62話 砂の川と迷子
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義清たちは大森林を数日北上すると大森林の端に到達した。
ボア族とヴァラヴォルフ族に骸骨集団を加えた大所帯だ。
一行は今は砂漠と森の境目にいる。
砂漠と森の境目となる一帯はすこし変わった地形をしていた。
地面には苔と思われる植物があたり一面に生えている。
森の近くには所々に下草が生えているが北にいくにつれて苔だけの大地が広がっている。
ヴァジムによると更に北に行くと本物の砂漠が広がっており、
この辺一帯は地面の乾燥が砂漠ほど酷くないので苔が生えるのだという。
それでも大きな木が生えるほど土地が豊かではない。
それはこの先の地が、人が容易に足を踏み入れられない場所であることを語っていた。
一行はそこで一夜を明かすと更に北上する。
砂漠は思ったほど熱くなく逆に夜などは防寒着が必要な程だった。
義清たちは事前にヴァジムから必要な物資を聞いていたので準備できている。
暑い砂漠ではなく乾燥が激しい乾いた土地がそこには広がっていた。
そしてそれから1日北上するとサラサラに乾いた砂が大地を覆い尽くす本物の砂漠に出会った。
「これが砂の河か‥‥」
義清が思わず驚きの声を漏らす。
義清たちが立つ地面のすぐ先の地面が動いている。
足元の砂と何ら変わりない砂だが、ゆっくりとまるで河に水が流れるように動いていた。
砂の河としか表現できないそれは河幅も広く100メートルはあるだろう。
ヴァジムによればクロディスの民であれば子供でも泳いで渡れるそうだ。
しかし、義清たちが入ると流砂に飲まれるがごとく沈んでしまう。
余談だが鎧を外したガシャ髑髏とスケルトンは渡る事ができた。
ラインハルトが試しにと砂の河に入って沈んでいく横で、
スケルトンが平然と渡っていく様はどこか滑稽で面白いものだった。
もっとも、徐々に体が沈んでいっているラインハルトは笑い事ではなく、
早く助け出してほしい気持ちでいっぱいだった。
スケルトンによると泳いでいるという感覚はなく、
まとわり付いてくる砂をかき分けながら進んでいる感覚に近いという。
いずれにしてもほとんどの者が砂の河を渡河できないため、一行はヴァジムの案内で浅瀬を探して砂の河に沿って進む。
ヴァジムは砂漠を進みながら時々あたりをキョロキョロと見回している。
最初は浅瀬を探しているのかと思っていたがどうも違うようだ。
不思議に思ったゼノビアがヴァジムに聞く。
「何をキョロキョロしてるんだい?
まさか、迷ったんじゃないだろうね」
「ハハハ、迷子といえば迷子かもしれんぞ」
その場の全員がドキリとするとヴァジムは笑って冗談だといった。
「半分は冗談だ。
この砂漠は季節によって地形が変わるんだ。
この砂の河が移動したり、本物の川がここにできたりもする。
その度にこの砂漠の地形は変化するんだ。同じ地形に戻ることは稀だな。
地形が変化しないのはオアシス周辺だけだ。
だから俺もここを歩くのは初めてなんだよ。
俺が砂漠を去って大森林に入ったのは季節が変わる間近のことだったからな」
ここで当然の疑問をビアトリスが口にする。
「あれ?
それならオアシスを襲った貴族たちは、
なんでオアシスに到達することができたんですが?
地形が変化するなら他所から来た人だけでは
右も左もわからなくなっちゃいますよね?」
「そうだ。普段ならそのとおりなんだが、
俺が貴族の兵士をそれと気づかずに、
砂漠を案内した話をしたのを覚えているか?
あれが原因だが、もし季節が変わっていれば
あいつらがオアシスに到達することは不可能なはずだったんだ」
「そういえば、そう言ってましたね。
運が悪かったってやつですね。
地形が変わっているからキョロキョロしてたんですか?」
「いや、それは別の理由で‥‥お!」
ここでヴァジムが何かに気づいて砂漠の一点を見た。
全員がそっちの方を見る。
砂煙をあげながら何かがこちらに向かってきている。
やがて近くにくるとそれが大きなトカゲであることがわかった。
それを見たヴァジムは駆け出した。
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次回更新予定日 2020/3/7
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