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どこか報われない世界観のカコバナ

※一部伏字あり

 

 ここで、その旦那についての話を、思ったよりも長くなるけれど聞いていただきたい。


ぶっちゃけるなら、愚痴に近いものになります。


 それと性的な話もちょいちょい出ます。かなり明け透けな感じの話も出ますので、苦手な方はページを結構先の方へ進めることをオススメします。


 あたしの睡眠をガリッガリに削れるだけ削ってくれた旦那とは、最初の旦那とまだ婚姻状態の時に出会いました。


 といっても、当時のあたしは自分であって自分ではない時間が多かった人でした。


「何の話をしているのかよくわからないんですけど?」と首をかしげられそうな書き出しですが、表現としては実は一番合っています。正解なんです。


 何が? という問に答えるとすれば、“解離性同一性障害”ふた昔ほど前でいえば“多重人格者”でした。


 だから、自分であって自分じゃなかった……が正解なんです。


 二人目の旦那の話の前に、すこしだけ最初の旦那さんの話を本題の補足ということで書きます。


 二十代前半に出会った、最初の旦那さん。自衛隊に所属していて、彼との間には入籍前に二人の子どもが出来たものの、結婚前だからという理由で堕胎することに。デキ婚が許されませんでした。


 後に入籍をしたものの、今度は逆に妊娠しにくくなり。流れたこともありました。


その後、互いにまだ若い二人は、やりたいことや気持ちの方向性を度々間違った方へと向かわせることになります。


 という書き方が出来るのも、それなりの時間が経過した今だからなんでしょうけど、昔はそこまで割り切った言葉で書くことは出来ませんでした。


 かなり長いこと、別れたとはいえ彼への気持ちを完全に消すことが出来ずにいたのは事実なので。


 話を戻して、最初の旦那さんについて。


同棲五年、結婚して五年。合算して、十年一緒にいた彼。


 結婚して間もなく、彼がB型肝炎に。数か月の入院と、しばしの自宅療養。当時の隊内で同時期に肝炎になった人がいたので、原因は何なんだとちょっとした騒ぎになったとか小耳に挟んだ記憶があります。


他の方たちがどんな風に過ごせていたのかも、個人情報故に知ることもかなわず。


日常的に体を動かしていた彼。そして、普段は自由が利く生活を過ごしていた者にとって、動くなと言われる生活は過度なほどにメンタルにくる。


 自宅療養中、ただシャワーを浴びるだけなのに、バスルームから出た後には体が重たくて動けなくなっていた。


たったシャワーひとつで、体力が削られる生活。そこまで落ちた体力。彼のショックは大きかったでしょう。傍から見てわかるほどに、彼の顔には戸惑いや焦燥感が滲んでいたと思います。


 短期間では体力を戻せず、彼にとってストレスがかなりな勢いで溜まっていきました。


 そして車が好きな彼は、それもしばらくは控えるように言われ。運転によってどれほど体力を使うのかを理解しつつも納得したくなく、車に乗りたい欲求もが新たなストレスになっていきました。


 上司からゆっくり休んでいいぞと言われていても、何もせずにいることは正直苦痛だったよう。それなら一日でも早く職場に復帰したいと、彼は願っていました。


 そうしてしばらくの自宅療養を経て、はれて職場復帰。そして、過度に体を使うことでなければ運動もよしとなった。


その流れで車の運転も許可が出て、彼はそれまで抑えつけられていたものを解放するかのように、夜な夜なドライブへと出かけることが増えたのです。


 そうなったことで出た弊害。


自分の家族=妻との関わりあいが、極端に減る。それによって、家や妻の状況が見えなくなりました。


趣味と仕事だけに集中することで、家がどんな状態に陥るとか想像すらしなかったのでしょうね。


若さゆえか、自分のことだけで精いっぱいだったか。彼の生活には、家族というものがなくなった気がします。


 その当時、家や自分を気にするような言葉をもらったことがない。


かけられていた言葉や送られてきていたメールの内容が、たしか「大丈夫だよね?」という謎の念押し。心配でも何でもない言葉。謎の確認。


 そう聞かれちゃ、何かあっても逆に言い出しにくいことこの上なし。


 家がその状態になってから起きた、とある出来事。


 旦那さんが不在中の、拉致軟禁とレ★プ。その後、解放。


そして、ほんの少しの時期を空けて起きたストーカー被害。


 二つの出来事が起きた後に、どちらもを旦那さんに打ち明けることが出来ずに一人で抱え込み。


そうして、メンタル崩壊。壊れてしまう心を無意識でか護ろうとした可能性が高いと後々言われたけれど、別の人格を持つことによってオリジナルの自分が痛みを感じない状態になった。


