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44話前編 平和って最高(D)

「結婚式は謁見の間の手前、大広間で行うけれど」

「はい、構いません」

「その後、外へ出て城の前で皆に姿を見せてあげなさい」

「はい、姉様」


 あああ平和って最高。

 結婚式のことだけ考えられるとか。

 リラとの答え合わせもさっさと済ませたし。リラも、そしてなぜかラウラも、答え合わせが途中でいいのかきいてきたけど、割とどうでもよかった。僕が知りたいとこだけ知ることができればいいし。

 そう応えたら、ラウラは何故か納得してたな。それは子供達が知ることねって言って。

 子供達って、僕とラウラの子供?

 そういう意味?

 日が出てる時間にラウラってば爆弾投下しないでほしいんだけど。


「これからは領地で暮らすのでしょう?」

「はい。ああでも、ドゥファーツは近いので行き来出来れば嬉しいです」

「そう?」

「ラウラにとって大事な国ですから」

「お気遣いありがとう」


 大伯父が何故見つけられなかったかわからないぐらい、領地とドゥファーツは近い。

 灯台下暗しなのか、そもそも大伯父は探す気すらなかったみたいだったのもあるか。

 ま、そこは今更な話。


「ラウラが滅多に帰らないってなったら、泣く人間でてくるしねー」

「マドライナ姉様」

「それにほら、実家に帰らせて頂きます的なことする時はこのぐらいの距離がよくない?」


 なんか不穏なこと言ってるけど、にこやかにスルーだ。そんなことさせるものか。


「では、衣装の確認は後にそれぞれを呼びましょう。それまではゆっくりしていて」

「ありがとうございます」

「貴方達用に部屋は用意してあるわ」

「お気遣い感謝します」

「その部屋をずっと貴方達用に開けておくから、今後も領地の間を行き来する時は使って頂戴」

「はい」

 

 夫婦用で部屋を用意してくれるって、いくらラウラの姉とはいえ、随分好意的だ。そもそもリラの話と父の話から推測するに、ここの関係は凄惨であったことがわかる。

 けれどこの国の人々しかり、この国の王族しかり、こちら側に対して友好的で、そんな事実はなかったんじゃないかと思うぐらいだ。


「そういえば」

「どうかしたの?」

「ここって教会とかないなと思って」

「きょうかい?」


 天使という概念もないしな。

 ラウラ達を見たら真っ先にこの言葉が広まりそうなのに。


「ラウラって神様ってわかる?」


 小首を傾げる。ああ久しぶりに可愛いをじっくり楽しめてるな僕。


「いいえ」

「そっか」

「大婆様が同じ言葉を使っていたかしら」

「リラが?」

「前にお世話になった方の事を、神様の贈物だと」

「ふうん?」


 相変わらずリラってば、勿体振って話すの好きだな。

 まあ今はそれよりもラウラの言うお世話になった方についてだ。下心ない奴だったんだろうな。


「ラウラがお世話になった人がいるなら、挨拶しときたいかな」

「ああ、それは難しいかしら」

「なんで?」


 困ったように笑う。


「南の隣国の方なの」

「え?」

「すっかり忘れていたのだけど、私が飛べなくなってすぐ、マドライナ姉様が私を抱えて南の隣国へ連れていってくれたことがあるの」


 気晴らしにとしたことだったらしい。姉としてラウラのことを気にかけていたのだろう。

 ラウラも当時はふさぎ込むだろう状態だったけど、話から楽しく過ごしたように見えた。


「そうね、ご挨拶したいわね」

「なら、山越を考えよう」

「え?」

「ほら。僕王様だから、国交を開いて行くために山越について全力を投じるのも当然の事じゃない?」


 目を丸くした後、呆れたように笑う。


「公私を同一視するの?」

「違うよ、これは貿易のため。ユーバーリーファルングの繁栄のためさ」


 ダーレったら、と小さく笑うラウラ。

 悪いけど、僕、やると言ったら割とやっちゃうんだからね。

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