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55話 力量差

皆様のおかげで4500PV超えを達成することができました。

これもひとえに日頃から読んでくださっている皆様のおかげです。


これからも頑張っていきますので応援よろしくおねがいします


ダミアンの放った火球は一直線にラインハルト目掛けて飛んでいく。


たった今地面を蹴って後ろに飛んだばかりのラインハルトは、

空中にいるためかわすことはできない。


すると、ここでラインハルトの額にいくつもある怒りマークが一つ増えた。


ラインハルトはやや頭を突き出す姿勢になる。

火球はもはやラインハルトの目前に迫っている。




「イヤァッ!!」




ラインハルトが目前に迫る火球に対して、鋭い気合の声を発する。

すると火球はボロボロと崩れだし、ラインハルトに当たる直前に消えてしまった。


ラインハルトは野太刀の刃先をダミアンに向けて言い放った。




「決闘だと聞いていれば、魔法を使ったな。

 それもファイアボール程度の小細工魔法を。

 その辺の子供にも効きもしない魔法を使うとは。

 俺をイノシシと呼んで次は小細工魔法か。

 いいだろう、俺と対峙したこと後悔させてやる」




そう言うとラインハルトは一直線にダミアン目掛けて走り出した。

すぐに二人の距離が詰まる。

今度はラインハルトがダミアンに攻撃を仕掛ける番だ。

ラインハルトは上段からダミアン目掛けて、野太刀を振り下ろす。

ダミアンはそれを、剣を横にして受け止めた。



二人の剣と刀がガチガチと音を立てる。

体格の大きいラインハルトが刀でダミアンを上から押さえつける形になった。

ラインハルトが口を開く。




「俺が逃げていると言ったな」




そう言うとラインハルトは左手を野太刀から放す。

右手一本で野太刀をダミアンに振り下ろしている格好になった。

しかし、ダミアンからすれば自分が受け止めている剣にかかる力が、

両手のときと少しもかわらない。

それだけラインハルトの筋力が凄まじいのだ。


ラインハルトは何も持っていない左手で、ダミアンの右手の手首をつかんだ。




「鍔迫り合いを長く続けているとな……」




ラインハルトの左手に力がこもる。

しかし、鎧を着けているダミアンにはそれは伝わらない。

かわりに少しの熱がダミアンの右手首に伝わってきた。




「相手に何をされるか、わからんので距離を取るのよ……」




ダミアンはそっと自分の右手首を見た。

ラインハルトの力が凄まじく、剣で跳ね除けるけることも、後ろに飛ぶこともできない。

先程からラインハルトに持たれた右手首が、なぜか熱を持っている。




「ファイアボールだと?そんな当たるかもわからん小細工魔法より……」



ダミアンの右手首がかなり熱くなる。まるで右手首だけが蒸し風呂に入っているようだ。




「同じ炎魔法なら、こうするほうが確実よっ!!」




ラインハルトが大声で鋭く言い放つ。




「ぎゃああああああああああああああああああああ」




するとダミアンが大声で悲鳴を上げた。



ラインハルトにつかまれた、ダミアンの右手の鎧がドロリと溶けている。


溶けた鎧が右手を焼いて凄まじい激痛がダミアンを襲った。


痛みに負けてダミアンは思わず剣を捨てて両膝をつく。

急いで右手の鎧を脱ごうとするが、痛みで焦って簡単には脱げない。

そうしている間にも右手の鎧はジュージュー、ブスブスと音をたてて溶けていく。

ついにはダミアンの素手が見えるようになった。

鎧はそれでも溶けるのをやめず、なおも右手を焼いていく。

悲鳴を上げながらダミアンは、今起こっていることが信じられず、

右手を顔よりも高く上げた。

特に意味がある行為ではなかったが結果としてこれが、

右手がこれ以上焼けないことに繋がった。




「イヤァッ!!」




ラインハルトが再び鋭い気合を発して、野太刀で横一文字の剣撃を放った。

するとダミアンの焼かれる右手首から上、がゴトリと音をたてて地面に落ちた。



一瞬ダミアンは何が起こったかわからなかった。

しかし、焼かれる痛みに変わって、右手からは血が溢れ出し骨が見えている。



自分の右手が切り落とされたことを理解したダミアンは再び大声で悲鳴をあげた。



ラインハルトは野太刀を抜き身のまま肩にあてる。

刀のミネで自分の肩をポンポンと叩きながらため息まじりに言う。




「信じられん弱さだ。

 技も通り一遍、キレイな教本通り。かわすのは造作もない。

 剣を打ち込む前の動作でどこを斬ろうしているのか丸わかりだ。

 何の工夫もない。

 おまけに決闘だと言うのに魔法など使いおって、

 自分で尋常に勝負などと言っておいて恥ずかしくないのか。

 それとも自分が勝てないとわかって、知恵をめぐらしたつもりか。

 やっていることが小物そのもの。相手の力量も図りきらん愚か者め」




最後にもう一度ため息をつくとラインハルトは野太刀を肩から外した。



それを見てウルフシュタットが声を発した。




「お待ちを!!

 これは殺し合いではなく決闘!命が尽きるまでやる必要はないはず。

 勝負はもうつきました。あなたの勝ちです。

 どうか哀れな弟を右手一本で見逃してやってください」




それを聞いたラインハルトが再びため息をつく。




「お前たち兄弟はそろいもそろって何を言っているのだ。

 別に俺はお前の哀れな弟にトドメを刺そうとしているわけじゃない。

 手当してやろうとしているのだ。

 殺し合いじゃない。決闘だぞ。

 この場にいる誰もが、こいつと俺の力量差をわかっているのに殺すわけがないだろう。

 それこそ戦士としての俺の恥になりかねん」


「これは失礼しました。

 私はてっきりあなたが弟にトドメを刺すものとばかり……。

 いや、これは失礼をいたしました。手当はこちらで引き受けますので」




そう言うとウルフシュタットは黒甲冑の自分の部下の騎士たちに命じて、

ダミアンを人垣の中へと下がらせた。




ここで義清がウルフシュタットの前にふらりと現れる。




「さて、勝負はワシの部下の勝ちだ。

 改めてこれまでの無礼の数々とこちらの腕の折れた兵の償い、どうしてくれますかな」


「無礼の数々、お詫び申し上げます。

 こちらは弟の手当もあります。

 ついては慈悲を乞いたいと思います。

 弟の手当が終わって、改めてそちらと落ち着いて話ができる場を設けたいのですが」


「いいだろう。

 手当が終わり次第、村の中で話すと言うことにしよう」




ウルフシュタットは義清に感謝の言葉を述べる。

義清は兵に解散を命じた。

当然、森の道の封鎖は継続されるし、ウルフシュタットたちに監視の兵も付けられた。

しかし、ウルフシュタットたちは少なくともなぶり殺されるのを回避することができ、

安全な話し合いをする機会をつかみとることができたのである。


そして義清とボア族の副官もお互いをチラリと見て胸をなでおろす。

義清たちも話の落とし所を見つける機会を探していたのだ。

ラインハルトがダミアンの決闘を受けてしまったせいで、

一時はどうなることかと思ったが、なんとか話し合いの場を設けることができそうである。

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どれか1つだけでも構いませんのでやって頂けると、非常にとても大変すごく嬉しいです。

どうか是非ともお慈悲をっ!!


次回更新予定日 2020/2/7


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