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84話 追撃2-1

誤字脱字修正してくださった方、本当にありがとうございます!!

すんごく助かるとともに、改めて自分の文章のチャチさと間違いの多さを思い知りました。

(たった2話であの量は多すぎですね(汗))

皆様も余裕がありましたら最初の1、2話をご覧になってください。かなり読みやすくなってると思います。

それから感想への返信が遅くなってしまい申し訳ありません。感想が書かれることなんて滅多にないので書いて頂いてる事自体に気づいてませんでした。

最後に、感想を削除された方、本当に申し訳ありません。何もかも感想に気づいていなかった私が悪いのです。お手数でなければ一言、また書いていただけると嬉しいです。come back pleeeeeeease(切実)

「ラインハルト、本陣の旗と幟を全て降ろせ!!伝令、黒母衣衆も同様にするように伝えい!!」


ラハブに乗った数騎のボア族の伝令が、弾かれたように黒母衣衆の陣へと向かう。

義清はゼノビアからきた伝令に追撃無用の命令を伝えると、伝令をオアシスへとかえした。


「何か策がお有りで?」


本陣への指示を終えたラインハルトが義清に声をかける。


「貴族軍がこちらに気づくのは、なるべく遅い方が良い。旗や幟でこちらを気取られては困る。ほれ、あの‥‥」


義清はシュレンゲの群れが向かう先の砂丘を指差した。


「あの砂丘は本陣よりもやや高い。貴族軍はゼノビアの部隊に追われて、あの砂丘に登るだろう。」


「そうなるとシュレンゲの群れとまともにぶつかりますな」


「そうだ、群れが探しているのが貴族軍なのかはわからんが、我らは手を出さぬが懸命だ」


 しばらくすると貴族軍がゼノビアの軍に追われて敗走してきた。隊列も組まず、中には武器さえ持っていない者もいるその集団は砂丘を登りはじめた。

 そのころ砂丘の向こうの盆地ではシュレンゲの群れが盆地の東側へと集まっていた。既に大半のシュレンゲが盆地の真ん中、謎の軍がいる砂丘から離れている。

 ヴァジムによるとシュレンゲは走れば砂漠で一二を争うほど速いが、急ぐ必要がない時の移動はむしろ遅い方だという。ノッソリとした動きでシュレンゲたちは、

貴族軍が敗走する砂丘へと向かう。貴族軍はゼノビアの部隊が追撃を止めたことに気づいていないのだろう、全速力で砂丘を駆け上がっていく。先頭が砂丘の頂上に達っすると、盆地いっぱいに広がるシュレンゲの群れを発見した。しかし先頭を行く者達は止まることができない。あとから来る者達は前方の状況が見えていないので、前を走る者を後ろから押してくる。哀れな先頭集団は数秒停止したが、後ろの集団に押されて砂丘の頂上から転がり落ちていった。

 砂丘の下にはシュレンゲの群れがいた。シュレンゲたちは、砂丘から落ちてきた貴族軍を認めると、先程のノッソリとした動きから一転して駿足になった。凄まじい速さで貴族軍の兵士に近づくと鋭い牙で噛みつき、強靭な顎で骨を砕いた。何匹かが一組になって貴族軍の兵士一人に襲いかかる。頭や手足に噛み付くと難なくそれをもぎ取っていく。あっという間に砂丘の下は血の海となった。

 砂丘の上には貴族軍の後尾集団がいる。敗走した貴族軍全体の4分の1にも満たない彼らだけが、後ろから押す者がおらず、砂丘の上に留まることができた。しかし、それも一時のことだった。貴族軍を蹂躙するシュレンゲ達の横を別のシュレンゲの群れが凄まじい速度で駆け抜けていく。彼らは口からヨダレを、垂らすというよりも流しながら、またたく間に砂丘を駆け上がると、貴族軍後尾集団に襲いかかった。鎧さえ容易に噛み砕くその牙と顎が貴族軍を壊滅させるのにそれほど時間はかからなかった。

 その様子を本陣から眺めながらベアトリスがポツリと言った。


「たぶん、あの子達は飼い主を探していただけだったんだと思います」


義清たちはゆっくりベアトリスの方を見た。


「普段と違って飼い主の帰りが遅いのが気になったのか、それとも脱走した何匹かの集団に触発されたのか、理由はわかりませんけど、きっかけは些細なことだったんだと思います。それがいつしか大所帯になってこの盆地にたどり着いて、普段は使わない連絡手段で思いを伝えなければならないほどの群れになったんだと‥‥」


ここでベアトリスは泣き出してしまった。


「怖かったんだと思います。いつも一緒にいる、いて当たり前の存在が長い間いなくて、不安で堪らなくなったところに、この子が思いを伝えたんだと思います」


 ベアトリスはヴァジムのシュレンゲを撫でる。シュレンゲは泣いてるベアトリスを気遣うように涙を舐めた。ベアトリスは城の地下に飼っている自分の魔物達とシュレンゲ達を重ねたのだろう。魔物たちの中には未だ城周辺の安全確保が十分でないせいで、満足に外に出れない者もいる。

 ヴァジムによるとシュレンゲとクロディスの民は生まれたときから1人と1頭で育っていくという。飼い主とペットというよりも、長年一緒にいる友のようなものなのかもしれない。愛おしくて堪らない存在がある日突然消えてしまう感覚は、生き物を飼育したことがあるものならば、誰もが経験することだ。それをある日突然、集団で経験したシュレンゲ達の気持ちは察するに余り有る。

 

 ベアトリスはシュレンゲに笑いかけるとゴシゴシと涙を拭った。


「この子があの子達にオアシスに飼い主達がいると伝えたのか、それとも飼い主たちを苦しめる者がいると伝えたのか‥‥何かはわかりませんが、あの子達が貴族軍を敵と認識する何かを伝えたんだと思います」


ベアトリスは涙で目を真っ赤にしながらヴァジムのシュレンゲを撫でた。シュレンゲは嬉しそうに喉を鳴らす。

 それを見ながら義清はベアトリスの頭を撫でた。


「お前の持つ、生き物に対する優しさは素晴らしいものだ。此度もその優しさのお陰で、死ぬべきものは死に、会うべき者たちは再び巡り合うことができる」


義清に撫でられたベアトリスは子供が褒められる様に、へへへと照れると義清に抱きついて顔をグリグリと義清に押し付けた。それを見たラインハルトがエカテリーナに尋ねる。


「いいのか?邪魔しなくて」


それにため息をつきながらエカテリーナが答える


「あなたは女心がわかっていませんわね。あれは愛とは別物。そう、言うなれば愛おしいという、愛とは似て非なるものですわ」


そういうものかといまいち要領を得られずにいるラインハルトを、エカテリーナはクスクスと笑った。

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ブックマークだけでもポイントはいるんです!!

どれか1つだけでも構いませんのでやって頂けると、非常にとても大変すごく嬉しいです。

どうか是非ともお慈悲をっ!!


次回更新予定日 2020/8/9

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