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23-29.玲子の後悔(2)

”加齢臭と転移する竜”本編


<<https://ncode.syosetu.com/n8898ej/>>


から「横浜編」を分離したものです。


話の並び順も、わかりやすいように入れ替えてあります。


異世界側の話も、多少入りますが、適当に読み飛ばしてください。

挿絵(By みてみん)


玲子は、小さな頃から、気をつけて生きてきたので、その時点で既にお断りには慣れていた。

そこが、洋子と違うところだった。


慣れてしまえば、どうということがなかったとしても、慣れない者には、お断りと言うのはけっこうハードルが高い。

だいたい、このくらいの年の女の子は、はっきりお断りすることに慣れていない。

なので、狙われやすい。


高校が真面目な学校で、男から積極的なアプローチを受けたことの無かった洋子は、いきなり短大でフィーバーかかってしまって、考える間もなく付き合うことになってしまった。



それが、悪い方向に作用した。

玲子は、洋子が短大行ってすぐの頃は、栫井(かこい)と洋子は付き合っていると思っていた。

実際は付き合っていたわけではなく、玲子の勘違いなのだが。


このとき玲子は、栫井(かこい)と付き合っていながら、進学早々に、他の男に乗り換えたと思い、洋子に対しても不信感を抱いた。


穂園(ほその)は、見た目はさわやかな好青年に見えた。まあ、見た目的には良い方であることは確かだった。


洋子は激しいアタックに陥落しただけで、自分で選んだわけではなかったし、はじめての恋人のつもりだった。

見た目的にも好みではあったので、”容姿も好み”と言ったのだが、玲子は”容姿が好み”と言う意味で受け取った。


玲子は見た目で判断されることを非常に嫌っていた。

中身を見てもらえないと言うのが、玲子の悩みだった。

近づいてくる男は容姿重視で中身を見ていない。


だから、容姿で判断する人間も嫌いだった。


そのため、洋子に不信感を抱く。


さらに、玲子は栫井(かこい)を高く買っていた。

(玲子自身の恋愛対象ではないが)


そこに、さらに追い打ちをかける事件が起こる。


…………


人付き合いにおいて、初対面の印象と言うのはとても重要だ。


普通は、そこで好印象を与えるように努める。

普通であれば……


ただ、好かれて困っている玲子の場合は、対応が逆になる。

なので、少々印象悪くなるのも仕方なく、デフォルトお断りオーラ全開で挑んでいた。

相手からすると、”なんだよ、あの高飛車な女!”となるが仕方が無い。


そんな時に、洋子から穂園(ほその)を紹介された。

洋子の恋人というので、彼女持ちなら安心だろうと特別に普通に接したら、何日もしないうちに声をかけてきたのだ。


「今井さん、このあいだはどうも。○○大(○○大学)の穂園(ほその)です」


玲子が一人のタイミングに声をかけてきた時点で、嫌な予感がした。

しかも、はじめに洋子の名を省いて自己紹介。


恋人の同性の友達に声を掛けるのなら、恋人を絡めて自己紹介するのが普通だ。

”○○大(○○大学)の”という言い方だと、恋人をすっ飛ばして、自身の紹介だ。

わざわざ学校名言うのも、それが売りになると思っているからだ。


脈ありと思うから、声をかけてきたと考えると、友人の恋人を横取りする女だと思われたと言うことになる。

極めて心外である。玲子は、強い怒りを感じた。


鋭い相手ならこの時点で気付いたかもしれない。

玲子は慣れているので、顔色も変えず軽く相手をするが、胸の中は既に不信感でいっぱいだった。


「ええ。こちらこそ。今日はお一人?」


「はい。先日お会いしたとき、ずいぶんカワイイ子が居るなと思ってたら、今日、偶然見かけたので、思わず、声を……」


何処が偶然だ! 心の中で、突っ込みを入れる。


玲子はこの時点で、幻滅する。

玲子は、その外見でむしろ今まで苦労してきているのだ。

お前みたいなやつが居るから!!


ますます、腹が立つ。


「そうだ。洋子さんも呼ぶから、これからご一緒にどうですか?

