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23-6.転移、異世界へ(1)

”加齢臭と転移する竜”本編

<<https://ncode.syosetu.com/n8898ej/>>

から「横浜編」を分離したものです。


本編は、異世界から戻ってきたところから横浜編がはじまりますが、

こちらは娘が呼びに来るところからのスタートとなり、話の並び順を

入れ替えてあります。


話の並びを入れ替えただけである都合、異世界側の話も、混ざってしまいますが、適当に読み飛ばしてください。


挿絵(By みてみん)


「ああ。その人を助けることができるなら、異世界に行っても良い」

『良かったです。お手伝いします』

「ありがとう」


そういうことだったのか。


小泉さんを助けることができるかもしれない。

それができるなら、俺は”死にに行く”とわかっていても、異世界に行っても良いと言うだろう。


俺の関心ごとは、元々俺がこれから幸せになるというところには無い。

それは後悔が妨げているから。


”異世界に連れて行ってあげます、そこではあなたは最強です”とか言われても嬉しくない。


俺が望んでいるのは未来のことより、過去の清算だ。

俺は、小泉さんが死んでしまったという事実を放置して、俺だけ幸せになりたくない。

俺の行動次第で、小泉さんの未来は変わったんじゃないかと思えるからだ。


俺は、俺の失敗と彼女が死んでしまったことに関係があるかもしれないと思っている。

本当はぜんぜん影響は無いのかもしれない。


ただ、この後悔を残したまま俺は新しいことをやりたくない。

時間を戻して俺の行動が変わっても、実際には何も変わりませんでした……だったら仕方ない。


たぶん、俺は関係無い。

でも、この不幸が、俺があのメモを見逃したせいで起きてしまった可能性を考えると、放っておくことはできない。


元はと言えば、俺がメモに気付かなかった。

たったそれだけの小さなことが……


逆に考えれば、メモのことをあのときの俺に教えるだけで、俺の行動が少し変わるかもしれない。


具体的な行動を起こすかはわからないけれど、些細な変化が変化を呼び、未来は大きく変わっていく。

バタフライエフェクト。

蝶の羽ばたきの僅かな風が核となり、遥か離れた場所で竜巻を起こすことを予測できるか?

元はシミュレーションで予測することが極めて難しいことの説明で使われた話だが、日常では、些細なことが後々大きな影響を与えることがあると言う意味で使われることが多い。


過去に影響を与えることができるとして、俺が小泉さんと付き合うことができたら嬉しい。

……けど、高望みはしない。

少しでも歴史が変わって、小泉さんが死を選ばずに済むなら、俺はそれだけで十分だ。


離婚したことと、放っておくと死を選ぶことを俺が知れば、手助けするかもしれないし、しないかもしれない。

どちらにしろ、俺自身が選んだ行動の結果だ。その結果は受け入れようと思う。


過去をやり直すことはできない。その前提があるから俺は諦めていた。

そうでないなら話は別だ。


俺にとっての歴史を変える。


この子が、時を超えることができるなら簡単だ。

マンガのメモのことを俺に教えれば良い。

”見逃すと一生後悔する”と。


俺の行動が大きく変わったとしても、小泉さんと俺は、結果うまくいかないかもしれない。


けれど、それでも、その後の小泉さんの運命も少しは変わるかもしれない。

俺の呪いは解けるかもしれない。


それに、もしかしたら、デートの1回や2回でもできるかもしれない。

異世界に死にに行くにしても、そのくらいの思い出くらいはお土産として持ってても良いのではないかと思うのだ。


もし、歴史が変わるとして、俺はこの歴史の変化をどういう視点で見ることになるのだろうか?

そもそも、変わった後の世界を俺は見ることができるのだろうか?

体感することは可能なのだろうか?


「俺は歴史の変わった前後を認識することができるのか?」


『もちろんできます』


どういう視点で見るのだろう?

まあいいか。実際試して見れば良い。


「そうか。じゃあ頼む」


『何を頼みますか?』


「俺が高校3年生の冬、その子から本を返してもらう時がある」


『はい』


「そのとき俺に教えてやって欲しい。

 本にメモが挟んであるから必ず読めって。

 学校は、行けるとこに行けば良いから、浪人するなって。

 そして、世界には小泉さん以外に女はいないと思えって」


『はい。

 その時代にベスは居ないようです』


「ん? ベスが居ないとダメなのか?」


『私は人間と直接話すことができません』


「俺に直接言うのはダメなのか?」


『私には体が無いです』


実体が無いから行っても干渉できない?


