表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/32

その2

「きにすんな。なんや、荷物はそれだけか? 」


「そう。これだけ」


「嘘やろ! それに、今時、マジソン・スクエアガーデンて! 」


自慢げにバッグを見せるようじに思わずツッコむ。

そやけど色あせて変色したスポーツバッグが似合っとった。


「モノもちがいいと言ってくれ」


「なんか、ちょっとダサない? 」


「そう言う浩二がダサい。今は、これがナウい。」


そう言って、ようじは笑った。そういうとこも、ようじらしい。


「合格おめでとう。 みんな無理やろって言うてたで」


「予想を覆す。それが、俺。」


「いやぁ~。かっこええなぁ。なんやろな、その自信。『トップガン』のトム・クルーズみたいやな。」


「お前、それ、嫌みか」


「あほやなぁ、ほんまの事やん。けど、ほんまに駅まででええん?なんなら、新幹線乗り場まで高速飛ばしてくで。」


「ありがとう。けど、駅まででいいよ。電車の方がカローラより早いし」


「・・・・・・・降りてくれるか? 」


「嘘。浩二のカローラは最高」


「わかってくれとったらええ」


一年ぶりくらいの再会やったけど、冗談を言い合うと、すぐにあの頃に戻った。俺は、ギアを一速に入れ、クラッチをつなぎ、ぎりぎり家と家の間を通れる幅の道をゆっくり走った。

 いつも思うけど、もうちょっと道を広げてくれたら皆が助かるのに、この辺の人は「塀」の方が大事やで何ともならんのやろな。


「寒かったら、窓閉めてくれよ。」


「おおっ。あれっ、パワーウインドない。」


「うるさいわ。そんなもんいらん。腕の力があるやろ。」


最近の車はパワーウインドが標準装備されてて、手回しで窓を開け閉めするってゆうのも、「信じられへん」って思う時が来るのかもしれへんな。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