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23-28.玲子の後悔(1)

”加齢臭と転移する竜”本編


<<https://ncode.syosetu.com/n8898ej/>>


から「横浜編」を分離したものです。


話の並び順も、わかりやすいように入れ替えてあります。


異世界側の話も、多少入りますが、適当に読み飛ばしてください。

挿絵(By みてみん)


洋子とのひさしぶりの長電話のあと、玲子は玲子で後悔していた。


洋子に栫井(かこい)のことを話していて、いろいろ思い出したのだ。


バーベキューのときのこと、さらに何年か前の大学時代、さらには高校のときのこと。

中学生のときのことも少し。


後悔と言っても、もちろん、唯が死ぬなんてことは、当時は知らなかった。

後悔していたのは大学時代のことだった。

なぜ、あのとき、思ったことをはっきり伝えなかったのか……


あるひとつのことが発端だった。


…………


洋子から交際相手として穂園(ほその)を紹介されたのは、玲子が大学に入って割とすぐのことだった。

玲子は、洋子が穂園(ほその)と結婚すれば、浮気に悩まされることは確実だと思っていた。

なのに、そのことを伝えなかったのだ。


洋子が自分で気付くことに期待して。


それに、栫井(かこい)を早々に裏切ったことも許せなかった。

※玲子は栫井(かこい)と洋子は付き合っていると思っていた


栫井(かこい)は、並べて見れば、まあ見劣りはするが、誠実で恋人を大事にするタイプだ。

誠実な相手を裏切るのは良くない。

結局、洋子も相手を見た目で選ぶタイプだったと知り、正直幻滅した。


※玲子のコンプレックスは、中身を見てもらえないことです。

 なので、中身の方を重視します。そもそも穂園ほそのは雰囲気イケメン。

 リア充オーラで見た目を+補正しているタイプですので、玲子から見ると、

 あまり魅力的な人間ではありません。

 なので、洋子も気付いて結婚はしないだろうと思っていたのです。


それもあって、言いそびれてしまったのだ。


電話で話していて、しみじみ感じた。

あのとき、もっとはっきり洋子に言えば良かったと。


”あの男、洋子の元旦那は、信用ならない”と。

絶対浮気すると知っていたのに、洋子に直接伝えなかったのだ。


…………


玲子は、当時洋子の新しい恋人だった穂園(ほその)が、どんな男かは、すぐにわかった。

見抜く以前に、穂園(ほその)は、洋子に紹介されて早々に玲子にアプローチをかけてきたのだ。

洋子という恋人が居るのにもかかわらず。


恋人の友人と恋仲になってしまう。そういうことが起きることもある。

だから結果としてそうなることが100%悪だとは思わないが、故意に、むしろ恋人を踏み台にするというのは、玲子の感覚としては、あり得ないことだ。


玲子は、洋子から付き合っている相手と言うことで、穂園(ほその)を紹介された。

そのとき、5月か6月か、まだ、進学してから2~3か月しか経っていない頃の話だったので驚いた。


玲子は3月の時点で、洋子と栫井(かこい)と付き合っていることを知った。

※ただし勘違い。そう思っているだけ


性格的に、栫井(かこい)が振ったとは考えにくいが、仮にそうだとしても、せいぜい3ヵ月しか間がない。

おそらくは洋子に新しく気になる相手ができて、どこかの時点で栫井(かこい)を振ったのだろう。


玲子にとっては、栫井(かこい)も友人の一人であり、中学から一緒だったため、古くから知る人物でもあった。少なくとも信頼のおける人物だと思っていた。


洋子とは相性も良さそうなので、玲子は2人のことを応援していた。


それが、別れた話も無しに、いきなり新カレ紹介だ。

その時点で少々不快に感じたが、それは洋子の問題であって、新カレの方には関係無い。


なので、洋子に対して不満はあったものの、穂園(ほその)に対しては友好的に接した。


すると、たちまち、洋子のいないときに玲子に接触してきたのだ。


洋子の恋人と言うことで紹介されたので、玲子は安心できる相手として、友好的に接した。特別扱いをした。


その相手が、即玲子に接触してきたのだ。

玲子の洋子に対する信用は一気に落ちた。

玲子が、不誠実な男を嫌うことを知っていながら、こんな男を自分の彼氏と言って紹介したのだ。


洋子が栫井(かこい)に対し、不誠実な上に、相手もコレだ。

玲子は、大変不快に思い、この二人には近付かないようにした。


========


穂園(ほその)は、元々軽い性格ではあったが、それほど極端に貞操観念の低い男と言うわけでも無かった。

この時期は特に洋子を彼女にできて調子に乗っていた。

可愛い彼女ができたと思って喜んでいたところに、玲子を紹介されて、あまりの美しさに驚いた。


そして、いつものノリで声を掛けた。これが、玲子の逆鱗に触れた。

穂園(ほその)は、そのとき失敗したとは思ったが、玲子の怒りが、そこまで大きなものとは思っていなかった。

穂園(ほその)にとっては、声を掛けるのは浮気に入らない。

その後どうなるかは、2人の気持ちと行動で決まってくる。


玲子にとっては、友人の彼ということで紹介を受けた相手から声を掛けられた時点でアウトだ。


玲子は男女関係に厳しかった。

容易にトラブルに進展することをよく知っていたから。


玲子は、何もしないと目立つくらい男に好かれる容姿を持っていた。

それで何度もトラブルに遭っているので、玲子本人にとっては、容姿はメリットではなく、行動の制限になりやすく、デメリットの方が大きいという認識だった。