 自分であって自分じゃない自分は、結局誰だといえるのか。


正直なところ、今でもわからない。


 ストーカーの加害者の自宅に連れ込まれて、体の関係になったりもしていた当時の自分。パッと見、彼氏の家を訪問する彼女みたいなもんだったろう。


 夜にも仕事をすることになった時にストーカー被害に遭ったのだが、その職場での客の数名とも知らぬ間に体の関係になっていた。


 それに気づいたのは、自分の携帯の履歴だ。


お店の方にお客さんを呼び込むために、互いに番号を交換することはままある話。けれど、肉体関係を持つようになると話が違ってくる。


 ましてやこっちは就職の時点で既婚者なのだから、そういうことに理解を得られるはずがないし、していいことのはずがない。


そもそもで旦那さんが大好きだったのだから、する理由もなかった。


 枕営業にも近いその行為自体を、その店のママは良しとしない人なのを知っていた。他の店の話題としてあがった時に、好んでいないとハッキリ聞いてもいた。


そんなママがいる店で、そんなことを自分がしたとすれば? と想像してみる。


どう考えても悪手すぎる。


 夜の仕事をするようになったのは、旦那さんが乗っている車にかかるいろんな費用の一部を出してあげたいと思っていたからだ。


特に燃費の悪い車だと聞いていたこともあり、ガソリン代の足しにしてほしいと思っていた。


彼からは一言も頼まれてすらいない。自発的に、そうしたいと思い、始めた夜の仕事。


 そうして昼夜仕事に明け暮れていくと、それまでも彼がなかなか帰宅しない状況だったのに、わずかな時間で顔を合わせることもなくなってしまった。


 最後にしたのは、何の話だったっけ。


いつ、彼に触れた? 


彼はあたしの肌を憶えてる? 


なんて小さく絶望したこともあった。


自分で決めて始めたことだったのに。


 自分を見ようとしてくれる人が、ストーカーや体目当ての客しかいない世界。


都合がいいだけの女になってしまったことに、また小さく絶望する。


 そんなことないよと自分を何度も励まして、どうにか生き続けて行こうとしていく中で、二人目の旦那と出会った。


 その時の自分はあたしか、どの人格だったのか。今となっては知ることも叶わない。


 その場所に初めて連れていったのは、ストーカーだった。


その相手に合わせて過ごす回数が増えた頃か、ストーカーがよく行く場所に連れて行かれたよう。


それはパチンコ屋で、仕組みも何もしらないそこで適当に示された場所に腰かけて、言われるがままに玉を弾いて。


 数回一緒に連れて行かれ。数回いくと馴染んだのか、昼の仕事帰りに個人的に街中のパチンコ屋に、自発的に立ち寄ったこともあったみたいで。


個人的に立ち寄った自分がどんな状態だったのかも、記憶は曖昧だ。中身が誰かとか、軍資金はどこからか。どれもこれも、ぼやけていた。


 行ったとて、勝つわけでも負けるわけでもなく。


ただ……日常から少し離れた場所という感覚をくれる、そこにいたかったのかもしれない。


 自身の感情のはずなのに、どこか他人事みたいな感情表現になってしまう。


それはきっと、徐々に多数いた人格と同期していった後で記憶を共有出来たのが遅かったからかもしれない。


年単位でゆっくりと同期していき、記憶が自分の物になり、自分の一部だと認めるのにも時間がかかった。


 そうなるまでは、気づいたら時間が経過し、下手すりゃいたはずの場所にもいなく。違和感に戸惑わずにいられるはずがない。


その手の病気におかされた時、まったく記憶がない人もいれば、あたしのように後づけでもリアルタイムでの共有がある人と。


他にも違うパターンがあるのかまでは、調べきれていない。


ぶっちゃけ思う。記憶の同期というか共有は、ゼロか100か。どっちの方が楽なのだろう。主に、心が。


 あたしの場合。


精神破綻状態のその時には、他者でいた時の記憶はフィルター越しにも見えた感じで。


まるでテレビでドラマでも見ているようでもあったし、かと思えば、まったく記憶がないうちに何かが起きていたり。


――と考えれば、ゼロか100なんかじゃないのかもしれない。



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