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24-09.人生消化試合

挿絵(By みてみん)


※時間を戻して、人生やり直しの2002~2003年頃の話です


俺が就活していたころと比べて、この頃になると、世の中色々変わっていた。


ケータイ電話と、ネットの普及で、生活はずいぶんと変わった。


技術が進歩すると、凄いことができるようになるではなくて、まずは、どうでも良いことが見えやすくなるのだ。


PCとネットの普及で、それまでは得られなかったような、人には言えない本音や、どうでも良いことを、個人が全世界に向けて、気軽にバラまけるようになった。


結果、ゴミ情報の量が10000倍くらい増えたが、ゴミの中に、ときどき大事な情報が混ざっているので、それまでは得られなかったような、真理に近いものを、意外に多くの人と共有できていることがわかった。


これは、科学の進歩によってもたらされた……ものに付随するものだ。


技術は進むものであり、技術に合わせての変化と言うのは、因果関係がとてもわかりやすい。

技術の進歩もあるが、そうでないものも変わった。


俺が、こんなに変わるものなのかと感心したのは、人々の認識の方だ。

世代の差と言うのは、まだわかりやすい。

例えば、戦争を良く知る世代は減って行く。知らない世代は増えていく。


もはや、戦後の話なんて、身近なところでは、すっかり聞かなくなった。


だが、世代のように、自然に変わって行くものでは無い部分でも、人々の認識が変化している部分がある。


同じ物事に対する認識が、しばらくして変わることがある。

世代の差ではなく、何かのきっかけで、人々の認識が変わることがある。


例えば地震だ。俺が子供の頃は、関東は地震が多い地域だと言われていた。

そして、過去のサイクル的に、関東大震災が近いうちに、また起きるだろうと言われていた。


当時は、関西から来た人が、関東は地震が多いと怖がった。

ところが、阪神大震災が起きた。


関西だけではない。第二次大戦中に起きたので、有名ではないが、名古屋でも大地震が起きていた。

危ないのは関東だけでは無かった。


本州の形を見ると、富士山のところで折れているが、あれがそのままプレートの歪みの形であり、一番力が溜まるところに富士山がある。

だから、そこから近い関東は、地震が多いと考えられていた。


ところが、日本は、ほぼ全域で大震災が起こる。常識が変わった。

地震は、実際に起きたとき認識が変わった。


逆パターンもある。

何かが起きた時には、人々の認識が変わらず、ずいぶん後になってから後追いで変わることもある。

”なんでこのタイミングで?”と思うようなこともある。

ずっと前から変わらず、ずっと当たり前なのに、言われるまで気付かないこと、ということも多いようだ。


俺は、就活で、そこそこ健闘したと思っていた。

ところが、親や親戚からは、就活失敗みたいな扱いを受けた。

”あの大学行って、そんなとこにしか就職できないのか”という評価だ。


評価が変わったのは最近で、就職して7~8年も経っていた。

今頃になって、”むしろ、あの時代、就職できただけで十分健闘した”という評価に変わった。


何を今更、と思ったが、まあ、あれは就活していない人間は気付きにくいから仕方ない面もある。


俺的には、当時は不本意な評価では有ったが、多くの人は、その時期の状況なんて、関わりないので知らない。

これは仕方がない。


不思議だったのは、結婚と出生率だ。


俺の世代に結婚できない人が多いのは、貧乏だからという理由が大きかった。

当事者の間では常識的な理由だった。


とはいえ、俺の時代に限った話ではない。

昔から、収入と既婚率には、非常に強い関係がある。

そんなのは当時からわかってたことで、グラフ見れば一発でわかる。

なのに、テレビではその一番大きな理由が無視されるので、タブーなのかと思っていた。


皆、知ってるけれど口にしないだけ。


都合の悪いことは放送しない。それがマスコミのルールだ。

だから、現実に起きているのに、マスコミが騒がないことが重要なことで、マスコミが騒ぐことは、さほど重要ではない問題だったりする。


この法則を知っていると便利だ。


マスコミは重要なことを隠すこともあるが、一番は、タブー視して隠している間に、状況が悪化していくところだ。

結果的に、報道されないことが、大問題として急浮上する。


引き金となるイベントは、偶発的に起こる。人はそこに注目する。

間違った原因を犯人と決めつけてしまったりする。


昔の”塩の天動説”と一緒だ。先に塩が悪と決まっていて、塩を調べていく。

※塩の天動説 そのうち説明出るので、今はスルーしてください


別に、塩は原因ではないので、調べても何も出てこない。

引き金がそれだというだけで、あんまり意味がない。

その引き金を排除しても、別のことが引き金になるだけだ。


人は引き金の方に注目して、原因の方には気付かないようにできているのかもしれない。


バブル崩壊前、元は収入順に並べて下位の人が結婚しにくかった。

それが、バブル崩壊後は、真ん中あたりまで経済的理由で結婚しにくくなった。


バブル崩壊後、ずっとそうだったのに、無視され続けて、10年くらいしてから、当時の担当省庁が、”若者が結婚しない理由は金が無いから”と言う発表をした。


あのときネットでは”知ってた”とか、”まさか知らなかったのか?”と言う反応で埋め尽くされた。


ネットでは笑いの種だったが、笑い事じゃないことが判明する。


その日を境に、”今の若者は、金が無いから結婚できない”と言う常識に変わったのだ。

発表の前後で状況は何も変わっていないのに、その日から常識が変わったのだ。


目の前で起きてることで、見ればすぐにわかることだ。データだってある。

だから、知ってて、無視してるのかと思っていたのに、メディアに流れてはじめて知ったかのような反応をするのでびっくりした。


もしかして、ほとんどの人は、”目の前で起きていることを、実際に見ていても、何が起きてるか理解できない”のではないか?

