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その3

川沿いの県道に出る。桜並木は今年もきれいな花を咲かせてる。この道も俺が3歳くらいまでは土のガタガタ道で、保育園を卒園したころに舗装されたんやけど、工事をするときに川の土手に植わっていた桜の木を、どうするかでえらいもめてたんをちょっと覚えてる。最後には、地元の人の要望が勝って、結局残すことになった。


ギアを素早くシフトアップしながらカローラを加速させると、散ってる桜の花が後ろへ飛んで行く。

中古で買うたカローラやから、前のオーナーが変えたマフラーはええ音がしてて、ボーナスをつぎ込んで変えたエアフィルターと大型キャブレターが空気を吸う音は、イメージ通りで、ほんとかっこええ。

ようじも小学校と時は車好きやったで、それが伝わってた。


「レーシングカーみたいな音するね。ひょっとして、峠とかへも走りに行ってる? 」


「まあな。峠はなかなか面白いで。新しい86レビンを追いかけて走ってるわ。それと、もうちょっと上手くなりたて、ジムカーナも始めた」


「おーっ。車好きは健在みたいだな。なんだったっけ、あの漫画」


「サーキットの狼や」


「あーそうそう。「将来、早瀬になる」って宣言してたな。それで、早瀬と同じカレラ買った? 」


「・・・お前、いやみやろ」


「あ、違った。カローラ・・・・・・。」


「それ、完全に嫌味やな」


「嘘。怒んなよ。けど、テクニックは早瀬なみだろ? ちょっと、この先の急カーブで多角形コーナリングしてみて」


「あほかっ。それは風吹の技や! てか、あんなことできるかい! 」


心地ええボケと突っ込み。ようじはほんまに面白いし、ようじとのおもろい想い出もめっちゃある。

道の左側の広い田んぼの向こう側に俺らの小学校が見える。その校舎の横には緑色のフェンスに囲まれたプールがるんやけど、そこも、ようじとのおもろい想い出の場所の一つやった。


「なぁ。覚えとる? 中1の時の夜のプール」


「ああっ、覚えてるよ。あほだったけど、面白かったな」


そこで最後に泳いだんは、中学1年の夏休みやった。ようじの言う「あほだったけど」は、今になってやっと「その通りやな」と思える。

まだ、単純やった俺らは、めっちゃ暑かった日に、同級生4人でだらだらと遊んでたら、イトウが、突然「今日の夜、小学校のプールに泳ぎにいかへんか」と言うた。



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