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79話 強襲2-3

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「どうだ、何かわかったか?」


「こう暗くて魔導も使えんとあってはなかなかに難しい。どうも四足らしいと思うが」


 真っ黒な和式鎧である具足をまとった、ボア族とヴェアヴォルフ族の戦士の2人は砂丘に伏せて会話している。この鎧の色こそ黒母衣衆の名前の所以(ゆえん)だ。

2人の戦士は黒母衣衆の先行部隊である。もうすぐ黒母衣衆本隊も到着予定だ。彼らの背後には10人ほどの仲間もいる。

 2人の視線の先には砂漠の盆地が広がっている。その盆地に何匹もの生物が群れをなして、反時計回りにグルグルと回っている。先程の会話はこの生物について、何かわかることがあるかというものだった。


「しかし、見事に囲まれたな。遭遇した時点で反転すればよかったものを」


「先行部隊も出しとらんところを見ると、砂漠に不慣れなのかもしれん。」


「何にしても、御味方でなくてよかったわ。あそこまで囲まれたものを救出にいくのは一苦労だで」


「まったく、そのとおりよ」


2人が視線を向けた先は盆地の真ん中にある砂丘だった。正体不明の生物はこの砂丘を中心にしてグルグルと回っている。そしてその砂丘の上に孤立した部隊が1つあった。


「数はいくらと見る?」


「孤立した部隊はせいぜい200人。問題はあの回っとる生物だが、4桁はいるのではないかな」


「生物の方は千匹を余裕で超えておるな。あれに正面から挑もうとするのだから、あの部隊の指揮官は何を考えとるのかわからんな」


「いや、挑もうとしたのは部隊の一部だ。どうも砂丘の陰から出てきた生物を、最初は少数と侮ったようだ。後続が多数いることに気づいたときに引き返した」


「挑んだ部隊を収容している間に進退窮まって、砂丘の上に逃げるしかなくなったと。運のないことだ」


ここで2人の後ろに先行部隊の映伝士が、義清の本陣がこちらに移動中であることを告げた。


「間もなく夜明けだ。あの孤立してる部隊を警戒して魔導も最小限にしか使っておらんが、日が昇ればあの生物と部隊の詳細もわかることだろう」


「日が昇るまでには本隊も到着するだろう。俺は本陣に現状を報告してくる」


「任せる。なにかあれば映伝士を通じて本陣に知らせる」


ヴェアヴォルフの戦士は待機していたアセナに乗ると、本陣を目指して走っていった。


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次回更新予定日 2020/7/5

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