表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/23

会社立ち上げ→スカウト→話が違うじゃん→あるある話


 キッカケとなった会社にも、彼が直接声をかけられて就職をした。


 興したばかりの会社で、入社した後は一定期間を経て役職がつくのが条件。


 給料面についても、わざわざ我が家に説明をしに来て「何の実績もない会社への転職なので、奥さんも不安だろうと思いまして。これからの待遇などについて、二人そろった状態で話を聞いてほしくて」とか切り出して、入社後の待遇について説明を始めた社長と副社長夫婦。


 待遇については理解できても、仕事の内容については触れたことがない業種だけに曖昧にしか理解できず。


旦那と社長の関係性もイマイチわからなかったので、旦那がそこに行きたいと口にしたのにうなずく以外の選択肢がなかった。


 旦那からすれば、今までの会社で今までと変わらない待遇で仕事も大した変化も成長もないままで過ごすよりも、たとえ冒険をする感覚に近くても、そちらへ一歩踏み出してみたいという気持ちにだけ火が灯った。


 家族がどうこうとか、就職して最初の数か月は給料がバイトのような扱いになっていたとしても、数か月後には扱いが説明にあったような待遇へと変わるのだから。彼の認識はそんな程度。


 家族としてはそれまでの間、しばしの我慢期間を乗り切るだけ。


――――たったそれ“だけ”の話。


 最終的には、旦那の気持ち一つで右へも左へも決められてしまう状況だった。


 話を聞き、横で何度もうなずきながら目を輝かせている人がいて。


最初の数か月の我慢期間について、あたしにも話を振ってきた彼。相談という形で話を振って来はしたが、「いいよね?」という否定を許さない聞き方だった。


その時点で彼の心はもう決まっていて、妻へ形だけの確認をすませたらサイン。


彼が雇用契約書にサインする様を、黙ってジーッと見ていた。


 ニコニコしながら、わかりやすいほどにゴキゲンになっていた彼。


その雇用契約書のせいで、夫婦そろって心身ともに壊されていくことになるというのに。


 辞めたのは、約一年後。たしか、失業手当を受けられる条件にギリギリ該当していたはず。


数か月と言われていたバイト扱いの期間の後には、なぜかその前に勤めていた場所と同じように季節雇用扱いに。


その時点で何かおかしいなと思いつつ、彼へ弁当を作り続けていた。


 最初の説明時に与えられる仕事の内容に、営業は含まれていなかった。にも拘わらず、営業が当然のように含まれるようになった。


 人とのコミュニケーションを苦手とする彼にとって、それは苦痛でしかなかった。


口約束でしか交わしていなかった、細かい仕事の内容。どんどん変わっていく仕事に、それまでになかった心的疲労が増していく彼。


 それでもそれで食べていけるならと思い、そしてそのうち会社が軌道に乗れば説明された仕事になるはずだと願い。


社長と副社長に声をかけてもらい、自分を評価してくれたと思う気持ちに従うように、不平不満を飲みこんで仕事に向かい続けた。


 帰宅後に夕食を食べながら、子どもたちから保育園や学校での出来事を聞くのと同じように、彼からも仕事の聞くようになった。


というか、あっちが勝手に話をするように。それに応とうなずいたわけでもないのに、長ったらしい話が展開されるので、テレビを聞き流すかのように聞くようになったわけだ。


子どもたちの話の途中だろうがなんだろうが、彼が話したいタイミングで愚痴タイムが始まるのだった。


 そのうち子どもたちへの配慮として、あとで話を聞くからと別に時間を設けるようにした。


そうでなければ、子どもたちが彼に気を使い、話したいことや聞きたいことを飲みこみかねない状況ゆえにだ。


 そんなキッカケで彼の文句というか愚痴を延々聞かされる日々が始まるのだが、毎日のように同じことで毒を吐く。


 一向に改善されていかない判を押したように同じ愚痴だらけ。


社長らと話し合いは出来ないものなのかなと、漠然と思っていた。どうしてそこまで伝えないでいるのか、と。


 当時、過去に免許取り消しになったままだった彼のために、社長が免許を取り直す費用を立て替えてくれていた。


分割払いで返金することを約束をして。


「その支払いが終わっていないから、こっちから偉そうな話は出来ない」


彼に、どうして話し合いを求めないのかと聞いた時の返事がそれだった。


借金があるから、大きな態度は取れない、と。


 借金と仕事の内容は、まったくの別物じゃないの? と眉間にシワを寄せたあたしに、「俺の立場をよく知りもしないのに、俺には無理なことをやれと急かすな」と逆に睨まれた。


