47話前編 デレが過剰(D)
翌朝、ラウラがなんだか物凄く可愛い。
「じゃ、行ってくる」
「え?」
ソファから立ち上がろうとすると、ラウラが驚いた様子で僕を見上げ、可愛い事に僕の服の裾を小さくつまんできた。
思わず座り直した。
「ダーレも行くの?」
「捕まえた奴等の処遇が僕の担当だから」
「そう」
ラウラが少し俯いて歯切れ悪く応える。
なに、その可愛い感じ。
「僕と離れるの淋しい?」
「ええ」
「?!」
おっと。
自分で言っておいておかしい話なんだけど、望む返事が来て軽くダメージ受けてる。
可愛いがすぎるよ、ラウラ。
ラウラの事だから、そんなことないわ的な返事かと思ってた。
「殿下、そろそろ出発を」
「ちょっと待って」
「……」
フィーの催促を断って、かつ下がってもらう。
今ラウラとの二人の時間、かなり貴重っぽい。主にラウラの素直さ的な意味で。
「一緒に行くわ」
「それは駄目」
まあ向こうの城で待機になるから、ここにいるのと大して変わらないけど、この素直さのまま一緒にいられるとたぶん僕が仕事放り出す。
ラウラの為に仕事を早く終わらせるんじゃなくて、放り投げだすレベルにいく。
「ダーレ、お願い」
「うううう可愛いけど、今回は勘弁して」
わざとじゃないのはわかるんだけど、僕の胸に手を添えて迫ってくるの止めて。
なんで初夜の話であんなに無理っぽい態度とっておいて、こういう時はこの距離感大丈夫なのさ。
ああもう今すぐ夜にならない?
そういう魔法ほしい。
「お願い、ダーレ」
じりじり逃げながらかわそうとしてたら、ついにソファの端っこに追いやられる。
こういうのは逆がいいなあ。
あ、でもこれはこれで貴重だしなあ。
「ラウラ、これ以上はちょっと」
「え?」
「ラウラからくっついくれるのは嬉しいんだけど」
「え、あ、私ったら!」
僕の指摘でようやく気付いたラウラは素早くソファの反対の端っこへ飛びのいた。
ううん、やっぱり言わない方が良かった。
「ご、ごめんなさい!」
「全然いいよ~」
むしろ帰って来たらじゃんじゃんやって。
「私、やっぱりここで待つわ! い、いってらっしゃい!」
「あー、うん。行ってくる」
真っ赤なラウラと気まずいながらも目を合わせて、僕は渋々ドゥファーツを後にした。
「ああ、本当余計な事ばっかりだよ」
あれ、ちょっと待って。
「いかがされました?」
「今気づいたんだけど」
「はい?」
「結婚式、また延期じゃん……」
「何を今更」
なんか僕、呪われてる気がしてきた。
はいはいとフィーとアンに適当に相槌される。
「やっぱりラウラと一緒に」
「もう遅いです。いい加減諦めて下さい」
「う……」
本当誰か僕を労わって、褒美をくれてもいいと思うんだけど。




