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その8

「じつはな、あきよちゃんの話しはまだあるんやけど、聞きたい? 」


「うわっ、なにっ。話す気満々! 」


漫才のツッコミみたいに声を張って聞き返すようじ。ホンマにノリがええ。そんならこっちものっかったろ。


「・・・別にええんやで。俺も口が重たぁなってきたでな」


「いやっ、すまん。俺が悪かった」


「まぁ、許したるわ。でな、あきよちゃんなんやけどな、俺らが高1の時に、霞市で、小学生の子が行方不明になった事件あったやろ」


「3年位前の事件だろ。あの時、びっくりするくらい警察いたし、新聞もテレビのニュースも事件をずっと取り上げてたからな。たしか、あれって、まだ、未解決だったな。それと、あきよちゃんと、どういう関係が? 」


「そこや」


「そこて? 」


「あきよちゃんな、高校3年生の時、部活の練習試合で、事件のあった場所の近くの高校へ行ったんやって。そんでな、その帰りのバスん中で、池のある公園の横を通った時にな、『あの森の向こうに、行方不明の女の子がおる。早よ見つけてて、言うてる』って言うたんやって」


「・・・・・・。いやっ、ちょっと待ってくれ。その話しは大丈夫なのか? 」


「まぁ、最後まで聞けよ。それでな、それを聞いた部活の子達もさすがにびっくりして、あきよちゃんの能力を知ってる子と、次の日の放課後、警察に行って、その事を言うたらしい」


「・・・そっ、それで」


「けど、誰も信じてくれやんだんやって」


「それでおしまい ? 」


「そやで。どうなんそれって、思うやろ。けど、警察が言うには、非科学的やし根拠もないからって言って、それで終いや」


「・・・・・・確かにそうなんだろうけど・・・・・・。なんか、ヘビーだな。」


そう言って、ようじは難しそうな顔をした。まぁ、俺もこの話を聞いた時、ちょっとビビったけど。


「で、あきよちゃんはその後、どうなった? 」


「いやぁ、俺もツレのツレから聞いた話やで、詳しいことは知らんけど、警察に不信感ができてしもて、ずいぶん落ち込んでだらしいで。そんで、今は、あきよちゃんとこ兄ちゃんおるから、家を出て関西の・・・・・・何とかっていう会社へ就職したらしいで。」


「なんとかて・・・・・・。おっさんみたいだな」


「いやぁ、めんぼくない」


二人して笑う。その後、ようじは外の景色に目をやって、つぶやくように、


「そうかぁ。まぁ、元気にしてたらいいな」


と、言うた。俺もあきよちゃんの今が幸せであるとええなって思った。


「まったくや」



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