 必要なら車取ってきます。良いところがあるんですよ」


玲子は知っていた。洋子は来ないはずだ。

だから、この男が一人でほっつき歩いているのだ。


玲子は先日、たまたま今日用事があるという話を先に聞いていた。

狙ってか、偶然かはわからないが。恐らく狙ってのことだろう。


どちらにしろ、答えは決まってる。


「ごめんなさい。これから、お友達と用があるので」


「じゃあ、今度暇なときにでも」

「そうですね」


そうですねと言いつつも、玲子は、その機会は永遠に訪れることは無いと思う。

玲子が嫌いなタイプだ。


まあ、いきなり連絡先を聞いてきたわけでも無く、挨拶がてらに、あわよくば程度に手応えを探って来たのだろうが、下心がはっきりと見えた。

洋子が居ない日に、わざわざ来たのだ。おそらく、学校からつけてきたのだろう。

※この当時、まだ携帯電話の普及前。アナログな方法しかなかった

恐らく、玲子が乗ってくれば、玲子に乗り換えか、下手したら二股のパターンに陥るだろうと思えた。


まあ、大凡、信頼できる人物ではない。


玲子は、恋人を大事にしないような人物は大嫌いだったので、以降避けまくった。

洋子から連絡が来た時も、穂園(ほその)が同伴しそうなときは全部断った。


当然、穂園(ほその)も避けられていることに気付いていただろう。

むしろ、わざと玲子から洋子を遠ざけたかもしれない。



そして、洋子にも腹を立てる。

なんで、よりによってあんなのと付き合うのかと。


玲子は、穂園(ほその)には、それ以来直接会ったことは無かった。


それでも、玲子の耳にも洋子の彼の噂として、いろいろ聞こえてきた。

まあ、女関係に難ありだ。

玲子(れいこ)は、さすがに、これだけ酷ければ、洋子も結婚前に本性に気付くだろうと思っていた。

だから直接伝えなかった。……その結果、こうなってしまった。


洋子は早々と結婚した。高校の友達の中で一番早かった。

玲子が就職してすぐの頃だ。


結婚式には行かなかった。

招待されなかったからだが、招待されても行かなかったと思う。

あの男を祝うなんて嫌だったし、洋子が浮気に悩まされる未来が見えていたから。



あのとき、もっとはっきり伝えて反対していれば……

洋子の離婚原因も、穂園(ほその)の浮気なのだ。


離婚の際には、相談に乗ったりサポートしたが。まあ、予想通りのことが起きただけ。


離婚の時も、洋子はダメだった。離婚するかしないかで迷うのは分かる。

でも、事実上既に破綻していた。


そして、離婚すると決めたら、しっかり決めるべきことを決める必要が有る。


離婚の処理は、ちゃんとやらないと、洋子だけでなく、娘の唯も辛い目に遭うのだ。

だから、ちゃんとやらなければならないのに、洋子は大事な時に弱い。

日頃は賢く行動的なのに、いざと言うとき弱い。だから、いざと言うとき頼りになる人と一緒になって欲しかった。

洋子の人生であり、玲子がどうこう言うのは良くないと思った。


でも、今、この状況を見て思うのは、言った方が良かったということだ。


なぜあの時、はっきり言わなかったのだろう。

もう少し玲子が大人だったら、洋子はもう少し幸せになれたんじゃないかなんて思う。


離婚後も同じだ。

洋子には、栫井(かこい)に連絡とれと何度も言ったが、洋子は連絡を取らなかった。

洋子は栫井(かこい)に合わせる顔が無いと思っていたのだ。

玲子はそれは知っていた。


でも、栫井(かこい)は、きっと受け入れてくれる。玲子はそう思っていた。

洋子は栫井(かこい)をもっと信用して良いのに……

そう思った。

だから、洋子がその気になるのを待った。


でも、それも間違いだったかもしれない。


むしろ、栫井(かこい)を呼び出して、無理やりにでも会わせれば良かったのかもしれない。

そう思うと、自分にも責任があるように感じて、玲子は洋子を放っておけなかった。


今更と思うところもあるけれど、洋子はようやく栫井(かこい)と連絡を取ったようだし、今度こそ、うまく収まるところに収まると良いなと思った。


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