57話 取引
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「こちらが譲歩することはない。
しかし、そちらの差し出すものに何かくれてやることはできる」
義清が体重を預けていた、椅子の背もたれから体を放すと言った。
また、椅子がギシギシと音をたててきしむ。
「くれるものと……こちらが差し出すものとは?」
ウルフシュタットは机に肘を突いて指を交差させて、興味深げに聞く。
「そちらの軍の内情でどうかな?」
「それはできません。あなたが裏切らないという保証がありません。
それにいざあなたの軍とぶつかったときにこちらが不利になります。
こちらにとって何一つ得がありません」
「なにも東方遠征軍の全ての内情を知らせよと言っているわけではない。
少しで良い。例えば……そうさな、北の大砂漠に展開する軍の内情でどうかな」
「北の大砂漠……?
なるほど、それくらいならいいでしょう。それでそちらは何を私にくれるのです?」
「差し出すものはない。しかし我らとの関係を繋ぎ止めるということでどうかな。
この先は特別なことがないかぎり、ラビンス王国と話すときは
まずは貴殿のヴォルクス家を窓口としよう。
東方の大森林で一大勢力となりつつある、
ラビンス王国の遠征軍をも相手にしようとる国と繋がりを持つことができる。
ラビンス王国内でも唯一ヴォルクス家だけが、
いつでも我らと話をできるというのは貴国の内情を察するに大きのでないかな。
例えばヴォルクス家にとってのラビンス王国内での立場を大きくすることができたりな」
「未来へ向けての投資というわけですか。
いいでしょう。いい妥協点だと思います。
こちらがやや損をしている感はありますが、
それは貴国との未来の関係に期待しましょう。
大砂漠に赴く理由をお聞きしてもいいですか?」
「そこの民に乞われたとだけ言っておこう」
「既に触手が広範囲に及んでいると。
わかりました。こちらも皆まで聞こうとはしません。
北にいるのは撤退命令を聞かない一貴族の軍でしかありません。
数も数百程度です。
補給もこちらが送らなくなっていくらか時間が経っています。
あなた方ならどうとでも料理できるでしょう」
「簡単に情報を渡すのは、ヴォルクス家を思って故のかな?」
「私は祖父が尽くすラビンス王国が、
ヴォルクス家と祖父個人にどんな事をしてきたか見てきました。
私にとってはラビンス王国よりもヴォルクス家のことが大事なのです。
祖父に対しては申し訳なく思いますが、これは祖父も了承していることですので」
「貴殿の考えを尊重するし、領主たるものそうあるべきだとも思う。
大砂漠の貴族が撤退命令を無視する理由は?」
「撤退命令を無視する貴族は何人かいます。
だいたいが西方で領地を失い、新たにこの東方の地に新しく領地を持つ者です。
みんなこの地に領地を持つ他の貴族より、
少しでも良い土地を探して勝手に動いているのでしょう。
ヴォルクス家を軽んじての命令違反というより王国事態の信用の低下ですね。
いや、これは貴殿に言うべきことではなかった。失言でしたね」
「なるほど、村長は遠征軍の撤退がいきなり始まったと言っていたが、
いきなり動き出したのは貴族の独断だったと。
近隣領主たちが土地探しに動き出したので、
どの領主も躍起になって資源探しに勤しんでいるわけだ」
「そんなところですね。補給を軽んじる彼らしい行動です。
本隊からの補給を受けずに今頃どうしていることやら、
もうご承知だとは思いますが、ヴォルクス家とは何の関わり合いもない連中です。
煮るなり焼くなり好きにしてください」
「承知した。
ただの水で悪いが、ヴォルクス家との友好を願って」
そう言うと義清は水の入ったカップを掲げた。
「両家のよりいっそうの繁栄を願って」
ウルフシュタットもカップを掲げた。
そしてお互い水を飲み終えて友好の証とした。
交渉を終えた一行は部屋を出た。
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次回更新予定日 2020/2/14
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