「俺に話しかけることはできるんじゃないのか?」


『話しかけることはできます。でも、お父さんは絶望したとき、はじめて話を聞きます。

 富士の樹海に行くときです』


ああ、そういえば、俺は富士の樹海より良い森に釣られて話始めたんだっけか。

神に縋るくらいの気持ちになったとき……無いな、たぶん。


いきなり躓いた。


『それに、私は違う時間に行くこともできません。

 もう違う時代のモノに干渉できません。

 ベスの見るものが見えるだけです。


 私はお父さんの時に居ます。だから、お父さんの今だけです。

 それ以外の時に行くことはできないです』


「どういうことだ?

 俺に憑いてるってことか?

 時は超えられない?」

 

『今の私には時を超えることはできません。

 ただ、お父さんの時に居ることができます』


要するに、今の俺に憑いてるだけっぽい。


「じゃあ、どうやって助けるんだ?」


『お父さんが古い時間に戻れば、私もその時間に居ます』


「話しかけても、俺には届かないんじゃないのか?」

『ベスが生きている間は、ベスの体が使えるのです』


「俺は50年近く前から居たと思うが。ベスが生きてた時間もあったはずだろ。

 そのとき話しかけてくれれば済んだんじゃ?」


『はい。ベスは居ましたが、既に歴史は確定しました。

 私が来たのはそれより後です』


俺が絶望したタイミングを狙ってきたなら、俺が小泉さんの死を知った後のはずだ。

ベスが何時から何時まで生きていたかは知らないが、最近まで生きていない限りは、当然ベスは生きていない。

おそらく、生きていない。


「古い時間に戻れば、未確定の状態に戻せるのか?」

『はい』


俺が過去に行けば、この子は俺がいる時代についてくる。

そして、その時代のベスの体を使って行動できると言っているのだろう。


時を超えるのは、この子じゃなくて俺の方か!


「俺は時間を超えることができるのか?」


『はい。できると言います』


「君が時を超える竜だよな」


『私は時間を超えたことがあります。

 それが可能だったのは、私の世界でのことです。

 それに、新しい時間に行きました。

 私は、お父さんに会いに古い時代に行きたかったです』


言い回しが難しいな。

この子が生まれた世界ではできたけど、ここでは無理。

そのうえ、そもそもが自由に時を行き来することができたわけではないってことか。


ああ、俺が”時を超える竜”だったら、この世界で時間を超えることができるのか?


「俺も時を超える竜なのか?」


『お父さんは転移する竜です』


違う種類っぽい。

「転移する竜は時間を超えるのか?」

『はい。超えることができるようです』


なんで、転移する竜が時を超えるんだ?


「時を超える竜と何が違うんだ?」


『時を超える竜は、異世界に行けません』

「君はどうやって来たんだ?」


『大きな竜に導かれてきました』

「大きな竜ってのは?」


『転移する竜です』


転移する竜が、時を越えられる竜らしい。俺が時を超える?

できるなら、既にやってそうな気がする。


「できそうな気がしないな」


『私はその方法を聞きました』

「誰に?」

『大きな竜です』


「大きな竜? さっき話に出てきた」


『大きな竜は転移する竜です』


俺と同じ種類の能力があるってことか。


「転移する竜はたくさん居るのか?」


『居ないです。2人だけが転移する竜です』


「どうやって時間を超える?」


『別の世界に行って、戻るときに違う時間に戻ってくれば良いのです』


そうか! それならできそうだ。

他の世界に行けるのなら、戻ることもできる。


「別世界に行くことで、時間の縛りから離脱するってことか」


『すごいです。さすが私のお父さんです。大きな竜もそのようなことを言いました。

 私には理解ができなかったです』


この子が理解できなくても、同じ能力を持つ竜が居るなら、その話はできそうだ。

だが、この子は俺をこの子の生まれた世界に連れて行こうとしている。

おれがここに戻れなくても構わないような気もする。


「俺が異世界に行けば良いなら、その話が嘘で、俺がここに帰ってこられなくても、

 君の目的が果たせるように思うが」


『それだと、お父さんが成仏できません』


「どういうことだ?」


『お父さんが目的を果たすのには必要なのです』

「俺の目的? 時間を戻すことではないのか?」


『お父さんはすべての目的を果たそうとします。

 私が成仏して、この世界で大事にしている人間と、

 私の世界で大事にしている人間と、

 わたしのおかあさんたちが皆幸せになるまで、頑張りました』


なんか、ハードル上げてきた。


「それは俺じゃないんじゃないか? 俺はそういう熱いキャラじゃない」


『心残りが無ければ死んでも良いといいました』


まあ、それは言うかもしれないが。


小泉さんを助けるためと言って騙して異世界に連れて行っても、

俺は何かの目的のために死なないのか。


俺は最強の竜らしいからな。


本人が望まない限り簡単には死なないのだろう。

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