※利点と見るか欠点と見るかは、本人の性格に因るところも大きい。


そのため、日頃から十分用心していた。

良い顔をすると、すぐに好意を持たれてしまうのだ。

相手に勘違い(期待)させてしまいやすいという自覚がある。


そのため、玲子は基本、初対面では男性に対して、なるべくあまり良い印象を持たれないようにしていた。

後々トラブルになるのを避けるためだ。



この行動は、玲子の幼少期からの経験、学習によるものだった。

玲子(れいこ)は、小さい頃から目立って可愛かった。


両親は、玲子の幼少期、自慢の娘に好んで可愛らしい格好をさせていた。

が、あるとき、玲子が行方不明になったことがあった。

目立つくらいかわいかったので、連れ去られたのではないかと心配した。


実際は、玲子が勝手に迷子になっただけなのだが。


それからと言うもの、日ごろは地味な目立たない格好をして、あまり目立ちすぎないようにと気を付けて育てられた。

知らない大人が声かけてきたら逃げろとか、そんな感じで、言われる内容は、ふつうの子供と同じだが、それを毎日のように聞かさせれ育った。

これなら、対象は、”知らない大人”だったので、同級生の男の子とは比較的仲良しだった。


小学生も3年生くらいにもなると、男子と女子はあまり一緒に遊ばなくなるが、玲子は、学校では、あまり男女の区別なくよく話をした。


ところが、中学生になると、男の子は友達ではなく異性として見るようになってきて話しにくくなってくる。


とは言え、学校に居るときは、男子と話をする機会も多かった。

同じ中学だったので、栫井(かこい)とも話をしたことはあった。

恋愛話にはまず触れないので、話題的に話しやすかったのだ。

栫井(かこい)は玲子に好意を持っていた


女子は恋愛話が多く、玲子にはなかなか馴染みにくいところがあった。


問題は、登下校時だ。

中学時代から、高校生に声をかけられたりと、玲子が望まなくても、誰かが接触してくる機会が増えた。


知らない大人なら避けようがあっても、対象を、他校の生徒や高校生と考えると、登下校時間に、どこにでも居るので、接触を避けて逃げ回るのも難しい。


なるべく、女子の集団に紛れ、目立たないように、わざわざ伊達メガネかけたり、良い方向に目立たないように過ごしていた。


ただ、体育の授業では、メガネを外すことが多く、校内では男子の憧れの的だった。

度々告白されたりとかはあったが、中学はもちろん、高校でも特定の相手と付き合ったりはしていなかった。


中学時代も、結局、集団下校で玲子が一人になるのを防ぐのを手伝ってもらい、

高校では電車通学になり、いよいよ一人では回避が難しい。

そのため、玲子は栫井(かこい)を度々壁として使っていた。

中学の時からの流れで、栫井(かこい)に登下校を合わせてもらった。


特に中三のときは、杉(杉田由子、ユッコ)と栫井(かこい)が同じクラスなので、玲子は放課後、栫井(かこい)のクラスにいることも多かった。

そのため、特に目立った。


玲子と栫井(かこい)が付き合ってるとは誰も思わなかったが、八つ当たり的に、栫井(かこい)が嫌がらせを受けることがあった


玲子本人はあまり軽い恋愛は好まなかったので、この人と思う人が見つかるまで、誰とも付き合う気は無かったのだ。

高校の頃は、それほど人数が多く無いので、その頃は、丁重にお断りしていた。



玲子は高校卒業後、大学に進学するが、大学生はまさに恋愛適齢期。


玲子が……氷河期世代先頭の世代、第二次ベビーブーム世代が大学進学する頃、女子大生ブームから、女子高生ブームに変化した。

”私たちにはブームが来なかった”なんて話があちこち出ていたけれど、玲子にとっては、ブームより適齢期の威力の方が凄かった。

大学生は、ストレートだと18歳から22歳。女性としては、一番価値が高い時だ。

(男性から見た価値)


そして、高校のときは、女同士固まるのが普通であり、集団行動ができたが、大学ではどうしても、少人数か一人で行動する機会が増え、自力で切り抜ける必要が出てくる。

玲子に寄ってくる女も、玲子と居ると男から声をかけられやすいという、男寄せの餌目的も居るので、却って危険が増すこともある。友人選びは重要だ。幸い、大学でも気の合う友人もたくさんできた。


しばらくの間は、信用できる友達が少なく苦労しつつも、お断り能力が上がった。



この年頃は、地味に過ごしていても男が寄ってくる。

男が寄ってきて困っているのに、守ってあげると言って寄ってくる男もいる。

玲子は、気弱だと思われると付きまとわれることを覚え、躱せるものは躱しまくり、それでも、足りないときはバシッとお断りした。


そんなのも含めて、全部片っ端からお断り、排除した。

良い相手が居ればなんて選んでる暇がない。

隙を見せると危ないので、とにかく全部お断り。


その結果、恋愛なんてできず、お断りの達人になっていた。

玲子が安心して恋愛できるようになったのは、それより10年ほど後のことになる。


ある程度、適齢期が過ぎるのを待たなければ、まともに恋愛できなかったのだ。


だから、あの時期、穂園ほそのに声をかけられた時点で穂園ほそのを嫌い、避けるようになるのは仕方のないことだと思っているが、洋子にそのことを話すべきだった……信用ならないということを伝えるべきだったと思った。


少なくとも、玲子は、あのとき穂園ほそのは浮気するだろうと思っていた。

そしてそのことを洋子には伝えず、実際にそれは現実になった。

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