 俺の立場? そりゃ、ただの平社員でしょうよ。他に言いようがない。


けれどたとえ平社員でも、最初の話と違うことを会社がやらせようとしたならば、拒否なり疑問をぶつけるなりすべきなんじゃないのか。


 社長夫婦と、一介の社員。確かにそれだけの関係だ。けれど、知らない仲じゃないんでしょとも思うので、尚更なんでと思った。相談しなよと。


「クビになれば我が家の収入源がなくなるっていうのがマズいだろ?」とかも言うくらいなら、就活をしてからだっていいじゃないか。


 目の前のことだけで終わりになるわけじゃない。収入源は、そこ以外を禁じられたわけじゃない。そんな権利が社長夫婦にあるはずがない。副業ダメとは聞いてない。


 というか、まずは話をしなきゃ進めない。


 人は不便な生き物で。


自分じゃない相手にはいくらでも言えるのに、自分には同じことが起きても同じことを言い聞かされるとムカつくもので。


 過去にあたしの就活について、彼が同じことを言ってきたことがある。


それを同じように言って返した。いわゆる、ブーメランとかいうやつだ。


 ややしばらくそれについての愚痴が何度も吐き出されて、その後、失業手当の対象になるまで勤めてから退職となる。


 ……のだが、その間に起きたのが先に書いたような睡眠障害悪化期間突入な出来事。


 あの時期は本当に最悪で、最悪で、最悪で。


大事なことなので、三回書きました。


 その会社を辞めるまでが、あたしにとってはものすごく長い期間だった気がします。


実際は、数か月ほどだったろうけど。


 加害者と被害者という肩書きで分けるなら、彼が完全に加害者で、あたしが被害者。


けれど、彼曰く「俺だって被害者」だそうな。


 就職は、実際勤務してみなきゃ仕事の雰囲気も人間関係も、相性は何一つわからない。


それはどこの会社に就職したって、誰が入ったって同じ話。満遍なく、最初はみんな同じところから始まるはず。


 だから彼だけが特別という話ではない。


就職してみて、自分が飲み込むところがあったり、相手に譲歩してもらったり。お互い様な感じで持ちつ持たれつな関係を持ち続けていくのが、社会人なんじゃなかったっけ。


 って書きつつも、あたし自身も職場が合わずに体調を崩して辞めることが多かった人。それに辞めた原因に仕事の内容だけじゃなく、人間関係の酷さに辟易して辞めたことがないわけじゃない。


むしろ、よく知っている方。


 なのに、彼にだけ対してのこの物言い。


「どうして彼の立場になって考えてあげられないの?」だとか、「就職したことがないんでしょ?」とか。「今までの会社で、ズケズケと自分のことだけ考えて意見を言えた側の人間だよね? きっと」とかさ。


「相手の立場になってみれば、そんな簡単にモノが言えないはずでしょ? 誰でも上司に嫌なことは嫌だと言えるわけじゃないんだよ?」だとかも、思われていそう。


 わかる。言いたいことは、わかりまくります。


言いたいことが言えなかったこともあったから、あたしも体に影響が出るほどにストレスを抱えてぶっ壊れた過去がある。


 だからこそ、言っていた部分もあった。


自分と同じ結果にはなるべきじゃない。なっても、いいことがなかった。


体調を崩し、心を病み、元の生活に戻せるまでどれだけの時間がかかったことか。


そこの経験を経ているからこそ、早い段階で彼に声をかけ続けていたつもりだった。


 それでも、人の意見に流されることに嫌悪感がある彼の性格上、そう簡単にはうなずくはずがなかったんだ。


それをわかっていたからこそ、何度でも声をかけていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