第十一章
クリスマスの日 あたしはキラキラと光るイルミネーションに誘われ、街の中を歩いた。鮮やかな光はとても明るくて、いつまでもその光の中にいたいと思う。周りはカップルや家族の笑顔で余計にキラキラとしているようで‥心が温かくて思わず笑顔になっている自分がいた。
そういえばここ何年かは、四人でクリスマスパーティとか言ってファミレスだったりカラオケだったりして過ごしてたんだよねー。でも今年は眞弓、年明けの大会にでるから合宿だって言っていた。由季は楡井さんとデート。礼菜は年末からおばあちゃんの家に行くからその準備‥これからは皆んなの時間が合わない事もあるんだろうな。皆んなが大人になるに連れてそれも増えていく…でも皆んなとはいつまでも友達でいたいな。
「ユウカ。」
その声に振り返ると礼菜がいた。
「どうしたの?此処で…」
「大好きなイルミネーション見てた‥」
その返事に礼菜はあたしをジッと見た。
「ユウカ そこのカフェ入ろうか‥」
(この言い方‥こういう時の礼菜には黙って連れて行かれるべきだ…)
あたしは頷いた。
席で向き合った彼女は言った。
「ユウカ 何か悩んでいるよね。白河君の事と杉城さんの事と両方とも関係あるよね。」
「礼菜 鋭いね…違うと言ってもどうせ分かっちゃうんだから認めるよ。」
「偉いね ユウカ…で‥?」
「あたしが今 白河君と友達として付き合っているの知っているよね…」
礼菜が頷いた。
「お互いを知る為にって名目上言ってるけど…実際は普通のデートと変わりない‥何かね あたしを好きだっていう白河君の気持ちをいいように利用してる気がして‥でも杉城さんの事はやっぱり好きで‥それなのに白河君の優しさにも、甘えていて‥狡いよね‥あたし…って自分で思ってる。」
「でもそれって、白河君が自分から言い出したんだよね‥好きな人はいてもいい‥今の自分を知ってもらいたいから、友達として付き合って欲しい‥自分と会っている時間が彼女のいるその人の事を考えないでいられる時間になればそれでいいって…」
礼菜のその問いにあたしは頷く。
「それってさ 見方を変えれば白河君にとってもいい条件だと思うよ。自分の好きな人と友達より少し親しい関係でつきあえるって事でしょう。普通なら自分の事は意識してもらえないかもしれないのに、意識してもらえる訳でしょ。で その間にうまくすれば好きな人の心を自分に向ける事が出来るってことだよね。だからユウカ…白河君に対して悪いとか 自分は狡いとか思う必要はないよ。だって二人は同じ条件だとわたしは思うよ。」
礼菜が言い切った。
(礼菜が凄く大人な感じがする。気のせい‥?でも雰囲気も変わった気がする‥もしかして恋してる‥?)
「何か礼菜‥変わったというか大人っぽくなった気がする。」
「好きな人の影響かな…いろんな考え方があるって気づかせてくれるから‥」
「好きな人 できたんだね。」
「うん 同じ絵画教室に通っている大学生なの。しばらく片想いだったの。でも昨日から彼氏になった!」
「そう よかったね おめでと!後で詳しく聞くからね。」
「わかった。年明けに女子会しましょ。それからユウカ‥さっき言った事忘れないで‥自分を責める必要はないからね。」
「ありがと…」
礼菜のその言葉は優しく温かくあたしの心に沁み入り、沈んだ心が浮上して軽くなった。




