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7話 発動


「いったいいつまで?どれだけの魔力を注げばいいんじゃ?」


このまま全ての魔力を吸われるのではと危惧したエカテリーナが思わずベアトリスに聞いた。ベアトリスが少し間が抜けた声で答える。


「えーと、どれだけとかは書いてなくてただ自分の周りの大切なものに意識を集中するとかで‥‥」


「あんたが集中するほど魔力が吸い取られていくのをわかっているの!?」


「そう言われても、私は魔力にまだ余裕がありますし‥‥。もしかして吸われる量に個人差があるのかもしれませんね」


「なにそれ!?もしかして私の魔力吸い上げた後にあんたが吸われ始めるとかじゃないでしょうね?」


どうなんでしょう?と魔力を注ぎ込んでいるスクロールの文字を読むために下を向いたベアトリスが、思わず杖をスクロールから外しそうになったのをエカテリーナは慌てて止めた。

 そこに義清が部屋に入ってきてエカテリーナが片足で立ちながら、もう片方の足を使って器用にベアトリスの杖を押さえているのを見て、思わず吹き出しそうになりながら言った。


「ふ、二人共まだか。時間をこれ以上作るのは難しいぞ」


「上に立つものはどんな時にも余裕に振る舞うことって昔教えたけど、今は素直に腹が立つ」


吹き出した義清を見てエカテリーナがプンスカしながら言った。


「そう言えるということは、まだまだお前も余裕があるな」


そういいながら義清はベアトリスの方を見てどうなのか問う。

 ベアトリスは先程の大切なものに意識を集中すること、すればするほどエカテリーナの魔力がなくなることを説明した。

義清はベアトリスの後ろに立つとそっと両手でベアトリスを包んだ。思わず顔を赤らめるベアトリスに義清は、まずは魔力を注ぐことに集中し、そこから自分の大切なものを思い集中するように言った。

するとエカテリーナは魔力を吸われる度合いが下がり楽になった。

 集中の仕方にはコツがあるのだと義清は言い、続けてごらんと言うとそっとベアトリスから離れた。


「ありがとうございます。うまくいきそうです義清様」


ピョンピョンとジャンプしながらベアトリスはお礼を言い、そのたびに杖がスクロールから外れた。


「ちょっと、集中はどうした集中は!!」


杖が外れるたびに自分だけ魔力を吸われて、まるで波が来ては引くようにキツくなるエカテリーナが慌てて言った。

義清が二人の肩を優しく持って集中を促し、ラインハルトが怒鳴り声を上げ、ゼノビアが敵の動向をうかがい、貴族が泥に足を取られて転び、本丸を囲む敵兵がうんざりしながら貴族の到着を待っている時に、転移のスクロールが発動した。

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