”見ていて気付かなくても、言葉で説明すれば気付くのではないか”と思って説明しても目の前で起きていることを理解することはできず、テレビで流れると、それを暗記するだけ。

【大本営発表しか信じない】のではないかと思える。


実際に目にしていることを分析する能力も無ければ、指摘されても気付くこともできず、情報の内容を吟味することもできない。


いま起きていることを、分析し理解する能力は、まったく持って無いのかもしれない。

俺はそれまで多くの人と話をして、俺の話を信じないことは仕方ないと思っていた。

理解しがたいことと言うのは当然有る。

だが、同じことを担当省庁が言えば信じる。


これだと、情報の内容は吟味せず、権威を受け入れるだけ。

思考能力を持っていないのかもしれないと思える。


出産適齢期も同じだ。


超高齢出産ばかり話題になって、年齢とともに出産が難しくなるという方はほとんど話題にならない。

なので、話題になっちゃうくらい特別なことを、普通だと思ってしまう。


その結果、適齢期を逃して子を持てなかった人が言う。

”なんで教えてくれなかったの?”と。

40でも楽々産めると思って先延ばしにしてたら、子供ができない。

不妊治療に行くと、”もう手遅れ”と言われる。

そして、言うことが、”何で教えてくれなかったの?”


それを放送すると、苦情が来るから。

元々30が高齢出産。30超えが当たり前になったので、高齢と呼ばなくなっただけで、人間の体が進化したわけではない。


40は初老。子を産むのに適した年齢では無い。

そろそろ孫がいてもおかしくない歳だ。


計画を練って、リスクを承知の上で、そうするのはかまわない、個人の自由だと思う。

だが、知らずに時期を逃すのは、不幸なことだ。


”少子化が心配です。でも、適齢期は放送NGです”

そんなんで少子化対策する気はあるのか?


これは女性だけの問題ではない。

生物的に子供を作ることが可能な年齢は、男性の方が女性より少し長いが、実際には、その差は意味を持たないことが多い。


精子が劣化とかの体の問題も無くは無いが、それ以前の問題だ。


日本の場合、ほとんどの子供は、結婚したカップルから産まれる。

つまり、既婚者の状況を分析すると、子供についてもある程度推測できる。


夫婦の年齢は、ずっと昔から、平均すると男性が2歳上という状況が続いている。


そして、ほとんどのカップルの年齢差は±2歳に収まる。

つまり、中学、高校で重なる時期がある範囲内に収まるカップルが多い。

”年の差婚なんていっぱい居るよ”と思うかもしれないが、そのいっぱいに対して、もっとさらにでかい分母ががある。

1億人の1%は100万人だ。100万人は大人数だが、自分が1%に入る可能性はとても低い。

なのに、たくさんいると思ってしまうという勘違いだ。


そりゃ、探せば、そこらにたくさん居るかもしれないが、それ以上に、ほとんどのカップルはほとんど年の差が無いのだ。

年の差婚は、比率的には非常に少ない。


つまり、40代男性が、子供が欲しいからと言って、30代前半の女性を希望しても、ほとんどの場合、その希望は叶わない。

もちろん例外はあるが、普通に考えて難しい。


もちろん、その年齢差を埋める事情が有れば別だが。


例えば、相手は外国人で、日本に滞在するのが目的だったり。

その場合、しばらくすると帰国してしまったりする。

まあ、そんなものだろう。


年の差婚できるようなモテ男や、特殊事情を含めても、平均が2歳差なのだ。

適齢期を逃した男が、年の差婚をする可能性はとても低い。


だから、支援をするなら、そのタイミングに、間に合わせなければならなかった。

だが、タイミングが悪すぎる。

人数の多い俺たちの世代が、氷河期先頭集団なのだ。

この世代の女性が、子を産むことができるタイミングで、支援が必要だったが、もはや手遅れ。

そこに間に合うように、出生率向上政策を打つのは無理だ。


これからできる対策は、人口のボリュームゾーンである、氷河期世代に対する社会保障費削減だ。

これなら間に合いそうだ。


間に合うと言うより、そこに合わせてくるだろう。

簡単に言えば、恐らく、狙い撃ちされる。一番効果的だから。


俺の世代は未婚が多い。男女共に。なんで男女とも余るのだろう?

ずっと疑問だった。ほんの数十年前には、ほとんど余らなかったのだ。

しかも、当時は余るのは、何故か女の方だった。

カウント方法に問題があるのかもしれないが、データ上ではそうだった。

戦争で男が少なかったのかもしれない。


でも、男女両方が余るという現象は無かった。


今の時代、なんで男女とも余るのだろう?

余る男性が一人減れば、同時に余る女性も一人減るのだ。

なのに……


でも、もう俺は諦めた。


俺には、あの子しか居なかった。

そんなに、相手を選んでるつもりは無かったのだが。


俺は、小泉さんと話してよくわかった。

俺は、小泉さん専用だったのだ。


…………


栫井(かこい)が、そんなことを思っていた頃、洋子は離婚して、小泉姓に戻っていた。


この後どうなるかは、ベスの……オーテルの成否にかかっていた。


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