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召喚の儀  コジマの場合。


転生だとか、異世界だとか最近流行りだよな。

それだけ現実逃避したいってのもわかるよ。

自殺大国だしな。


しかし、まじでか。


俺の目の前には、結婚式の牧師さん?みたいな人がいる。


10人くらいで囲まれてる。

白い服に教会で愛を誓うときに立ち会う人。

ドラマで見たことある。

でも、視界には等間隔で10人、よく聞く彫の深い顔だちで真顔で。


こっわ!こっわ!怖すぎ!!


これ、あんまり空気読めない人でもわかるよ!

あっ、察し。ってやつ。

魔王を倒してください!とかガチで言いそう。


「この度は、召喚の儀にてお越しくださり、ありがとうございます。」

「こちらこそ。」


ざわっ


あれ、間違えたか??

愁傷に、はい、と真面目に答えるのが正解なのか?

少しでもお堅い空気をなごませる案はダメなのか?


とりあえず言葉が通じる事にほっとした。


「今回の責任者のユージュと申します。お見知りおきを。こちらの文字は読めますでしょうか?」


差し出されたのは、どうみても名刺の様なカードだった。

読める。


「はい、間違いなく。名刺はないので渡せませんが小島と申します。」

「コジマ様、こちらの勝手で召喚してしまい突然のことで申し訳なく思いますが、実は異世界交流運営企画というのはご存じでしょうか?」

「えっ」


なんて?


「い、いせかいと交流・・・?」


「突然でびっくりされる方が多いのですが、コジマ様の雰囲気といいましょうか。

 一言目に、朗らかに答える方が珍しいのでメーシというものも差し出させて頂きました」

「名刺。確かに」

「前例からいきますと、このメーシを差し出すのが一番の信頼であると統計が出ています。」


そうでしょうね。

頷いておく。


「たまに文字を認識できない方もいらっしゃるのですが、その心配もなく良かったです。」


ですね。

頷く。


「で、俺は普通の庶民ですし、何か呼ばれる基準とかはあるのでしょうか?」


魔王倒せとか?チートとか?


「その話はおいおいするとしまして、今回は人当たりのよい方を希望致しました。」

「また何故?」


ありきたりな求人誌でしょそれ。

アットホームな職場です!とかいってブラックなんでしょ。

知ってる、バイトで騙されたから!!!


「私達は国の推進事業で行っておりますが、恥ずかしながら最近正規の召喚ではなく、

 私物化して善意も悪意も含めて召喚しようとする者がおりまして・・・・・」


なるほど、技術の流出か。

あと悪だくみってやつだな。


「あとは、前世を覚えているという者が出てきているのです。」


転生か?


「正規で召喚された方に対しては、手続きが滞りなく出来るのですが、

 前世の方は、生まれた時からの方もいれば壮年になってからいきなり思い出すといった事例もございます。」

「それは大変そうですね・・・・・」


生まれながらであれば納得いくにしても、壮年とは大変そうだ。


「それで色々とこちらでも聞き取り等を行いまして、ギルド、という単語にお心あたりはありますか?」

「ありますね。」

「資料を取りまとめた結果、召喚者様が言うには人が集まって困り事を解決する場所が必要となりまして。

 はろーわーく?というのも候補にでたのですが、ギルドという名称が良いとの事でした。」


なるほど。

発音変だし、ギルドの方がいい。


「主に前世の記憶を持つ方が困った時、もしくは召喚の儀に納得されなかった場合の対応部署なのですが、今回コジマ様にはそちらでの対応をお願いしたいのです。」

「えっ」

「その為、人当たりの良い方を、と願ったのです。」

「なるほど。」


呼ばれていきなりクレーム対応とは恐れ入る。

とんだブラックじゃないか。

人当たり、というのは魔性の言葉として俺の心に辞書登録された。


「その、コジマ様が思うほど忙しいですとかお給金が悪いわけでは御座いません。」


顔に思いっきり出ていたっぽい。

しょうがない、だってクレーム(以下略)


「国家事業ですので、かなりの好待遇ですし召喚も頻繁にはございません。」

「好待遇とは・・・?」

「住まいはギルド併設、お給料はそうですね、一年貯めるとそこそこの家を買えます。」

「えっ」


夢の・・・一軒家?

お金貯めるまでは住み込み?

まじで?


「・・・・・勝手に召喚してしまい、本当に申し訳ないのですが如何でしょうか・・・」


ガチで考え込んでいると困った声が聞こえた。


「いえ、少し考えていました。ちなみに帰る方法はあるのでしょうか?」

「・・・それもまだなのです。2000年ほど研究されているのですが。」

「そうなんですね・・・」

「今の所、漂っている、とこちらでは呼ばせて頂いてるのですが、そういった魂を呼ぶ事までは成功している段階です。」

「漂っている」


死んだとか?

実は俺死んだのか?


「とりあえず、このままでは石畳が冷たいでしょう。コジマ様をお迎えするお部屋までご案内致します。」

「お気遣いありがとうございます。宜しくお願いします。」


確かにゲームの神殿の様な場所で、冷静になると肌寒い事に気が付いた。

それにしても気持ちの良い対応、というのだろうか。

ユージュさんこそ人当たりが良いに相応しいのでは?

歩きながら名刺を見る。

『異世界交流運営企画課 課長 ユージュ・トルリア』

課長!

役職付きか!

というか課長という概念あるのか。

すげえな。


「コジマ様、こちらが落ち着くまでお過ごし頂ける様に用意したお部屋となります。」

「ありがとうございます。」


ペコリ、と頭を下げるとユージュさんはとても嬉しそうにペコリ、と返礼してくれた。


「もう遅い時間ですので、また朝起きられたらお話しませんか?」


確かに外は真っ暗になっていた。


「宜しくお願いします」


どの道、帰れない事はわかったし今の所この課長しか知らない。

とりあえず、魔王打倒が望まれていない事で安心した俺は一通りの浴室の使い方と

とても美味しいお茶を飲み、ホテルと変わらない様な部屋で寝た。


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