかもしれないじゃない‥?それが一番辛いの‥。今のままなら 声もかけてもらえるしたまに会話も交わせるでしょ‥。その方がいいって‥思ってる。」
「ユウカは本当に杉城さんが好きなんだね。」
眞弓があたしの顔を覗き込んだ。
「ええ…もうずっと好きなの。両想いになれたらいいなって思ってた…。でも彼女がいるんじゃあたしには、もう望みなしってコトね。」
「ユウカ‥人を想う事は自由だよ!杉城さんを好きという気持ちは大切にしてもいいのよ‥。」
礼菜が優しく言ってくれた。
「さあ、そろそろ部活の時間よ!行きましょう。」
由季が促してくれてあたし達はそれぞれの部活へ行った。
あたし…杉城さんの事諦めなきゃいけないんだ…そんな事考えていたから落ち込み気分だったけれど部活はしっかりやってその間だけ杉城さんの事 忘れていられた。




