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90話 帝国1-3

書いてて面白かった帝国編もこれにて閉幕。次回からは砂漠の会談へと戻ります。

ずっと音楽を聞きながら書いてましたが、久々に無音で書くとなんだか新鮮。

 侍女長の死から5年後の現在、ナタリアの父デューラー王は帝国北西に位置する宗教国家デゥルキオに宣戦布告した。


 宗教国家デゥルキオは古くから土着の信仰を持った宗教国家で帝国と対立している。

神聖皇帝を頂点に僧会なる独自の統治機構を持ち、大陸中央に位置する宗教国家ファナシム聖光国とは帝国以上に対立している。


 ナタリアはデューラー王の命令で主戦線から外れた、砂漠からのデゥルキオへの迂回侵入を試みることとなった。


 不運な事にナタリアの指揮する帝国第三軍は大部分がナタリアと行動を共にすることができなかった。

デューラー王は第三軍を主戦線援護の名目でナタリアから取り上げたのだ。

ナタリアには少数の兵のみが預けられる事となった。


 デューラー王は次代皇帝にする息子たちにこの戦いで手柄を立てさせるという目論見があった。

それには卓越した戦術家のナタリアが指揮する精強な第三軍が邪魔になる。

そこでナタリアと第三軍を切り離したのだ。


 ナタリア不在といえども第三軍にはナタリアに付き従ってきた優秀な将軍や参謀、それらを束ねて運営する第三軍総司令部、通称ヴァフナントは健在だ。


 ナタリアには第三軍が優秀なことが気がかりだった。デューラー王は決して馬鹿ではない。

王と息子たちにとって目の上のタンコブである第三軍をそのままにしておくとはずがない。

進撃の際には最前線に立たされ、撤退の際には最後尾の殿(しんがり)に使われるだろう。

第三軍は使い捨てにされすり潰され崩壊する。

そうなる前に、ナタリアは一刻も早く手ずから育てた第三軍主力と合流する必要があった。


 しかし、ナタリアは砂漠からの進撃を中止して帝都に帰還することはできない。

 デューラー王はこの戦争を好機と見て、またもやナタリア排除に動き出したのだ。

ナタリアが砂漠から作戦を中止して帰還すると帝都では、軍を率いての不可解な行動、反逆の意思ありとしてナタリアを粛清する手はずとなっていた。


 普段ならナタリアの周りには第三軍の兵士がいる。

帝都とその近辺にも第三軍は他の軍と同じ様に駐屯しているので王とその息子たちとナタリアのパワーバランスはとれている。

しかし現在は帝都にいるのはデューラー王の第一軍だけで、他の軍は全てデゥルキオとの戦争の為に前線へと赴いている。


 そんなところにナタリアが砂漠を進撃するだけの少数の兵士だけで乗り込めばどうなるかはわかりきっている。


 デューラー王のナタリア粛清の動きは当然ながら秘密裏に行われていた。

しかし、デューラー王にとっては意外なところからナタリアの知るところとなる。


 デューラー王は粛清計画とは別にナタリア暗殺も計画していた。

ナタリアの砂漠遠征には兵士しか同行していない。

デューラー王はこの事に着目し自分の配下から参謀を一人選び遠征に同行させ、その男にナタリア暗殺を命じていた。

義清たちがナタリアと会談したときに会った、軽装で髪は茶色で短髪、上唇の上に薄いヒゲを生やした男がそれだ。

名をクワトロという。


 クワトロは当初からこの計画に乗り気ではなかった。

たしかに暗殺に成功すれば報酬は莫大だ。

しかし王族が関わるこの手の話に、平民出身の者が関わって無事で済んだ話をクワトロは聞いたことがない。

クワトロは進退窮まってナタリアにデューラー王の計画を暴露し自分を売り込んだ。

ナタリアはこれを認めた。


 もっともナタリアからすればクワトロが遠征軍に配属された当初から怪しんおり、程なくしてクワトロの目的を察した。

クワトロが計画を暴露したのもナタリアに剣を向けられたからだ。

その時ナタリアは悠然と構えてこう言った。


「お前の尻尾が見え見えの芝居に付き合うのも飽きてきた。いまこの場でお前を殺さない理由があるなら言うがいい」


この言葉にクワトロは


「いーやあ、ハッハ、バレているとは思っていたんですがね」


と言い暗殺計画を暴露するとともに自分を売り込んだ。


 実際クワトロは参謀としても有能だった。

平民出身なので兵士たちの気心も知れて、打ち解けるのも早かった。

貴族士官特有の横柄な態度や無茶な命令もなく、ささいな失敗なら目をつむる度量もあった。

もっともナタリアはこのクワトロの兵士に向けた動きも、暗殺計画を進める為に兵士を取り込もうとしていることだと気づいていた。


 こうしてナタリア暗殺計画失敗に終わった。

同時にデューラー王がナタリア粛清へと動いていることも、ナタリアは知った。

これはデューラー王がクワトロに、暗殺が不首尾に終わった場合はナタリアを帝都に帰還させるよう言っていたためだ。

ナタリアは帝都の兵力配置から、戻れば間違いなく粛清されることを察した。


 ナタリアはデゥルキオに侵入後は、主戦線の一番近い第三軍の支隊に合流することで、なし崩し的に第三軍の指揮を取り戻すことが出来ると考えていた。

第三軍総司令部であるヴァフナントにはこの事は知らせていないが、あえてそうすることでデューラー王や他の兄弟たちからの妨害もないはずだ。


 詰まるところナタリアは、第三軍への合流が目的であり戦争の行く末などどうでもよかった。

第三軍と合流する、そのために今いる砂漠を一刻も早く抜けること、このことがナタリアにとって現在の最重要課題だ。

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次回更新予定日 2020/9/20

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